セクシー女優の経歴は履歴書に書けるものではない。働いていた時間は“空白の期間”扱いとなる。
人気商売の過去は似たような世界にしか通用せず、一般社会に戻れば職歴としてはカウントされないのだ。
 別に言ってはならないルールこそないけれど、ハッキリ言う必要性もなし。だからこそ、引退後に過去を隠す人は決して少なくはないのである。

“元セクシー女優”の過去を隠すことは「嘘」になるのか

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 筆者も昼職に転職する際、元セクシー女優だった事実を「演技の勉強をしていた」と、曖昧な表現をしていた。このことを4年ほど前、SPA!の記事で明かしたところ、「経歴詐称の犯罪者」と叩かれたのは、ある意味いい思い出だ。

 正直なところ、プライベートでも相当気心が知れた相手でない限り、過去の話はしづらい。近頃は親公認の女優も増えて、以前ほど全てを隠す人は減ったものの、家族・恋人・友達との関係が崩れるのを恐れ、身内に何も言わないままの女性も一定数存在する。

「隠す」も一つの自衛策だが、一方では「嘘つき」扱いになる。否定されやすい経歴をあえて口にしないのは、いけないことなのだろうか?

“秘密”はタブーなのか?「言わぬが仏」という考え方も

「嘘は良くない、人間は素直であるべきだ」というのが一般的な考え方なことは承知しているが、大人になるにつれて「嘘も方便」なんてシーンにも多数出くわすために、一体何がなんだかわからなくなってくるのも事実。

 年齢を重ねるほど、人間は言いづらいことも増えていく。全てを包み隠さず明かして秘密がないオトナなど、この世にいないのではないだろうか。言わなくていい話はわざと口に出さないのが“オトナ”として生きるために必要なのだから、元セクシー女優の経歴が自分にとって不利になりそうなら隠す……というのは、決しておかしな話ではないのだ。

 偏見が多い商売を安易に口にすると、自分の身に危険が降りかかる恐れがある。これは男性ナイトワーカーも同じことで、下に見られることがあり、女性の場合は勝手に「軽い女」と思われて性被害に遭うなどの可能性も低くはないので、相当な理解を示されない限りは「言わぬが仏」だったりもする。


 世間は過去の隠蔽を「嘘つき」だとか、「裸になる職業を選んだのはお前だ」と謎に怒り出すのだが、隠蔽したところで他者の人生に支障はない。めくれた時に困るのは本人なのだから、秘密にする・しないに関しては第三者が口を出す意味があまりないだろう。

 こういった話をすると「だったら最初からそんな商売をしなきゃいいだろ」という意見が飛んできて、議論は終わらない。過去に対して、いろいろ言っても仕方がないのに……。

セクシー業界の人々は嘘が苦手?

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元セクシー女優で現在はフリーライターの「たかなし亜妖」
 冒頭でも触れたが、本当にすべてを隠すケースも少なからず見られる。例えばたった1本しか出演していないとか、名前の出ない企画モノばかり活動していれば、過去がめくれる確率は極めて低いため、言いたくないというよりかは「わざわざ言わなくてもいいか」という結論になるだろう。

 ただ、セクシー業界の人々は嘘が苦手な傾向が強い。というかめんどくさい気持ちが勝ち、隠すくらいならいっそのこと、すべてを明かしてしまいたい気持ちが強い。実際、普段から偏見の目を向けられ続けているため、“わかってくれる人”を探す嗅覚が不思議なくらい優れており、経歴を明かしても受け入れてくれるパートナーや友人と上手に付き合えるのだ。

 この感覚が世間の人に伝わるかはわからないが、嘘をついたら別の方向で文句を言われるので、私たちからすると「ハイハイ」である。理解を示してくれる人々は貴重なので結果的に業界人・界隈と近い人・許容範囲が広い人とばかり付き合うことになるから、ちょっと交友範囲が狭くなる点はデメリットだけれども……。

 あけすけに言いたい人などは極めて少数派で、元セクシー女優のみならず元裏方たちも経歴を隠すのがダルいだけ。
もちろん昼職や界隈を離れた場所ではTPOを弁えるのだけれど、表の仮面が外れた時間くらいは嘘をつかずに生きていたいのだ。

 まぁ私の場合は経歴詐称と叩かれても仕方がないけれど、逆に問いたい。就職面接に来て「元セクシー女優でした」なんて堂々と話す女を雇いたい? と……。

 世の中には、ニート期間を親の介護とか家事手伝いというテイにする人々もいるため、そこと一緒くたにしてほしくはないが、真実を明かさない方が良い場合だってあるのだ。

 経歴を隠すことを「嘘も方便」と捉えるか「生きるうえでは仕方ないよね」と許容するか?

 判断は皆さんの手に委ねられている。もし、そばにこの手の人々が現れたら、無駄に叩く必要はないじゃないかと筆者なんかは思ってしまうのだが、自分は間違っているのだろうか。この答えはもちろん、一生出ることはないだろう。

文/たかなし亜妖

―[元セクシー女優のよもやま話]―

【たかなし亜妖】
元セクシー女優のフリーライター。2016年に女優デビュー後、2018年半ばに引退。ソーシャルゲームのシナリオライターを経て、フリーランスへと独立。WEBコラムから作品レビュー、同人作品やセクシービデオの脚本などあらゆる方面で活躍中。
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