◆JERAセ・リーグ 巨人3―1広島(20日・東京ドーム)

 最大のピンチを迎え、巨人・井上温大投手(25)の心が燃えた。2点リードの7回2死満塁。

「とにかく長打はないように。四球でもOKという気持ちで厳しく攻めた」。一打同点の場面で迎えた名原を、外角高めの148キロ直球でねじ伏せて右飛。打者を仕留めると力強くグラブを叩いた。7回1失点でキャリアハイの9勝目。7月の時点で24年の8勝を上回った。

 先制パンチを浴びても、心は落ち着いていた。初回2死からファビアンにソロを被弾。それでも「粘れば必ずチャンスはある」と信じた。連打を浴びても後続をきっちり仕留めて2回以降は無失点。4回途中には岸田が負傷交代。捕手が大城に代わったが「問題なく投げられた」と動じなかった。

8Kのうち、7三振は直球が決め球。ひたすら耐えて援護を待った。

 救ってくれたのは、この日も笹原だった。5日の中日戦(バンテリンD)では背番号95の決勝弾で7勝目。「打ってくれてありがとう」と感謝を伝え、帰りの新幹線で駅弁をごちそうしたばかりだ。左腕が寮生の頃からともに切磋琢磨した間柄。だからこそ、仲間の放った一打が何よりも嬉しかった。

 監督推薦を受け、7年目で初の球宴出場が決定。どうしても話を聞きたい憧れの先輩は、同じ「はると」の名を持つ阪神・高橋だ。日頃から映像で投球をチェック。「奪三振集」の動画では変化球の使い方、マウンドでの立ち居振る舞いに目を奪われた。普段は「人と話すのが苦手で…」と話しかけられるのを待つ控えめな性格。

だが、技を吸収できるチャンスとなれば話は別だ。「同じ名前だとか、きっかけを作って頑張って聞きたい」。1週間後に迫った舞台に胸を躍らせながら、前半戦最後の試合を最高の形で締めくくった。

 自身4連勝で2ケタ勝利はもう目前。「次はもっと長いイニングを投げて、チームを助ける投球ができたら」。どこまでも突き進める無限の可能性が、温大にはある。(北村 優衣)

 【高木 豊Point】 ファビアンにこそ一発を浴びたが、井上は素晴らしいピッチングだった。回の先頭を出さない。四球は1と制球も抜群。そして何より8奪三振のうち真っすぐで取ったのが7つと、ストレートの走りがいい。自信がもたらすものだろうが、ピンチでも動じない。左の先発投手が竹丸、小笠原と豊富になってきたチームだが、安定感の出てきた井上が間違いなく左のエースだ。

(スポーツ報知評論家・高木 豊)

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