正体は「クルーレスト」長距離便を支える乗務員休憩室

 東京からニューヨーク、ロンドンへの直行便など、10時間を超えるような長距離フライト。あれだけ長い時間、機内のサービスを担うキャビンアテンダント(CA)や、操縦桿を握るパイロットは、いつ・どこで休んでいるのでしょうか。

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 じつは多くの長距離国際線の機体には、乗客が立ち入れない「隠し部屋」が設けられています。その名も「クルーレスト(Crew Rest)」。日本語では「乗務員休憩室」などと訳せる、機内に隠された乗務員専用の寝室です。

 こうした設備は、なにも航空会社の親切心だけで用意されているわけではありません。アメリカのFAA(連邦航空局)などは、長時間運航で交代要員を乗せる場合の勤務・休養要件や、機内休憩設備の区分を定めています。クルーレストは、こうした長距離運航を支える設備のひとつです。

 クルーレストは、運航乗務員用と客室乗務員用に分けて設けられることがあります。たとえばボーイング787では、機体上部に運航乗務員用と客室乗務員用の休憩エリアが設けられています。一方で、寝台や座席の数、配置は機種や航空会社の仕様によって異なります。

 設置場所は機種や仕様によってさまざまです。ボーイング787のように客室上部、いわば天井裏のスペースを使う機体もあれば、機体後方や客室内の仕切られた座席区画などを使う例もあります。乗客から見えにくい場所に設けられているため、「機内にもうひとつの小さな空間がある」といえるでしょう。

 CNNの取材では、ユナイテッド航空の客室乗務員が、内部にはマットレスや換気口、温度調節機能、国際線ビジネスクラスに近い寝具が用意されていると説明しています。一方で、空間はコンパクトで、日本のカプセルホテルのようだと形容されることもあります。

なぜ乗客は入れない? 休憩環境と安全を守る専用スペース

 ではなぜ、そこまで「隠す」必要があるのでしょうか。

飛行機に「隠し部屋」があるって本当!? 乗客立ち入り厳禁の天井裏とは? “パイロットとCA専用”です
クルーの休憩場所がどこかにある(画像:写真AC)

 ひとつには、安全管理上の理由があります。クルーレストは乗務員が休息を取るための専用区画であり、乗客が不用意に入れないよう、扉やアクセス方法が目立ちにくく、厳重に施錠されています。もうひとつは、乗務員が外の音や視線から離れ、短い休憩時間にしっかり体を休める環境を確保するためです。

 入口は、収納やクローゼットのように見えることもあり、乗客が気づきにくい形で設けられている場合があります。ただし、乗務員専用の区画であるため、むやみに開けようとしたり、扉に触れたりしてはいけないセキュリティ区画なのです。

 休憩のとり方にもルールがあります。米FAAは、運航乗務員向けの休憩施設をクラス1(操縦室・客室から分離された、横になれる寝台などを備える温度管理可能な区画)、クラス2(客室内で、カーテンなどにより乗客から隔てられたフラットまたはほぼフラットな座席)、クラス3(40度以上リクライニングし、脚や足を支えられる座席)の3段階に分類しています。

 長距離運航で交代要員を乗せる場合、こうした休憩施設のクラスが、勤務できる時間の上限に関わってきます。なお、誘導路走行中や離着陸時に使えるかどうかは、機体の設計・認証条件や航空会社の運用手順によって異なります。

 CNNに登場したフィンエアーの客室乗務員は、自身の例として、長距離便での休憩は平均すると約1.5時間ほどだと説明しています。その短い時間に足を休め、頭を切り替え、非常時に備えて体調を整えているのです。

 ふだん搭乗するときには目に入らない、機内のもうひとつの空間。次に長距離便に乗るときは、客室の天井や機体後方のどこかで、乗務員が交代で休みながら安全運航を支えているのだと想像してみると、機内の見え方が少し変わるかもしれません。

 それこそが、空の旅を支える「隠し部屋」の役割なのです。

【映像】快適そう…でもデカい! 「クルーレスト」設置や内部(57秒)

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