◆プロボクシング ▽WBA世界ライトフライ級(48・9キロ以下)王座決定戦12回戦 〇同級1位・吉良大弥―同級2位・カルロス・カニサレス●(9月2日、横浜BUNTAI)

 WBA世界ライトフライ級王座決定戦で、同級1位の吉良大弥(23)=志成=が同級2位カルロス・カニサレス(33)=ベネズエラ=を7回TKOで破って新王者に輝いた。デビュー5戦目での世界王座獲得は、元4階級制覇王者・田中恒成(畑中)に並ぶ日本男子最速記録。

デビューから累計19ラウンドでの戴冠は、井上尚弥(大橋)の36ラウンドを大幅に更新する日本史上“最速”記録となった。WBA世界ミニマム級王座決定戦では、同級1位の石井武志(26)=大橋=が1回1分5秒のKO勝ち。井上尚弥の1分10秒を上回る日本男子世界戦最速KO勝利で王座を獲得した。(観衆1829人)

 吉良がモンスターを上回る日本史上“最速”で世界の頂点に立った。3回にカウンターの左フックでダウンを先取。7回、左フックでアゴを打ち抜き2度目のダウンを奪いトドメを刺した。「ここが勝負やなと思ったタイミングで、フックがドンピシャに当たった」。フォロースルーが体に巻き付くようなKOパンチの感触を「やっぱ、スローに見えるもんなんですね」と笑顔で振り返った。

 デビューから5戦目での世界王座獲得はタイ記録だが、累計19ラウンドでの戴冠は、6戦目でWBC世界ライトフライ級王者となった井上尚弥(大橋)の36ラウンドを大幅に更新する新記録となった。世界に目を広げても、ムエタイ王者からボクシング転向3戦目で世界王者となったセンサク・ムアンスリン(タイ)の16ラウンドに次ぐ史上2位のスピード世界王者となった。ただ吉良自身は、最速記録について「そこの気持ちは全然ない。この試合に勝てたことが一番うれしい」と淡々と話した。

 デビュー時から「世界王者は通過点」と公言してきた。プロ転向に導いてくれた同門の元世界4階級制覇王者・井岡一翔(37)の背中を追いながらも「超えないといけない」と目標に掲げている。計量前夜に水抜きで4・5キロを一気に落とすなど過酷な減量を乗り越え「ライトフライ級はもう無理かな。違う色のベルトが欲しい」と階級アップも示唆。複数階級制覇について「その気持ちは強くなった。5階級制覇も、自分にしかできないことっぽいので、狙っていきたい」と日本人が誰も成し遂げていない大きな野望を見据えた。

 志成ジムは24年7月の井岡の王座陥落後、世界戦7戦連続で勝利から遠ざかっていた。ジム最年少の23歳が、王者不在だった2年間の空白を埋めた。「ここから志成ジムはトップに立っていく」。驚異的なスピードで頂点へと駆け上がったキラキラの新王者が、新時代のスタートラインに立った。(勝田 成紀)

 ◆吉良 大弥(きら・だいや)2003年5月30日、大阪・門真市生まれ。23歳。

父・学さんのジムで4歳からキックボクシングを開始。小学1年から柔道とボクシングを始め、中学からボクシングに専念。奈良・王寺工高では1年でアジア・ジュニア選手権50キロ級優勝、2年で高校選抜、3年で高校総体を制覇。東農大進学も、パリ五輪出場のチャンスが絶たれ2年で中退しプロ転向。アマチュア戦績は46勝(16RSC)6敗。24年6月にプロデビュー。家族は両親と元プロキックボクサーの姉2人。身長163センチの右ボクサーファイター。

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