姫路イーグレッターズは、2024年からさわかみ関西独立リーグに参加している。オリックスで投手として活躍した海田智行氏(38)が監督を務め、ひそかにプロの注目を集めているのが前田大輝投手(22)だ。
ある時はサラリーマン、そしてある時は最速150キロ超の剛腕投手―。登板日だけチームに合流するという“無給独立リーガー”の前田が、マウンドに立つ喜びを感じながら腕を振り続けている。すでにNPB7球団が視察。今秋のドラフト戦線でも注目の存在だ。
今春に姫路に入団した“ルーキー”は、4月から三菱重工パワーメンテナンスサービスに入社した新入社員でもある。首都大学リーグの筑波大では、3年春にリーグ戦初登板。だが、最速151キロだった直球は4年時に140キロまで落ち、プロ入りはかなわず。就職活動に転じたが、野球を諦めきれなかった。
筑波大では、動作解析の第一人者で同大監督の川村卓教授の研究室に所属し、卒論は「リリース時における手指の使い方が球速、球質に及ぼす影響」というテーマに取り組んだ。ラプソードやスローモーションキャプチャーといった機器を駆使し、データを収集。「自分がスライダーが得意な理由が分かった」と言う。卒論での分析で行き着いたのが、あえて回転効率を落とすこと。それによって変化量が増えるスライダーとキレのある直球のコンビネーションで、リーグ断トツの奪三振率10・47という姫路のドクターKになった。
二足のわらじを申し出た際、会社は「頑張って!」と活動を快諾してくれた。「登板日に有給を使ったり、会社には本当に感謝しています」。チームからは給料を受け取らず、平日は勤務後に自宅付近を走ったり、ジムに通う。練習量も限られ、登板後は今までになかった筋肉痛を経験したが、それも心地よいという。
両立は簡単ではないが、その分、充実感もある。前田は「完成度を求めつつ、勝利とか結果も求めたい。今は野球を楽しんでいます」。理想は1試合27球で終わること。「早く終わって次の日の仕事に備えたいです」と“サラリーマン時々エース”が日々、全力投球している。(高柳 義人)
◆前田 大輝(まえだ・ひろき)2003年8月19日、姫路生まれ。22歳。勝原小2年に「熊見コンドル」で捕手で野球を始める。中学では硬式の龍野ボーイズでプレーし、2年から投手に。公立進学校・姫路高で1年夏からベンチ入り。3年春から背番号1を付け、149キロをマークも夏の兵庫大会は初戦敗退。筑波大で3年春に6登板も、その後は登板なし。
◆姫路イーグレッターズ 兵庫県姫路市を拠点とし、23年4月に設立。24年からさわかみ関西独立リーグに参加。球団名の由来は「白鷺城のように壮大で、優雅に世界に羽ばたいていこう」という思いから。メイン球場は、姫路ウインク球場、姫路市立豊富球場、三木山総合公園野球場。










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