◆第108回全国高校野球選手権大会第5日 ▽1回戦 鳴門渦潮2X―1八王子実践=延長10回タイブレーク=(9日・甲子園

 春夏通じて初出場の八王子実践が鳴門渦潮に延長タイブレークでサヨナラ負けを喫し、初戦で姿を消した。

 0―1で迎えた9回に、2死一、二塁から代打・金子が右前に同点打を放つ執念を見せた。

敗退まであと1死から追いつく粘りをみせたが、10回表に無得点で終わると、その裏に失点して力尽きた。ドジャースのマイナーでもプレーした元157キロ右腕の河本ロバート監督(40)は「いい顔をしてプレーしていた」と聖地で激闘を演じた選手たちをねぎらった。

 アルプススタンドにはロバート監督の八王子実践時代の仲間も集結した。ロバート監督とバッテリーを組み、2013年にはブラジル代表としてWBCにも出場したジエゴ・エンヒケ・フランサさん(39)は「やっぱりうれしいですね。グラウンドがないチームだから、それでも出られるのは立派だなと思いますよ」と、笑顔で母校を見守った。

 先輩後輩バッテリーとして、2003年夏の西東京大会では8強入り。同校のこれまでの最高成績を共に打ち立てた。「先輩としてよりは、ほぼ同級生みたいな感じでした。結構近い存在だったんですよ。優しかったですね。後輩に優しかったです」と、当時を振り返ったジエゴさん。選手に「監督」ではなく「ロバートさん」と呼ばせ、自主性と主体性に重きを置く指揮官の原点だという。

「(今の指導につながっている部分は)絶対にあると思う。選手としてもやりやすいんじゃないかなと思う」。奥山慎太郎投手(3年)も「1人1人によって教える内容、言い方を全部変えてくれる。おかげで成長した選手は多い。49代表の中で成長率は一番」と感謝を口にした。

 当時から野球部専用グラウンドは無く「セカンドの距離も取れなかった。小さいバッティングゲージ1箇所しかなかったし、ブルペンはみんなで足で作ったブルペンだった」とジエゴさんは振り返る。恵まれない環境ながら切磋琢磨(せっさたくま)し、3年間汗を流した。ロバート監督と同級生で、同部OBの岩田聡史さん(40)は「仲は良かったけど、思春期で多感だったから(野球の話で)ぶつかることもあった。当時から主体は選手。そこがロバート野球の原点でもあるのかな」。青春時代の経験をいかし、自らが選手としては成し遂げられなかった甲子園出場を果たした。

 惜しくも1勝とはならなかったが、「選手のおかげで(甲子園に)来させてもらえて、空気感も雰囲気も体験できた。勉強じゃなかったことがなかった。全てが勉強になりました」と、指揮官。悔しさを胸に再び聖地を目指し歩み始める。

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