表参道は、渋谷区を通る東京屈指のおしゃれな通りとして、若者を中心に多くの人でにぎわっています。
では、「表」参道があるなら、対となる「裏参道」は存在するのでしょうか。
そもそも「参道」とは、神社や寺院を参拝するための道を指し、この場合は明治神宮へつながる道ということになります。
表参道は、青山六丁目(現在の表参道駅付近。開業当時は「青山六丁目駅」)から、神宮橋(原宿駅前)を経て、明治神宮内苑の南参道まで、青山通りと明治神宮を結ぶ役割を持っています。
手始めに、表参道の交番で話を聞きました。すると、「裏参道という言葉は聞いたことがある」としながらも、それがどこを指すのかはわからないといいます。周辺には「裏参道」の名を冠した店はいくつかあるようですが、そのあたりがかつて「裏参道」と呼ばれたエリアで、その名残が現在まで残ったのではないか、との推測でした。ただ、その真偽は定かではありません。
そもそも表参道は、明治神宮内の南参道へつながります。本殿が南を向いているためです。
では反対側はどうなのか。北参道を通り、代々木駅付近の交番でも話を聞くと、「裏参道は知らないが、表参道以外で“参道”とつく道路なら北参道(交差点)がある」と教えてくれました。
周辺の警察では「裏参道」という名称は使われておらず、数年ごとに交番を異動する警察官の勤務体系もあり、その記憶もあまり認識されていないようです。
再び南参道へ戻り、入り口付近にいた年配の男性に話を聞くと、「昔、裏参道と呼ばれていた道がある」と懐かしそうに教えてくれました。
その場所とは、南参道の反対側にあたる北側、北参道交差点から、外苑へ抜ける東京都道414号四谷角筈線あたりを指すとのことでした。
裏参道は乗馬道だった?北参道交差点付近を注意深く歩いてみると、「裏参道」の名残が見つかります。
まず目につくのが、山手線の代々木~原宿間の高架下にある「裏参道ガード」です。裏参道は、正式には「内外苑連絡道路」といいます。神宮外苑と内苑を結ぶ道であれば「表」の参道でもよさそうですが、北東へ延び、それが鬼門の方角にあたることから、「裏」とされたともいわれています。
北参道から神宮外苑まで、この都道414号線を歩いてみると、中央線や首都高4号新宿線と並走します。
明治神宮・南参道付近で話を聞かせてくれた年配の男性によれば、「明治神宮の内苑と外苑を結ぶ道は、かつて乗馬道だったと聞いている」といい、現在、高速道路の下にある駐輪場が、当時は乗馬道だったそうです。
しかし戦後、首都高速4号新宿線の建設時に、乗馬道の一部が転用されたといいます。
区間によって幅員は異なりますが、外苑から千駄ケ谷駅までは平均約54.5m、車道部分だけでも約11mあったようです。
北参道交差点付近から千駄ケ谷駅までは、徒歩10分ほどです。駅から北へ道なりに進むと、すぐに東京体育館や国立競技場、明治神宮外苑などが広がっており、おそらくこの辺りまでを「裏参道」と呼んでいたのではないかと考えられます。
戦前の地図で確認しても、外苑へつながる道筋が確認でき、その推測を裏付けています。
最後に千駄ケ谷駅至近の交番でも話を聞きましたが、目の前を通る都道414号線が「裏参道」と呼ばれていた事実は確認できないとのことでした。公的機関では「裏参道」という名称は使われていないものの、「裏参道児童遊園地」という小さな公園が残るなど、その痕跡はわずかに今も残っています。

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