アルゼンチン代表を牽引するメッシ photo/Getty Images
メッシの"お散歩"がスペースを生み出す
アルゼンチン代表FWリオネル・メッシは39歳になっても、やはり別格だった。イングランド代表とのワールドカップ準決勝では2アシストを記録して2-1の逆転勝利に導いたが、その真価は数字だけでは表せない。
試合序盤、イングランドは前線から激しくプレッシャーをかけ、メッシにはMFエリオット・アンダーソンがマンマーク気味に対応。アルゼンチンは思うように前進できず、メッシも序盤は自由を奪われていた。
しかし、メッシは試合中に自らプレイを修正する。前線に留まるのではなく、中盤まで下がってボールを受けるようになると、アンダーソンは「どこまで付いていくべきか」という判断を迫られることになった。
さらに『BBC』は、メッシ特有の"歩くプレイ"にも注目。ゆっくり歩きながら相手の集中を緩め、一瞬の加速でボールを受けることで守備陣を混乱させたという。ボールを長く持って相手を引きつけてから味方へ預けるプレイも増え、アンダーソンが空けたスペースをアルゼンチンが効果的に使う場面が目立った。
その象徴が85分の同点ゴールだった。メッシは右サイドからドリブルで中央へ運び、複数のイングランド選手を引き寄せてからエンソ・フェルナンデスへラストパス。フリーになったフェルナンデスが強烈なミドルシュートを突き刺し、試合を振り出しへ戻した。
『BBC』は、メッシが中央に固執せず右サイドへ流れ続けたことも勝因の一つと指摘する。
さらに後半、トーマス・トゥヘル監督が5バックへ変更したことも、結果的にはメッシに有利に働いた。最終ラインの枚数は増えた一方で、中盤の横幅をカバーする人数が不足し、右サイドのスペースがさらに拡大。メッシはそのエリアで自由を得ると、次々にクロスを供給し、後半アディショナルタイムにはラウタロ・マルティネスの決勝弾をアシストした。
『BBC』はまた、MFデクラン・ライスの交代後、ジュード・ベリンガムが守備的MFを務めたことにも着目。本職ではないポジションだったことで前へ出てプレッシャーをかけるタイミングが遅れ、フェルナンデスらアルゼンチンの中盤にシュートや展開する時間を与えてしまったと分析している。
身体能力では全盛期を過ぎたかもしれない。それでもメッシは、状況を読み、試合中に立ち位置や役割を変えながら相手の弱点を突き続けた。『BBC』は、この逆転劇を「監督リオネル・メッシ」がピッチ上で完成させた戦術的勝利だったと総括している。

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