化粧品や美容家電を企画・販売するAiロボティクス<247A>は、美容商材を展開するBJCの子会社化を機に、EC(電子商取引)中心の事業構造からの転換を進める。
自社開発のAIシステム「SELL」を活用して、BJCが持つ店頭・サロン販路を成長基盤に取り込み、2027年3月期には売上高に占める卸の比率を現在の2倍ほどの70~80%に引き上げる。
2027年3月期はBJC買収前の2026年3月期に比べ、売上高、営業利益ともに2倍ほどに拡大する見通しで、さらに2028年3月期、2029年3月期も高成長を見込む。
BJCに次ぐM&Aにも前向きで、ブランドの多角化やAIマーケティング機能の強化につながる案件を取り込むことで、成長を加速する考えだ。
プロ向け美容商材の販路を獲得
Aiロボティクスは、化粧品や美容家電のD2Cブランド(自社で企画した商品を、主にインターネットを通じて消費者に直接販売するブランド)を展開して成長してきた。
同社は、美容市場の大半が店頭・卸販路にあるとの認識から、EC中心の販売だけでは市場開拓に限界があると判断した。
子会社化したBJCはエステ業界や美容室などのプロ向けに、まつ毛美容液やスキンケア商品などを中心に美容商材や健康食品などの企画・卸売事業を展開している。
参入障壁の高いサロン流通で優位なポジションを確立しており、2025年10月期は売上高108億円、営業利益30億7100万円だった。
BJCグループが持つサロン網と、AiロボティクスのEC運営ノウハウを組み合わせ、提携店舗の拡大や美容サロン向け新ブランドの創出につなげる。
BJCの業績が加わる2027年3月期は、売上高560億~600億円(前年度比90.7%~104.4%増)、営業利益75億~100億円(同97.2%~163.0%増)と、売上高はほぼ2倍、営業利益は最大で2.6倍規模に拡大する。
さらに2028年3月期は売上高1100億~1200億円、営業利益150億~200億円、2029年3月期は売上高2200億円、営業利益400億円と、両期とも売上高、営業利益ともに2倍前後の成長を見込む。
AIシステムを武器に事業モデルを転換
Aiロボティクスは2016年、女性向けライフスタイル動画配信サービスや広告配信を手がけるHowTwoとして創業した。
2018年には成果報酬型のAIマーケティング事業を開始。同年、広告運用の自動化を目的に、AIシステム「SELL(セル)」の開発に着手し、2020年には社名をAiロボティクスに変更した。
2021年にスキンケアブランドを展開するYunthと17skinに出資し、翌2022年に両社を完全子会社化した。
同年、自社ブランドの企画・販売を行うD2Cブランド事業を開始したあと、両社を吸収合併した。
2023年にはAIマーケティング事業の機能をD2Cブランド事業に集約することを決め、事業の軸足をブランド運営に移した。
現在は商品開発やマーケティングなどの中核業務に経営資源を集中するファブレス型(製造を外部企業に委託する事業形態)の事業モデルを採る。
2026年3月期の販路別の構成比は自社ECが48.4%、ECモールが17.6%で、EC関連が66%に達し、残りの34%は店頭卸が占めた。
同社は、AIシステム「SELL」を競争力の源泉と位置付ける。
ECで蓄積した顧客データと店頭の購買データを組み合わせ、商品開発や広告運用、需要・在庫予測、顧客対応などに生かせる点を強みとする。
社名のAiロボティクスは、AIとRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を組み合わせた自社システム「SELL」で、業務を自動化していることに由来する。
BJCの買収でサロン販路を取り込み、AIを活用したマーケティングの対象をECから店頭・サロンへ広げることで、2027年3月期には売上高に占める卸の比率を現在の2倍ほどの70~80%に引き上げ、EC基盤を維持しつつ、卸を主軸とするハイブリッド型へ構造を転換する。
次の照準はブランド多角化とAI機能強化
Aiロボティクスは、BJCに次ぐM&Aについて、ブランド力とマーケティング機能の両面を同時に強化できる案件を検討する。
ブランド強化では、ブランドポートフォリオの拡充を目的に、売上高50億円以上の規模を持ち、EC販売と卸販売の双方で成長余地がある企業や、特定分野で一定のシェアを持つブランドを候補に含める。
一方、マーケティング強化では、AIシステムの強化や、マーケティングチャネルの拡大、優秀なエンジニア人材の確保などにつながるM&Aを検討する。
ブランドを増やすだけでなく、販売力やデータ活用力を高めることで、事業成長と販路拡大を目指す。
矢野経済研究所が2025年11月に公表した国内化粧品市場に関する調査によると、2025年度以降は、高機能製品など高付加価値化により引き続き単価が向上するほか、インバウンド(訪日観光客)需要も回復する見通しとしている。
さらに2030年に向けて化粧品産業はDX(デジタルトランスフォーメーション)化が進むとともに、ECと店頭を連動させた販売手法の拡大や、AI活用の本格化など、事業構造の大きな変革が起きると予測する。
こうした市場環境を追い風に、Aiロボティクスはブランドや販路、AIマーケティング機能をM&Aで取り込み、EC依存からの脱却と成長加速を同時に進める。
文:M&A Online記者 松本亮一
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