先週はAI関連株の中でも続伸と急落する銘柄が混在する弱肉強食相場でした。今週は米国とイランの和平が週明け、合意に達したことで景気敏感株が全面高する可能性が高そうです。
今週のトピック:米国・イランの和平合意。日米中央銀行の金融政策
日付 イベント 6月14日(日)まで ・米国・イランが和平合意に到達。19日(金)にスイスで署名式予定 6月15日(月) ・米国で6月ニューヨーク連銀製造業景気指数 6月16日(火) ・日銀の金融政策決定会合終了。利上げ見通し 6月17日(水) ・米国で5月小売売上高・米国FOMC終了、金利据え置き予想。ウォーシュFRB新議長が初の記者会見 6月19日(金) ・5月の国内CPI
・米国市場は祝日で休場
・米国とイランの和平合意成立で景気敏感株が上げ相場を主導! 人工知能(AI)・半導体株も大型株式の新規公開(IPO)案件通過で反発?
・16日(火)終了の金融政策決定会合で日本銀行が利上げの見通し。2026年内の追加利上げが示唆されず、国債の買い入れ額の減額停止が決まれば金利敏感株に追い風?
・17日(水)の米国連邦公開市場委員会(FOMC)終了後のケビン・ウォーシュ連邦準備制度理事会(FRB)新議長の発言に注目集まる
6月15日(月)の日経平均
前営業日比763円高の続伸スタート。週明けの米国・イランの和平合意を受け前場では一時3,600円高の6万9,600円台まで上昇しました。後場になり6万9,300円台で堅調な動きをしています。(6月15日14時現在)
先週(6月8日~6月12日)の主要株価指数
終値 前週末比 前週末比率 日経平均株価 6万6,020円 ▲568円 ▲0.85% TOPIX 3,881.9pt ▲67.1pt ▲1.70% ダウ 5万1,202ドル +315ドル +0.62% S&P500 7,431pt +47pt +0.65% ナスダック 2万5,888pt +179pt +0.70%今週のマーケット:ホルムズ海峡開放で景気敏感株中心に全面高期待?AI株は選別進む!
日本時間15日(月)早朝、米国とイランが和平合意に達し、19日(金)にスイスで戦闘終結文書に正式署名するという報道が駆け巡り、今週の株式市場は大幅上昇に期待できそうです。
週末には双方の合意内容の認識にズレがあると報じられ、14日(日)時点ではイスラエルがレバノンを攻撃するなど、まだ事態は予断を許しませんでした。
しかし今週、米国とイランが和平合意に達し、日経平均株価が6月3日につけた6万8,786円の史上最高値を更新、6万9,000円台で推移しています。
相場のけん引役はやはり、米国の大型IPO案件通過で、ひとまず需給不安(換金売り)を脱したAI・半導体株になりそうです。
中でも半導体メモリの主力株・キオクシアホールディングス(285A)は先週も前週末比3.9%高で、ついにトヨタ自動車(7203)を抜き去り日本の時価総額No.1企業に踊り出ました。
ただ、先週は米国AI企業のオープンAIに出資するソフトバンクグループ(9984)が12.9%安、AIサーバー向けコンデンサーの村田製作所(6981)が11.8%安、光ファイバーの古河電気工業(5801)が14.2%安になるなど、大きく売られるAI銘柄も目立ちました。
AI関連なら何でも上がる一極集中相場はひょっとすると終焉(しゅうえん)を迎えたのかもしれません。
先週12日(金)の米国宇宙関連企業スペースX(SPCX)のIPOを受けて、衛星運営のスカパーJSAT(9412)や宇宙ゴミ回収のアストロスケールホールディングス(186A)など、日本でも宇宙関連株の盛り上がりにも期待したいところです。
さらにホルムズ海峡の完全開放が今週中に実現するようなら、自動車、化学、鉄鋼といった外需の景気敏感株や建設、不動産など内需株の見直し買いで全面高の可能性も高まります。
