「人生を謳歌する」という視点で見るなら、みなさんはどんなクルマを選ぶだろうか? 照らし合わせるのは自分のライフスタイル。なにを優先するかで選ぶクルマのタイプが違ってくるだろう。
01:この跳ね馬はビーチリゾートによく似合う!
残念ながら(?)イタリア・アマルフィでの試乗ではなかったものの、今回訪れたギリシャ・コリントス県アイイ・テオドリという街も風光明媚でなかなかいい。首都アテネからクルマで西へ1時間ほどの距離にあるのだが、長く続く海岸線と青い海の美しさはさすが。水着姿でバカンスを楽しむ人たちもずいぶん楽しそうだ。
試乗は、ビーチ沿いに立つ5つ星の高級リゾートホテル“イスラ・ブラウン・コリンシア・リゾート&スパ”からスタート。このホテルはカーブを描いた白亜の外観が印象的で、どこまで広がる青い空と真っ青に輝く海のそばにあって、まるでアート&モダンを体現した現代の神殿のよう。そんなホテルのエントランスには試乗を待つアマルフィ スパイダーがズラリ。まわりの雰囲気と相まって、クルマもなんだか神々しく見えてくる。
低く構えたコックピットに乗り込むと、ステアリングホイールに手をかけ、黄色が眩しい跳ね馬に目を奪われながら着座。イタリア・リパリ島の海の青さを由来に持つ色“ブルー・リパリ”のレザーシートはしなやかな肌触りで、ほどよくカラダをサポートするタイプ。なにより“ロッソ・トラモント”のボディカラーに、赤いステッチが効いたブルーのシートを合わせるという感性が洒落ている。
ドライビングモードには普段乗りに最適なコンフォートに加えて、スポーツ、レース、ESCオフ(横滑り防止装置などを解除)が設定されているほか、濡れた路面で強力なパワーを安全にコントロールしてくれるウェットモードがある。親指で操作する方向指示器、パドルシフトの位置もこのときに確認。ステアリングホイールまわりにはほかにもADAS(先進運転支援システム)の操作系や音声コマンドなどが集約されているから、手をあちこち伸ばす必要がないため、慣れると操作が楽だ。
メーター類は情報の優先度をそのまま見た目にしたようなデザイン。
試乗コースの距離は180kmほど。ホテルを出て5分ほどで高速道路A8号線に入り、アテネ方面へ。途中で高速道路を降りて、山間のワインディング道路を存分に駆け回るという設定だ。
7月のギリシャだから、真夏の陽射しと紫外線が容赦ない。最初に体力を奪われないようにと、高速道路ではソフトトップルーフは閉じたまま、エアコンに頼るという作戦に出てみた。気温35度のピーカンの中で走って気づいたのだが、ソフトトップの断熱性がよいせいか、頭上に熱が籠ることはない。それもそのはず、こちらは〈フェラーリ〉の格納式ハードトップに匹敵する遮音性と断熱性を備えたもの。1枚に見えるファブリックは5層構造で、さらにデニムの綾織のような質感のおかげでお洒落見えするのもいい。高速道路での遮音性も満足できるもので、これならパートナーとの会話中に外からの雑音が気になることもないし、繊細なピアノを楽しむような音楽もバッチリと楽しめるだろう。
高速道路はアマルフィ スパイダーの独壇場だ。ギリシャの高速道路も区間ごとに速度規制が違うが、乗用車の最高速度は130km/h。まわりは「制限速度は気にしていません」といったクルマもビュンビュン通るが、そんなクルマを尻目にまずはコンフォートモードでゆったり流してみる。8速120km/hの速度で、タコメーターの表示はちょうど2000回転。乗り心地も快適以外の言葉が見つからない。640CV/7500rpmを誇るV8ツインターボエンジンにしてみると、2000回転なんて目も覚めていない状況なのだろうけど、唸りを上げないぶんジェントルでスムース。
人生の大切なひとコマには、パートナーと一緒に海や避暑地に向かうなんてシーンもあるだろうけど、会話や音楽を楽しみながら快適な高速移動ができるのはクルマに求められる大切な性能だったりする。その点このアマルフィ スパイダーはそんなシーンにもしっかりと寄り添ってくれそう。大人の“必要”にしっかりと応える懐の深さがあるというわけだ。
60㎞/hまでなら走行中であってもわずか13.5秒で開閉可能ということだが、実際に50㎞/hで走行中に開けてみると説明に偽りなし。ある程度の風を受けながらでも屋根はスムースに素早く、折り畳みの儀を終えてくれる。「走行中に素早くできる」というのはドライバーとっては相当のメリットで、たとえば走行中突然の雨に見舞われても慌てることがないということ。またパートナーを気遣い、「陽射しが強くなったから閉めようか」となんて思ったときでも、60㎞/h以下で走行しながら、スマートに日陰を作れるのはありがたい。
少し冷房を強めにし、オープンエアでの快適性を整えたら、あとは開放感を味方にスポーツドライビングを楽しむだけ。
ブレーキのフィーリングもとってもいい。アマルフィ スパイダーはブレーキ・バイ・ワイヤ(ブレーキ操作を電気信号に変換し、コンピュータ制御により摩擦ブレーキングを作動させるシステム)を採用しているが、しっかり効くうえにレスポンスも上々。それが、あらゆるグリップ条件で制動力配分を最適化する“ABS Evoシステム”と合わさることにより、さらに高いパフォーマンスを発揮。信頼できるブレーキと足回りがあるからグッとアクセルが踏み込めるというわけで、スポーツ走行を楽しむ際に、ずいぶんと頼れる味方になってくれる。下りのカーブの連続では特にそのレベルの高さを実感することができた。
アマルフィ スパイダーにとって、2023年に登場した〈フェラーリ〉ローマ スパイダーは系譜的(V8エンジンのスパイダーボディ)には先代にあたる。さらに遡ると2017年のポルトフィーノ、2008年のカリフォルニアと、オープンカーとともに人生を謳歌している人がたくさんいそうな地名=モデル名が並ぶのはご存知のとおり。〈フェラーリ〉に惹かれる理由はマシンごとに様々あるだろうけど、格好よさや速さに加えて、「人生のあらゆるシーンを彩ってくれそう」と感じてしまうのは、やっぱりアマルフィ スパイダーのような美しいオープンカーなのだろう。そしてそんなクルマを選ぶのは、ちゃんと“遊び”を知っていて、ロマンチックな一面を持ち合わせている人に決まっている。もしあなたがそこに共感するというなら、一度アマルフィ スパイダーに熱~い視線を注いでみるといい。きっとそれを機に、毎日が楽しい思い出に変わるような、充実した人生の幕が上がるかもしれない。
INFORMATION
●フェラーリ・ジャパン
URL:https://www.ferrari.com/ja-JP/auto/ferrari-amalfi-spider
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