緑茶飲料市場は、国産茶葉高騰に加えて、市場では価格競争が依然続いているとみられることから収益面で板挟み状態にある。

 全国清涼飲料連合会(全清飲)の「2025年清涼飲料水生産数量及び生産者販売金額」によると、飲料市場の中でも緑茶飲料は生産者販売金額でコーヒー飲料等、炭酸飲料に次ぐ巨大市場のためシェアを求め価格競争が起きやすい。
シェアをにらみながらの価格転嫁の動きと価値発信に注目が集まる。

 原料茶葉の中で緑茶飲料用の引き合いが強い秋冬番茶(しゅうとうばんちゃ)は鹿児島茶市場で6倍近い平均価格での取引となったことで、3月1日出荷分から価格改定を実施したのは「お~いお茶」(伊藤園)と「綾鷹」(コカ・コーラシステム)。以降、追随の動きはみられない。

 国産茶葉は今年も高止まりを続け、鹿児島茶市場の4月平均単価は前年比1.7倍となった。国産茶葉の高騰を受け、原料を比較的廉価な海外産にシフトする動きも起きていると推察される。

 財務省貿易統計によると、2025年は緑茶の輸出が過去最大の1万2612tを記録した一方で、海外産茶葉の輸入が前年比約1.5倍の4610tに達し過去5年で最大量となった。輸入量は今年も増え続け、1-3月に2.4倍を記録。年間1万tに迫るペースで推移している。

 輸出量の増加は抹茶原料の碾茶(てんちゃ)によるところが大きく、仮に抹茶ブームが下火になってしまった場合、日本の茶産業が空洞化してしまう恐れがある。

 こうした危機感から伊藤園は、「お~いお茶」ブランドのパッケージに「純国産茶葉100%」と記載して5月18日から順次発売している。従来の表記に「純」の一文字を加えることでインパクトを持たせて国産茶葉である日本茶の価値を発信している。

 マーケティング施策としては、2025年シーズンに大谷翔平選手が放った63本のホームランをイラスト化したプレミアムデザインボトルを6月22日に発売開始する。
「お~いお茶 緑茶」600㎖サイズでは異例となる63種類を取り揃え話題化を図る。

 コカ・コーラシステムは「綾鷹」のコミュニケーション施策として、引き続き「ひとくち、ひといき。自分のリズムでいこう。」をブランドメッセージに掲げ、俳優の佐藤健さんを新たなブランドアンバサダーに迎えて20~30代の取り込みを図っている。

 おにぎりと組んだ施策も継続。5月18日から「綾鷹」の特設店舗「おにぎり食堂 綾鷹屋」をキッチンカーで再現して全国5都市に出店し、日常のランチシーンでおにぎりと「綾鷹」の相性の良さを提案している。

 ブランドの原点である京都を掛け合わせることで、忙しい毎日に余白をもたらすような価値提供に取り組むのは、サントリービバレッジ&フードの「伊右衛門」。奈緒さんを起用したコミュニケーションを継続して展開している。

 キリンビバレッジは、緑茶飲料市場がコモディティ化しているとの見立てのもと、この流れを変えて魅力化を図るべく、スタンダード緑茶飲料の「生茶」本体を軸足としつつ新提案を行う。6月30日に「キリン 生茶ジャスミン香る緑茶」を期間限定で新発売し、以降も新提案を計画している。

(6月3日付本紙に「無糖茶飲料特集」)

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