記者はこのほど広田湾(陸前高田)沿岸の生産現場を視察。すでに種苗の生育、水揚げ、加工に至る一連の工程を備えるが、来年にかけて最新の給餌バージ船や直径50mの生け簀5基を導入。伝統の活〆(かつじめ)で鮮度にこだわった高品質なサーモンを広く食卓に届ける。
同社グループ企業、ニッスイサーモン社(4月1日付で弓ヶ浜水産より社名変更)の鶴岡比呂志社長によると、国内で魚介類の消費が減少する中、さけ・ます類は比較的堅調に推移している。ただし、近年は三陸沿岸で秋サケの漁獲量が大幅に減少。一方で養殖サーモンは増加傾向にあり、「昨25年の国内供給量は養殖の比率が5割を上回ったとみられる」と説明した。
同社の国内サーモン養殖事業は鳥取県境港、新潟県佐渡、岩手県内3か所(大槌・大船渡・陸前高田)の計5か所で展開。30年目標に掲げる1万tのうち、岩手県を7000t(25年1478t)まで引き上げる計画だ。
その実現に向け、設備を段階的に拡充している。昨年10月、陸前高田にサーモン養殖向けの種苗施設「気仙川養魚場」が稼働した。水量300t(直径15m)の水槽を10基設置。4~11月にかけて稚魚を5gから200gまで生育し、海上の生け簀に移す。
気仙川養魚場の水槽
気仙川養魚場は広田湾漁協の秋サケふ化場の一部を改良して整備したもので、豊富な地下水を共用していることもポイント。岩手県内は同種のふ化場が約40拠点あるが、秋サケの大幅な漁獲減に伴い稼働率が低下。ニッスイサーモン社はこれらを地元の理解を得ながらギンザケの種苗施設に転用していく方針で、「近いうちに新たな養魚場を数か所加え、自社の種苗で水揚げ量2000~3000t体制への拡大を目指す」としている。
活〆で鮮度にこだわる
広田湾の滝浜漁場で24年から海面養殖を行う。今シーズンは直径25mの生け簀2基(水揚げ量約300t)を使用したが、事業化の目途が立ったことから、来年に向けて直径50mの生け簀5基へと大幅に拡充。同地で水揚げ量2000t規模を視野に入れる。今秋は最新の給餌バージ船も導入。
「境港で培ってきた養殖技術と新たな技術を融合させ、さらなる生産性と品質の向上を図っていく」(鶴岡社長)。
広田湾でギンザケの水揚げは5~6月にかけて実施。
その後はすぐに活〆の作業へ移行。電気鎮静化台で通電処理し、おとなしくなった出荷魚を1尾ずつ手早く活〆する。
同社は「魚本来のおいしさを生かすため生け簀で元気な状態から短時間で活〆処理することにこだわっている」と話す。

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