6月下旬には3月決算企業の株主総会が集中することもあり、村上ファンド系が大量保有するフジ・メディアホールディングス(4676)や香港のオアシス・マネジメントが大量保有する冷凍食品のニチレイ(2871)、AIデータセンター運営のデータセクション(3905)といった物言う株主絡みの銘柄も盛り上がるかもしれません。
今週は日米中央銀行が政策金利を決定する中央銀行ウイークです。
16日(火)には日銀が物価高対策で政策金利を31年ぶりの高水準となる1.0%に引き上げる見込みです。
その一方で日銀はこれまで金融引き締め策の一環として行ってきた国債買い入れ額の減額措置を2027年4月以降、停止する発表を行うもよう。
日銀が国債の買い入れを続けることで金利急騰リスクを抑え込む姿勢を鮮明にすれば、不動産株や建設株、国内の不動産投資信託(J-REIT)など、借入金が多く金利上昇が収益悪化につながる金利敏感株の反発上昇にも期待が持てそうです。
17日(水)夜には米国のFOMCも終了。米国ではガソリン価格高騰など物価高が加速しているため、利下げ見送りが濃厚です。
注目されるのは、今回、初めてFOMC後の記者会見に臨むウォーシュFRB新議長の発言。
ウォーシュ新議長はFRBに強硬な利下げ要求を行ってきたトランプ米大統領が直々に指名したこともあり、利上げには消極的なはずです。
ただ、同氏はFRBの政策転換が後手に回ることを嫌い、FRBが米国債を買い入れて量的緩和を行うことには懐疑的な見方を示しています。
今後、ウォーシュ新議長が利上げ・利下げ、どちらの方向で金融政策を行うのかは株式市場の大きな関心事。
もしトランプ大統領の意に反して、2026年内の利下げ見送りや早期の利上げ路線を鮮明にすると、株式市場に激震が走る恐れもあります。
注目イベント:米国・イランの和平合意で上がる株
週明け早々、米国とイランの和平合意報道が流れたことで、今週は中東での戦争や原油価格上昇で株価が下落した景気敏感株の反転上昇に期待できそうです。
先週の米国原油先物価格は1バレル84ドル台まで下落。代わりに銅や金の価格が週後半にかけて値上がりしています。
今週も、先週12日(金)に大幅高したAIデータセンター向け銅箔メーカーの三井金属(5706)や世界各国で銅や金の採掘を行う住友金属鉱山(5713)が続伸するかもしれません。
先週も前週末比2.6%下落して2026年の下落率が前年末比12.8%に達しているトヨタ自動車など自動車株が底入れするかも注目です。
AI株の一極集中相場に押されて、先週12日(金)終値が4月末比で23.3%も下落している防衛・原発関連の三菱重工業(7011)、原油高による建設コスト高騰懸念で同期間19.0%下落した清水建設(1803)など建設株、インフレによる金利上昇が収益負担になることで同期間に26.3%安となった住友不動産(8830)といった重厚長大企業の株価回復にも期待したいところ。
ただ、米国AI企業の大型IPO案件が続くことから、同じ景気敏感株でも、三井金属やAI向け電子機器部品製造装置メーカーで先週、43.9%も急騰した機械株の石井表記(6336)、半導体パッケージ向け素材も手掛ける化学メーカーのレゾナック・ホールディングス(4004)など、景気敏感株かつAI周辺株が最も有力な「和平合意で上がる株」の候補になるかもしれません。
市場別マーケット動向
日本市場
日本市場では16日(火)終了の日銀の金融政策決定会合で利上げが行われる見通しです。
植田和男総裁は病気のため会合を欠席。代わりに金融引き締めに積極的なタカ派寄りとの見方もある日銀出身の内田真一副総裁が記者会見を行う予定です。
利上げについてはすでに織り込み済みで、注目ポイントは内田副総裁が2026年内の早期追加利上げに言及するかどうか。
もし追加利上げを急がない方針を示すと、先週1ドル160円20銭台まで進んだ円安がさらに加速する可能性もあります。
その場合、今週中に政府・日銀が為替介入に踏み切る可能性も出てくるので要注意といえるでしょう。
