今大会を戦ったメンバー26名が最後の取材に応じ、エースナンバー10を背負う堂安律は「本気で優勝を目指したからこそ、1ミリでも、1パーセントでも近づいたと確信している」と強調。「4年前より手応えのある大会になった」と自信をのぞかせた。
しかしながら、結果はベスト16だった前回大会を下回るベスト32。もちろん出場国が32カ国から48カ国に増え、優勝へのハードルが一段階上がったことも大きかった。だが、「このチームなら、もう少し先に進めたのではないか」という印象も強かっただけに残念だった。
「試合が終わってから、どうやったらあのブラジルに勝てたのかを考えました。自分たちが持っている技術、フィジカル、メンバー、コーチングスタッフ、自分がどういうことをしていたら勝てたのか。他に選択肢があったのか。食事中に近い選手と話もしましたけど、大会が終わった今、優勝までの遠さを改めて感じています。昨日も誰かが『この日本代表の中で誰がブラジル代表に入れるのか?』と言い出して、『うーん』とクエスチョンになった。結局、そこが今の日本代表の答えなんじゃないかというのは、全選手が感じていることかなと思います」
これは堂安の発言だが、彼が言わんとしていることは「突出した個の力という部分で、日本はブラジルを上回れることができていなかった」ということだろう。特に攻撃面では、佐野海舟が値千金のゴールを奪ったものの、絶対的エースの上田綺世にしても、前田大然と伊東純也の2シャドーにしても、一人で局面を変えるまでには至っていなかった。
堂安自身も2018年9月のコスタリカ代表戦で日本代表初キャップを刻んでから、「点を取ってチームを勝利へと導けるアタッカー」を目指して突き進んできた。だからこそ、悔しさはひときわ強いはず。2022年のカタール大会では森保一監督からジョーカーに指名され、短時間の出場でドイツ代表とスペイン代表からゴールを奪い、ヒーローになった。今大会はオランダ代表戦でのコーディー・ガクポ封じ、ブラジル代表戦でのヴィニシウス・ジュニオールのカバーを筆頭に守備にフル回転。凄まじい貢献度の高さを示したが、攻撃で違いを見せることは思うようにはできなかった。
本人は「日本代表が優勝する可能性が限りなく高くなるやり方にトライしたので、後悔はしてません」とは言うものの、アタッカーとしては複雑な感情を抱いたこともあったに違いない。「大会中は全てを(外で)見せるわけではないので、正直、葛藤はありました。自分がやるべきことと、堂安律という自分なりの理想像と。ただ、これだけサッカー界にいれば、自分がどこまでやれて、どこまでできないのかは分かっている。その中で、最大値を発揮して、日本代表のために何ができるのかを常に考えていました。勝つための貢献をしようという意味で、やれることはやりましたし、そのうえでの敗退なので、試合後に力不足だと言ったのは本心ですね」と堂安は自分なりに折り合いをつけて、自身2度目のワールドカップで戦い抜いたという。
この姿は本人が3年半前のカタール大会の後、描いた“10番像”とは違ったものになったかもしれない。
そこにアタッカーしてのストロングを加えることが、4年後に向けてのテーマになってくる。2030年の堂安は31~32歳(※大会期間中の6月16日が誕生日)。今の伊東純也よりも若い。それに彼はケガをせず、常にフル稼働できる強靭な肉体を備えた選手だ。衰えを心配する必要は全くないし、さらなる高みを追い求めることができるはず。「僕はそれほど牙を抜かれたわけではないので」と本人も不敵な笑みを浮かべていたが、点も取れて守れる絶対的なエースになろうと貪欲に突き進んでいくに違いない。
この先、日本代表を率いるのが森保一監督なのか、また違った人物なのかは今のところ分からない。
取材・文=元川悦子
【動画】ブラジルを追い詰めるも、後半ATに悲劇…

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