前回に続き「孫子の兵法に学ぶ株式投資術」をお届けします。「孫子の兵法」と「株価チャート」には共通の要素が無数にあります。

今回は、移動平均線の動きからトレンドの「潮目」をつかむ方法を伝授します。


【クイズ】孫子の兵法に学ぶ株式投資術:移動平均線から「伏兵」...の画像はこちら >>

今日のクイズ

 株価チャートには、投資家の動きを知るための重要な情報がたくさん含まれています。その見方を学ぶのが「テクニカル分析」です。そこで、「孫子の兵法」の考え方が役立ちます。


 チャートを見る時、株価の動きとともに、移動平均線の動きも見ることが大切です。特に、中長期のトレンドを表す13週移動平均線と26週移動平均線に注目してください。


 13週は約3カ月、26週は約6カ月に相当します。13週および26週移動平均線は、それぞれの期間の株価の平均値を結んだ線です。


 それでは、まずクイズを解いてください。


<クイズ>

 以下のA社とB社、どちらも宇宙関連で成長を期待する企業です。


 どちらか一つに投資するとしたら、どちらを選びますか?


【クイズ】孫子の兵法に学ぶ株式投資術:移動平均線から「伏兵」を探る
出所:筆者作成

【クイズ】孫子の兵法に学ぶ株式投資術:移動平均線から「伏兵」を探る
出所:筆者作成

孫子の兵法を学ぶ「百里にして利を争えば…」

 正解をお知らせする前に、一つ、孫子の教えを学びましょう。


「百里にして利を争えば、すなわち三将軍をとりこにせらる」


 本国から遠く離れた地まで、急いで遠征すると、兵たんが伸び切った状態となります。そうなると、先発隊、後発隊、補給部隊の3軍とも、個別に撃破される危険が高まります。その危険を教える言葉です。


 日本でも有名な「三国志」で、劉備玄徳が三顧の礼で迎えた軍師、孔明(諸葛亮)は、10万の大軍を、少ない軍勢で迎え撃つ時にたびたび使った戦法があります。最初の戦闘でわざと負けて逃げる、何度も負けてどんどん逃げて、敵軍を狭い通路に呼び込みます。


 先発隊が勢いづいて突進し、後発隊との距離が開くのを待ちます。十分に戦線が伸び切ったところで、敵の後方を伏兵によって左右から攻撃して、敵軍に壊滅的な打撃を与える戦法です。


 この兵法が、株価チャートとどのように関係するのか、考えてみましょう。


正解

 結論から言えば、B社への投資が賢明です。


 A社は、短期的に株価が急騰した結果、13週移動平均線からの株価のかい離率が100%を超えています。ここまで株価が過熱したところで買うのは危険です。何らかのきっかけから、利益確定売りが増えると、売りが売りを呼んで、株価が崩れることもあり得ます。


 ここでもう一度、A社チャートを見ましょう。


【クイズ】孫子の兵法に学ぶ株式投資術:移動平均線から「伏兵」を探る
出所:筆者作成

 株価を「先発隊」、13週移動平均線を「後発隊」、26週移動平均線を「補給部隊(食糧や武器を運ぶ部隊)」と考えてください。


 A社チャートは、まさに、孔明のわなにはまって先発隊が奥地まで深入りした状態です。兵たんが伸び切った状態で、売り手から猛反撃を食らうと、崩れるリスクがあります。


 このように13週移動平均線との上方かい離率(移動平均線からの上振れ度合いを示す指標)が大きすぎる時は、注意が必要です。買いは控えるべきで、もし保有しているならば、少し売ってみても良いと思います。


移動平均線は、長期のトレンド変化を表す

 株価は、往々にして短期的に上げ過ぎたり下げ過ぎたりします。いい話があると、投資家が楽観的になって一時的に「買われ過ぎ」ます。悪い話があると、投資家が悲観的になって一時的に「売られ過ぎ」ます。「買われ過ぎ」「売られ過ぎ」を繰り返しながら、株価は適正水準を求めて収束していくものです。


 13週移動平均線は、過去13週間の株価の平均値なので、「買われ過ぎ」「売られ過ぎ」が相殺されて、より滑らかな動きとなります。結果的に、長期のファンダメンタルズの変化を表していると考えることができます。


 株価変動と13週・26週移動平均線の図をご覧ください。


<株価変動と13週・26週移動平均線>
【クイズ】孫子の兵法に学ぶ株式投資術:移動平均線から「伏兵」を探る
出所:筆者作成

 図で、株価は2年間の間に、急騰「買われ過ぎ」、急落「売られ過ぎ」を繰り返しましたが、結局大きく上昇することも下落することもなく、2年後にはほぼ元の株価に戻っています。


 13週・26週移動平均線は、株価の短期的な過剰反応にあまり影響されず、長期のトレンド変化を表しています。


【注】株価チャートでは、13週・26週移動平均線ではなく、100日や200日の移動平均線が用いられることがよくあります。100日移動平均線は、13週移動平均線よりもやや長く、200日移動平均線は、26週移動平均線よりも長い指標です。


「超」成長株の見つけ方

 AIエージェント、フィジカルAI、エネルギー、バイオ、宇宙などこれから日本株を牽引する成長テーマが増えてくると思います。成長株投資にチャレンジしたい方に、以下、私の新著をご紹介します。幻冬舎より5月27日に出版されました。


 私がファンドマネージャー時代に実際にやっていた成長株の見つけ方を解説しています。


2000億円超を運用した伝説のファンドマネジャーが明かす「超」成長株の見つけ方
【クイズ】孫子の兵法に学ぶ株式投資術:移動平均線から「伏兵」を探る
「2000億円超を運用した伝説のファンドマネジャーが明かす「超」成長株の見つけ方」書影

(窪田 真之)

編集部おすすめ