8月7~9日のNHK調査で政権支持率は過去最低の53%に。同時期のFNN調査では横ばいの62.5%だったが、物価高対策を「支持しない」人は6割に達した。
消費減税の財源を示していないことを「評価しない」とする人も6割を超えたことから、政策実現を不安視する人が増えていることもうかがえる。
ジャーナリストの岩田明子氏は、高市政権の支持率低下の背景には、国民が期待した即効性のある生活改善を実感できていないことに加え、政策の狙いや効果を伝える「説明不足」があるとみる(以下、岩田氏の寄稿)。

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無党派層と高齢者が離れ始めた理由

高市政権の支持率低下が話題だ。8月8~9日に実施されたFNN調査では横ばいだったが、同時期のNHK調査では前回から5ポイント減で政権発足以来、最低を更新した。好スタートを切った政権の支持は総じて衰えていくため、驚くほどの低下ではない。ただし、結果を掘り下げると、“反省点”は見えてくる。

NHK調査では、2月衆院選直後の無党派層の支持は不支持を大幅に上回ったが、直近では不支持が逆転している。また、60代・70代の支持率は2月調査から15ポイント以上減と大きく低下している。

背景にあるのは期待の剝落だ。振り返れば、第2次安倍政権はすぐさま大規模な量的緩和を伴うアベノミクスで株高や有効求人倍率の改善を実現した。スピード感を強調する高市首相にも国民は即効性ある生活改善策を期待したが、それを実感できなかったことがうかがえる。

周知のとおり、国民の生活よりも優先されたのは、皇室典範改正や国旗損壊罪法案だった。8月5日に食料品の消費税率を2年限定で1%に下げる方針を閣議決定したにもかかわらず、直近調査で6割が「物価高対策を評価しない」と回答しているのは象徴的だ。
福祉の充実よりも成長投資に力を入れる印象を与えてしまったのなら、高齢者の支持低下は自然な流れと言える。

高市首相に足りない“話を聞く姿勢”

実感や成果を得られていないのなら、政策の効果を周知させるべきだが、高市氏には説明不足との指摘がつきまとう。思い出してほしい。第2次安倍政権は2度の消費増税を行ったにもかかわらず、選挙は負けなしだった。アベノミクスの推進に際してはノーベル経済学賞受賞者のクルーグマンらを官邸に招いて意見交換したほか、支持率急降下を招いた安保法制の審議には衆参合わせて216時間も費やした。反対論者にも耳を傾け、政策の過程や効果を発信し続けることで、安倍元首相は不人気の政策でも着実に支持を獲得していったのだ。

翻って、高市政権はどうか。日経新聞は8月10日に、政権発足後9か月間の民間人との面会数を報じた。岸田文雄元首相は359人、石破茂前首相は199人に対して、高市氏は150人。最も“人に会っていない”首相だった。

今後の注目点は9月中旬以降に行われる見通しの内閣改造だが、高市氏と距離を置く実力者を取り込んで“話を聞く”政権をアピールできるか? 国会閉会後の会見で高市氏は「反省点は特にない」と語ったが……その姿勢を貫き続けると世論は一層離れかねない。

高市政権の支持率が過去最低に。岩田明子が指摘する「安倍政権との決定的な違い」と国民への説明不足
岩田明子
<文/岩田明子>

【岩田明子】
いわたあきこ●ジャーナリスト 1996年にNHKに入局。
20年にわたって安倍元首相を取材し、「安倍氏を最も知る記者」として知られることに。’23年にフリーに転身後、『安倍晋三実録』(文藝春秋)を上梓。’26年4月にはYouTubeチャンネル「TABOO CRASH岩田明子のオフレコ部屋」を開設
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