DXやトレーディングカードの「スカラ」売りから買いへM&A方針を転換

DX(デジタルトランスフォーメーション)やトレーディングカード(収集や交換、売買、対戦を楽しむカード)事業などを手がけるスカラ<4845>が、売りから買いへM&A方針を転換した。

2026年7月に、トレーディングカードショップを展開するHATO(大阪市浪速区)を子会社化し、通信キャリアショップ向けシステムを開発するテラ(神奈川県鎌倉市)の子会社化を決めた。

2024年6月期から2025年6月期までは企業売却が中心だった。

それ以前の6年間は買収で業容を拡大してきた実績があり、今後は売りから買いへの転換に加え、買収の狙いも多角化から既存事業との相乗効果重視へ改める。

中期経営計画では、2026年6月期から2028年6月期までの3年間にM&Aに20億~100億円を投じる計画を掲げており、買収案件の積み上げが焦点となる。

相乗効果重視で2社の子会社化へ

スカラは2025年9月に公表した「中期経営計画2026-2028」で、2026年6月期から2028年6月期までに成長投資枠として30億~130億円を設け、M&Aを投資の中心に位置付けて20億~100億円を充てる方針を示した。

同計画では、2018年6月期から2023年6月期までの6年間は、祖業であるIT関連事業以外の領域への多角化を進め、2024年6月期と2025年6月期は事業構成の見直しと固定費削減を含む事業構造改革に取り組んだと振り返っている。

2026年6月期からの3年間は、DX事業(企業向けシステムの開発など)、人材事業(採用支援)、TCG事業(トレーディングカード販売)、インキュベーション事業(新規事業の開発など)の4事業で、既存事業の成長とM&Aによる非連続な成長を目指す計画だ。

2025年6月期の決算説明会では、M&A方針の転換をさらに明確にした。

同社は、この1~2年は事業譲渡などの事業構造改革が中心だったが、2025年6月期の業績回復を受け、2026年6月期から攻めのM&Aを再開すると説明した。

対象はDX、人材、TCGの各事業と相乗効果が見込める企業とし、既存事業を補完、拡張する買収を進める。

この方針転換後の最初の買収となったのがHATOだ。

スカラは2026年7月1日、子会社のスカラプレイスを通じてHATOの全株式を取得した。

HATOは「トレカサンライズ」の名称でトレーディングカードショップを展開する。

一方、スカラプレイスはEC(電子商取引)サイト「カードショップ -遊々亭-」を運営しており、HATOの買収によって実店舗をグループに取り込んだ。

すでにスカラは2026年6月期第1四半期から、セグメントの名称をそれまでのEC事業からTCG事業に変更している。

また2026年7月23日には、2026年9月1日にテラの株式80%を取得し、子会社化することを決めた。

テラは通信キャリアショップ向けPOSシステム「TelephoneMaster」などを開発し、約2500店舗への導入実績を持つ。

スカラはテラの業務データや顧客基盤と、自社が持つ生成AI(人工知能)などの技術を融合し、店舗運営支援サービスの高度化や新たなAIオペレーションプラットフォームの構築を目指す。

多角化を経て売却を進める

スカラはIT関連事業を核に、買収によって事業領域を広げてきた。

2010年にニュース配信サービスのニューズウォッチ、2015年にウェブソリューション事業のトライアックスを子会社化した。

2016年には営業支援システムのソフトブレーンを連結子会社化し、営業支援分野に進出した。

2018年以降は多角化を加速し、コールセンター運営コンサルティングのレオコネクト、IP電話サービスのコネクトエージェンシー、コンサルティング事業のジェイ・フェニックス・リサーチを相次いで子会社化した。

2020年には就職支援や地方創生事業を手がけるグリットグループホールディングス、2022年にはシステム開発のエッグなど4社、ペット保険の日本ペット少額短期保険、プロバスケットボールチーム「さいたまブロンコス」の運営会社を傘下に収めた。

一方、2020年には2016年に傘下に収めたソフトブレーンを譲渡した。

2024年6月期からは売却の動きが強まり、コネクトエージェンシーやジェイ・フェニックス・リサーチ、ソフトウエア開発のRetool、日本ペット少額短期保険を相次いで譲渡した。

DXやトレーディングカードの「スカラ」売りから買いへM&A方針を転換
スカラの主なM&A

事業整理を終え収益構造を転換

同社は中期経営計画で、2024年6月期から2025年6月期の2年間を、事業構成の見直しや固定費削減に取り組んだ事業構造改革の期間と位置付けている。

こうした事業構造改革を経て、スカラの2025年6月期は、売上高81億7900万円(前年度比0.2%減)、営業利益7億5100万円(前年度は14億4800万円の赤字)と、減収ながら営業黒字に転換した。

同期の売上高構成比は、DX事業が56.4%、人材事業が12.4%、EC事業(現TCG事業)が27.9%、インキュベーション事業が3.3%だった。

DXやトレーディングカードの「スカラ」売りから買いへM&A方針を転換
スカラの売上高構成比

2026年6月期は、企業売却を中心とする事業構造改革を経て、既存事業を中心とする収益構造への移行期にあり、売上高は88億円(前年度比7.6%増)、営業利益は6億3000万円(同16.2%減)を見込む。

HATOの買収効果が反映され、テラも子会社化する予定の2027年6月期は、中期経営計画策定時点で売上高101億円を目標に掲げていた。

売却によって事業構成を絞り込んだスカラは、既存4事業との相乗効果を重視する買収によって、再び成長軌道に乗ることはできるだろうか。

文:M&A Online記者 松本亮一

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