米国市場
米国市場では先週12日(金)に宇宙関連企業のスペースXが新規上場。上場初日は終値160.95ドルをつけ、株式公開価格の135ドルから19.2%上昇しました。
今週もスペースXの株価が順調に上昇するかどうかに注目が集まります。
株式市場では上場初日の終値ベースで時価総額2.1兆ドル(約336.5兆円)に達するスペースXを買うために他の株を売る動きが強まる需給懸念もささやかれていました。
実際、AI関連の主力株エヌビディア(NVDA)は前週末比0.04%高と横ばい。
先週、好決算を発表したデータベース大手のオラクル(ORCL)は予想を超える巨額な設備投資額に懸念が集まり14.0%安となるなど、ソフトウエア関連株も急落しました。
しかし、日本のキオクシアHDと提携関係にある半導体メモリのサンディスク(SNDK)は27.0%高。半導体メーカーのインテル(INTC)は25.6%高となるなど、上昇するAI半導体銘柄も目立っており、今週もAI株の二極化相場が続きそうです。
業種・銘柄の動き
銘柄 先週の騰落率 ポイント スカパーJSAT(9412) ▲4.4% スペースXのIPO成功で同社にも見直し買い? 三井金属(5706) ▲1.3% 12日(金)に前日比17.6%高。今週も勢い続く? サンディスク(SNDK) +27.0% 日本一企業・キオクシアHDと連動性が高く今週も注目! オラクル(ORCL) ▲14% 好決算を発表したものの、巨額のAI設備投資額が懸念され急落。今週も続落?先週までの振り返り:AI株は弱肉強食相場に突入!金利安定や値上げが追い風の保険、不動産、食品株が上昇!
先週はAI関連株の一角が利益確定売りで下落する中、日銀が国債買い入れ額の減額を2027年4月以降、停止するという報道を好感して債券市場の安定が収益に貢献する金利敏感株が上昇しました。
週間の業種別上昇率1位には顧客の保険料を債券市場で運用する保険業、2位には借入金が多く金利低下が収益安定に貢献する不動産業が入りました。
主力の第一ライフグループ(8750)は5.5%高、三菱地所(8802)は5.4%高でした。
また9月納品分から製品値上げを行う予定のキッコーマン(2801)が13.4%高だった食料品セクター、株高で高額品の売上が好調な百貨店の三越伊勢丹ホールディングス(3099)が6.4%高となるなど小売業、サービス業といった内需株にも見直し買いが入りました。
一方、住友電気工業(5802)が15.7%安となるなどAIデータセンター向け光ファイバーメーカー株が売られたことで、非鉄金属セクターが下落率ワーストに。
また、米国のAI企業・オープンAIが顧客獲得のためにサービス料金の大幅値下げを検討中という報道が流れたことで、同社に出資するソフトバンクグループが12.9%も下落。同社の属する情報・通信業が下落率2位でした。
AIの計算能力向上に必要不可欠といわれる量子コンピューター関連株もフィックスターズ(3687)が39.2%安となるなど、大きく売り込まれました。
ただAI関連株が総崩れというわけではなく、米国のフィラデルフィア半導体株(SOX)指数が9.4%反転上昇したことで、東京エレクトロン(8035)が14.4%高となるなど、半導体製造装置メーカーの株価は大幅上昇しています。
セクター・業種(上昇・下落)
銘柄 騰落率 備考・要因 保険業 +5.11% 債券市場安定化期待で上昇 不動産業 +3.50% 長期金利低下で見直し買い 食料品 +3.47% 値上げによる収益向上期待で上昇 情報・通信業 ▲5.52% ソフトバンクグループ以外にもソフトウエア株が反落 非鉄金属 ▲10.11% 光ファイバー株が利益確定売りで総崩れ(トウシル編集チーム)

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