作家・村上春樹さんがディスクジョッキーをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「村上RADIO」(毎月最終日曜 19:00~19:55)。8月30日(日)の放送は「村上RADIO~ひと味違う楽器でほっこりとジャズを~」をオンエア。

今回の放送では、普段のジャズシーンではあまり使われることのない珍しい楽器や、クラシック、民族音楽でおなじみの楽器を取り入れたユニークなジャズミュージックをお届けしました。ブズーキやバグパイプ、二胡(にこ)といった珍しい楽器から、ウクレレ、チューバ、オーボエ、チェロまで、多彩な楽器が奏でる味わい深いジャズの魅力をお届けしました。鍵盤付きヴァイブラフォンとも言うべき珍品楽器「ヴァイボリーズ」をフィーチャーした幻の音源や、名手ジョン・コルトレーンと16歳のチューバ奏者による熱いセッションなど、村上さんこだわりのアナログ盤音源も多数オンエア。

この記事では、中盤2曲について語ったパートを紹介します。

村上春樹「かなり盛り上がります」イギリスで組織されたユニーク...の画像はこちら >>

「村上RADIO」



◆The Ukulele Orchestra Of Great Britain 「Midnight In Moscow」

昨今はジェイク・シマブクロさんなどの活躍で、ウクレレでジャズをやるのは別に珍しいことではなくなってしまいましたが、少し前まではジャズの世界ではウクレレは「ちょっと風変わりな楽器」みたいに扱われていました。ライル・リッツという人がジャズ・ウクレレ奏者として有名でしたが、ウクレレだけでは食べていけなかったんでしょうね。半分はベース奏者として活躍し、ビーチ・ボーイズの『ペット・サウンズ』なんかでもウッドベースを弾いていました。ダブルベースとウクレレ、ずいぶん大きさが違いますが。

今日はイギリスで組織された「ウクレレ・オーケストラ・オブ・グレート・ブリテン」というユニークなバンドの演奏を聴いてください。英国のウクレレ奏者たちがたくさん集まって、みんなでウクレレを弾いて歌います。

かなり盛り上がります。「モスコーの夜は更けて」。


◆The Ray Draper Quintet Featuring John Coltrane「Paul's Pal」

チューバという楽器は、初期のジャズの世界ではポピュラーな楽器だったんです。当時はアンプリファイアが存在しなかったので、ウッドベースでは低音(ベースノート)を大きく響かせることができず、チューバがその代わりを務めていました。チューバは肺活量さえあれば、思い切り大きな音を出すことができますからね。それから戸外(こがい)を行進するときなんかも、ウッドベースを抱えて歩きながら演奏することはできませんものね。

しかし、やがてバップの時代に入り、ベースがだんだん大きな音を出せるようになってきて、チューバは「不格好な時代遅れの楽器」として、ジャズの世界から次第に姿を消していくことになりました。とはいえ、チューバという楽器に魅せられて、専門に演奏したミュージシャンも少しはいました。レイ・ドレイパーさんもその1人です。

盟友ジョン・コルトレーンと共演した「ポールズ・パル」を聴いてください。1957年の演奏ですが、このときドレイパーさんはまだ弱冠16歳でした。彼はその後、麻薬を使用した罪で刑務所に入れられ、チューバ奏者としての音楽生命はいったん断たれます。そしてジャズ・シーンから長く姿を消してしまいます。

プレスティッジのオリジナル・アナログ盤で聴いてください。
「ポールズ・パル」。

<番組概要>
番組名:村上RADIO~ひと味違う楽器でほっこりとジャズを~
放送日時:8月30日(日)19:00~19:55
パーソナリティ:村上春樹
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/murakamiradio/
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