◆JERAセ・リーグ 広島5―10巨人=延長11回=(5日・マツダスタジアム)

 主軸の風格だった。二塁ベース上の石塚裕惺内野手(20)は、表情を崩さず自軍ベンチに向かって高々と両手を突き上げた。

3―3の8回1死二塁で、6球目の外角高めフォークを逆方向へ。打球は右翼手の頭上を越え、一時勝ち越しの適時二塁打。橋上監督代行の「より大事な場面で回ってきたりはすると思うので、勝負強いバッティングができるような準備はしたい」と語っていた頼もしい20歳が、2日連続の5番起用に応えた。

 “幻弾”の借りを返した。3―3の6回先頭。4球目の高め147キロ直球を捉えた大飛球が左翼席へグングンと伸びていった。プロ1号か、と思われた大飛球は左翼のファビアンがフェンス際で飛びつき、差し出したグラブに収まった。まさかのホームランキャッチに阻まれたものの、次の打席で頭はきっちり切り替わっていた。

 新たな発見があった。4月下旬から下半身のコンディション不良で戦列を離れていた2か月間。矢野巡回打撃コーチの勧めもあり「野球につながる動きを取り入れてみようと」とトレーニング方法を変更。打席の体重移動を意識したチューブトレなどを初めて導入した。

リハビリ期間に指導を受けた矢野コーチからは「無欲で打席に立つことを忘れるなよ」と1軍に送り出された。

 プロ初のサヨナラ打となる右犠飛を放った1日・DeNA戦(京セラD)の試合後。インスタグラムのDMを通じ、矢野コーチに「初球を空振りして『強欲になってる』と思って切り替えました。ありがとうございます」と伝えた。支えてくれた周囲への感謝を忘れない姿も、チームの中軸にふさわしい背中だ。 

 守備では0―1の初回1死満塁で三遊間への鋭いゴロを横っ跳びで好捕。併殺を完成させ、チームの大ピンチを救った。「しっかり練習して少しでも不安要素を消して試合に入るようにしています」。優勝争いのラストスパートに入ったチームの中心に、頼もしい背番号23がいる。(内田 拓希)

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