■24時間を誰とどう過ごしているか
「アメリカ生活時間調査」は米国労働統計局が2003年から毎年実施している大規模な全国調査だ。目的は、有償労働や家事、誰かの世話、能動的・受動的な余暇、自分のケアなど、さまざまな活動に人々が自分の生活時間をどう配分しているのか調べることにある。
調査対象者が一日の過ごし方をリアルタイムで回答するため、平均的な一日にその人がどういう時間の使い方をして、誰と過ごしているかを可能な限り実態に近い状態で追えるのが、この調査の特徴だ。
2022年11月、この調査データ(※1)を見たぼくは、愕然とした。
データを見たタイミングもよかった。息子は当時6カ月。父親になって、ぼくの人生は大きく変わった。時間との関係が――さらに言うと、過ぎゆく時間への意識が――根本から変わって、無知であるがゆえにまるで意識していなかった状態から、その大切さを思い知って不安にかられるようになっていた。
親になると、週単位、月単位で子どもの成長を追うようになる。子どもの歳を週数や月数で言うことにも慣れて、それが当たり前になる。
■親、きょうだい、旧友との残り時間は?
調査データは、失われゆく時間を強烈に意識させた――けっして後戻りできない瞬間の数々を。
このデータは、時間ははかなく消えていくという厳しい現実をぼくに突きつけてきた。1週間、1カ月と過ぎるたびに人生の1つの章が終わりに近づき、しかもその章がまた始まることは二度とない。
人生には、ある特定の人との関係がすべてになる時期がいくつもあり、それぞれの時期の長さは、あなたの想像や認識よりもはるかに短い。
きょうだいと過ごせる夏はあと1回だけかもしれないし、旧友と旅行できるのもあと2回かもしれないし、物知りの伯母さんと過ごせるのはあと数年かもしれないし、好きな同僚と会えるのはあと数回だけかもしれないし、親と長い散歩に出られるのもあと1回だけかもしれない。そういう貴重さやありがたみに気づかないでいると、あっという間にその時期は終わってしまう。
次に紹介する6つのグラフは、すべての人に見てもらいたいものだ。
■「親がすべて」という時期は短い
親きょうだいと過ごす時間は子ども時代がピークで、20歳を境に急速に減っていく。実家を出て自分の人生で忙しくしていると、家族と過ごせる残り時間がごくわずかなことに気づかないものだ。だからこそ、過ごせるときは大切に過ごそう。
子どもと過ごす時間は子どもの幼少期がピークで、その後は急速に減っていく。子どもにとって親が世界のすべてという時期は驚くほど短い。この時期は何一つ見逃さないようにしよう。
友人と過ごす時間は18歳のときがピークで、その後は急速に減って低いレベルを保ったままになる。若いときはたくさんの友人とたくさんの時間を過ごす。大人になると、数少ない親友と短い時間を過ごすようになる。若い時期は、その時期ならではの広い友人関係を楽しみ、それ以降は年齢とともに深まる友人関係を大事にしよう。
■幸せと満足度を左右するパートナー
パートナーと過ごす時間はおおむね死ぬまで増え続ける。人生のいい時も悪い時も分かち合うと決めた相手は、あなたの幸せと満足度にもっとも大きく影響する。だから相手選びは慎重に。
同僚と過ごす時間は、20歳から60歳までのいわゆる労働年齢期のあいだは一定の長さを保ち、その後は急速に減っていく。人生のいつの時期でも、仕事中は家族や愛する人と離れ離れにならざるを得ない。もし幸運にも選べる立場にあるなら、意味があり、大事だと思える仕事(や同僚)を選ぼう。あなたの人生に活力をもたらしてくれる同僚を持つようにしよう。
一人で過ごす時間は生涯にわたって着実に長くなっていく。
■出身、年齢、収入が違っても時間は平等
人生の大事な教訓は、次の6つだ。
1.家族との時間は有限だ――だから慈しもう。
2.子どもとの時間は貴重だ――だからいつでもそばにいよう。
3.友人との時間は限られている――だから真の友人を大切にしよう。
4.パートナーとの時間は大きな意味を持つ――だから相手選びに妥協しない。
5.同僚との時間は重要だ――だから活力を得られる同僚を探そう。
6.一人の時間は豊富にある――だから自分を大事にしよう。
どこの国の出身でも何歳でも、お金持ちでも貧乏でも、時間は普遍的な真理であり難題だ。
2015年、文筆家のティム・アーバンは「人生の末尾」と題するブログ記事で、人と会う回数には限りがあるという観点から時間について考察している。「自分の人生はまだ終わっていないとしても、いちばん大事な人と過ごす時間は終わりに近づいているのかもしれない(※2)」という彼の弁は「アメリカ生活時間調査」のグラフから得られる教訓にも通じるだろう。
■「時間は有限である」という気づき
また、著述家で哲学者のサム・ハリスは「何事も、どれだけたくさんやっていようが、これが最後だという日はかならずやって来る」と言う(※3)。
子どもに寝る前の読み聞かせをねだられるのも、いつか最後になるときが来るし、きょうだいと長い散歩に出かけるのが最後になるときもいつかは来る。家族の集まりで両親にハグすることも、友人が助けを求めてくることも、いつか最後になるときが来る。
大切な人と過ごす時間は、あとどれくらい残っているのだろう? たぶん、あなたが思うほど長くはない。今は当たり前に思えるちょっとした瞬間や人間関係や経験が、いつか恋しく思うものになるはずだ。
この厳しい現実を認識すると、時間の富への投資とは、時間が有限であるという気づきをもとに行動を起こすことだとわかる。自分にとって本当に大事なことに意識を向ける(そして、それ以外のことは無視する)力を養うこと。自分の時間を誰と、どこで、どのように過ごすかを管理できるようになること。それが時間の富に投資するということだ。
※1 Esteban Ortiz-Ospina, Charlie Giattino, and Max Roser, “Time Use,” Our World in Data, February 29, 2024, https://ourworldindata.org/time-use
※2 Tim Urban, “ The Tail End,”Wait but Why ( blog), December 11, 2015, https://waitbutwhy.com/2015/12/the-tail-end.html
※3 Tim Ferriss, “Sam Harris (#342),” The Tim Ferriss Show (podcast), October 31, 2018, https://tim.blog/2018/10/31/the-tim-ferriss-show-transcripts-sam-harris-342/
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サヒル・ブルーム
作家、起業家、コンテンツクリエイター
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(作家、起業家、コンテンツクリエイター サヒル・ブルーム)

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