28日午前の日経平均株価は6万2,000円の節目を下回り、個人投資家の関心が根強いキオクシアホールディングス(285A)が一時ストップ安(制限値幅の下限)まで下落した。投資家心理が大きく悪化するなかどのようにマーケットと向き合うべきか。

個人投資家でSNSなどでも精力的に情報発信するたけぞうさんに緊急インタビューした。


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日経平均急落、半導体株安の原因は何か?

トウシル編集部(以下、編集部):28日午前に日経平均株価は4%超下げ、キオクシアホールディングス(285A)が一時ストップ安となるなどマーケットが荒れています。この荒れ相場の原因は何でしょうか。


たけぞう:二つの要因があると考えています。一つは半導体製造装置や製品分野での中国勢の台頭です。中国半導体メモリー大手の長鑫存儲技術(CXMT)の親会社が27日、上海の新興企業向け市場に株式を上場しました。上場で得た資金で生産能力の増強を目指しています。CXMTは米アップル(AAPL)がメモリーの調達を打診したとも一部報道で取りざたされている会社です。


日経平均4%の急落、キオクシアはストップ安。日本株、AI相場の行方は?たけぞうさんに聞く
たけぞうさん

 これまで世界の株式相場はAIインフラの需要に伴いメモリー製品などさまざまな部品が高い値段で売れて、各企業の利益も増大するのではないかとの期待が高まっていました。


 一方、CXMTの上場での生産能力増、アップルも部品調達先を変更し、少しでも安い部品を調達して、他の企業も同様の行動をとるのではないかとの見方から、部品メーカーの利益率がこれまでの想定よりも低下するのではないかとの懸念が強まったとみています。いわば高まっていた期待が懸念に変わるという逆回転がマーケットの心理を著しく下げている状況です。


 もう一つの相場急落の要因は韓国などのレバレッジ型上場投資信託(ETF)の影響です。半導体関連の上昇局面ではさらに関連株の上昇の勢い(モメンタム)に拍車をかけてきたのはレバレッジ型ETFの影響があったとみています。


 28日午前には韓国の金融規制当局である金融委員会(FSC)の李億遠(イ・オクウォン)委​員長が個人投資家の個別株レバレッジ型ETFへの投資について、必要に応じて​上限の設定を検討する​方針を示したと伝わっています。韓国市場は個人投資家の比率が高く、こうしたレバレッジ型のETF活用も多いという特徴があります。


 相場の上昇局面ではさらに上昇の勢いを増す推進力になった一方、下落局面でも勢いを加速させてしまいます。結果としてこうしたレバレッジ型ETFを買っていた投資家の懐具合も急速に悪化し、ポジション解消が急速に進むといった悪い一方通行にもなっているのが現状だとみています。


今までに経験のないハイボラ相場、半導体関連の決算には注目も…

編集部:たけぞうさんは場立ちでマーケットに入り個人投資家としての経験も豊富ですが、今のマーケットの特徴をどうみていますか?


たけぞう:長くマーケットにいても経験のない相場です。2026年前半は半導体関連や日経平均も大きく上昇しましたがこれほどのペースで上がるとは想定していませんでした。個人投資家をはじめ、ヘッジファンドなど比較的短期で売買する投資家、さらに多くの投資家が半導体に偏って資金を投じたとみています。


 さらにレバレッジ型ETFなどの影響、アルゴリズム取引などもあってマーケットの動く速度が増幅しています。時価総額が大きい銘柄の日々の値動きの大きさも見たことのない動きとなっています。


編集部:足元で半導体関連の下げ基調が強まっている中で反転のきっかけは何だと考えていますか?


たけぞう:やはり決算の内容でしょう。30日には東京エレクトロン(8035)、31日にはキオクシアHDが決算を発表する予定です。市場予想よりも良い利益を出せているか、見通しも市場予想より良いかといった点です。投資家心理が悪化している中、満点に近い内容となれば投資家心理が改めて上向く可能性があると考えています。


 ただし、一方通行で動きやすい相場ですので注意も必要でしょう。特にキオクシアHDなどは信用買い残もあり、高値からの下落幅を考慮すると個人投資家の追証(おいしょう)が発生しているとみています。信用買い残の整理が進む必要もあるとみています。


個人投資家は中長期の目線で冷静に。低PBR株、高配当株などに注目

編集部:個人投資家が取るべき投資戦略はどのようなものでしょうか。


たけぞう:中長期の目線ではまず基本に立ち戻って冷静になる必要があります。決算発表シーズンでもありますので業績を丁寧に確認し、冷静にマーケットと向かい合っていく投資行動が重要でしょう。


 注目は低株価純資産倍率(PBR)株や高配当株です。半導体株の上昇している間に多くの投資家が注目していなかった大型の低PBR株や高配当株は足元で底堅く推移しています。半導体関連のような派手な株価の動きはないと思いますが、業績や配当利回りを考慮すると「割安」な銘柄が多くなっています。


 直近ではPBRが1倍未満の銀行株などにも最近は物色が入っています。半導体関連に比べると派手さはないもののバリュー株や高配当株には中長期の目線で投資をしてもよいと考えています。


 短期で利ザヤを稼ぎたい個人投資家もいると考えています。そういった投資家は半導体関連の短期売買をしていくと思いますが、相場格言にある「頭と尻尾はくれてやれ」といったスタンスが重要でしょう。テクニカル面ではこれまでの「当たり前」が通用しない値動きをしています。


 値動きの初動はあえて様子見をして改めて勢いが出てきたタイミングで順張りしていくという投資スタンスを取った方が「往復びんた」を食らう可能性を低減できると考えています。


決算発表本格化、株主還元か成長投資か企業のスタンスに着目

編集部:決算発表が本格化していく中で注目するべき点はありますか?


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たけぞうさん

たけぞう:株主還元を強化するのか、成長投資に資金を振り向けるかといった企業のスタンスです。株主還元を強化した銘柄に買いが強まる場面がありました。コーポレートガバナンス・コードの改定で企業が持つ資本の使い道への注目度が高まっています。


 PBRの低い企業がどのようなスタンスで投資家と向き合うのか、業績動向とともに企業がどのような未来を描いているのかを探るタイミングとして内容を丁寧に見ていく必要があると考えています。


(トウシル編集チーム)

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