3300tの塊が動いた

 京急本線の泉岳寺~新馬場間連続立体化交差事業工事は、2026年2月末に大きな動きがあり、品川駅の南に位置する八ツ山橋梁「八ツ山跨線線路橋」がJR線をまたぎました。さらに品川駅を挟んだ北側では、JR東日本のTAKANAWA GATEWAY CITY(高輪ゲートウェイシティ)がグランドオープンしました。

そこで2026年3月29日に現場を空撮し、大きく変わりつつある品川駅一帯を記録しました。

JR線の上で「3300tの塊」が動き、令和の「新・天空都市」...の画像はこちら >>

 八ツ山跨線線路橋は既存のトラス橋を架け替え、送り出し工法によって新たなトラス橋を架設します。送り出し工法は主に足場が組めない状況で用いられる工法です。八ツ山にはJR在来線が8線と東海道新幹線が2線あるためこの工法が採用され、京急がJR東日本へ委託しています。白亜の新しいトラス橋は前部に前方仮設トラス、後部には後方仮設トラスが接続されており、前後の仮設トラスがガイド役となります。

 2月23日深夜、JR線の終電から初電までの間に実施され、橋桁は合計10線のJR線をまたぎながら、77mあまりも移動しました。移動の速度は1分間に約2mとのこと。トラス群は総重量3300tもあり、その塊が仮設構台をゆっくりと進み、前方仮設トラスが構台からニュッと延びてJR線をまたぎました。残り9回の送り出し作業によって架設されます。

 上空から見ると、現行のトラスの横に前方仮設トラスが架かっています。巨大なトラス群がニュッと延びて少々物々しくもあり、見慣れた景色がガラッと変化していく時代の流れを、改めて感じさせられます。眼下の前方仮設トラスは、やがて北品川駅方向へと送り出されながら細かく解体され、白亜のトラスが架かると消滅します。

高輪は「天空都市」が本格始動

 品川駅一帯は江戸から明治になった頃、まだほとんどが海でした。1872(明治5)年の旧暦5月7日、品川~横浜間に日本初の鉄道が仮開業。正式開業は新橋~横浜間で、このうち新橋~品川間は海上に築堤を築く大工事となりました。

 時は過ぎ、品川駅一帯は2013(平成25)年にJR東日本田町車両センターが廃止され、品川・高輪地区の都心の一等地は大規模再開発されました。2019年11月、山手線と京浜東北線の線路移設後に地中を掘削すると、開業時の海上築堤がほぼ完全な形で出土しました。

 海上築堤は港区教育委員会をはじめとした調査機関によって調査されることとなり、地名を冠して「高輪築堤」と命名されました。高輪築堤は浜松町~品川間に残存していると考えられ、2020年から再開発されるエリアの遺跡調査が開始されました。錦絵に登場した橋梁「第7橋梁」がほぼ完全体で出土するといった大発見があり、日本の鉄道史における最重要かつ新発見の土木遺構が令和の世の中に出現しました。

 ただし、高輪築堤は再開発エリアの1街区~4街区と重なり、それぞれの街区には高層ビルが建設されます。JR東日本と高輪築堤調査・保存等検討委員会は協議を重ねた結果、ほとんどの高輪築堤は記録保存の後に解体されることとなりましたが、第7橋梁など一部の遺構は国の史跡「旧新橋停車場跡及び高輪築堤跡」へと指定され、ビルの設計変更を経て現地で保存されることとなりました。

 再開発エリアはJR東日本が「TAKANAWA GATEWAY CITY」と命名し、2025年3月に高輪ゲートウェイ駅に直結する4街区が先行開業しました。4街区は地上30階建ての複合棟Iで、名称は「THE LINKPILLAR 1」。

NORTHとSOUTHのツインタワーとなっています。

 TAKANAWA GATEWAY CITYは、地上30~44階建ての超高層ビルが4棟、地上6階建て1棟が並び、それぞれの高層棟は上部に斜めの意匠が施されています。これらは機能的なものではなくデザインによるものとのことです。

 1街区は高級賃貸レジデンス棟とインターナショナルスクールの入る「TAKANAWA GATEWAY CITY RESIDENCE」で、地上44階建てです。家賃は目が飛び出るほどの高額ですが、線路側は東海道新幹線やJR在来線が望めます。

 2街区は6階建ての複合文化施設「MoN Takanawa」です。この棟は住居やオフィスではなく複合型ミュージアムとなり、アート発信施設としての活躍が期待されます。隈研吾建築都市設計事務所が外装をデザインし、ランダムな螺旋状デザインの外観には木材がふんだんに取り入れられ、各階の外観には日本在来種の植栽が成されています。

 3街区は仮称・複合棟IIから「THE LINKPILLAR 2」と命名されました。地上31階建てで、隣のTHE LINKPILLAR 1とともに、オフィスや商業施設が入る複合棟です。THE LINKPILLARの3棟は高輪ゲートウェイシティの中核を成す街区となり、高輪ゲートウェイ駅と直結しています。

 高輪築堤が出土し、日本初の鉄道の土木技術がタイムカプセルとなって私たちの前へ現れた7年前が、遠い昔のように感じます。

JR東日本は「THE FIRST RAILWAY PROJECT」として現地保存の築堤だけでなく、出土した遺構を随所に活用しています。

【激変】再開発が進む品川駅界隈を見る(空中写真)

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