久しぶりの番組出演では後藤が彫った全身の刺青も披露され、言葉の節々からも波瀾万丈な人生を送ってきたことが伺えた。
そもそも、その後藤祐樹の芸能界デビューのきっかけとなったEE JUMPのことを、どれくらいの人が覚えているだろうか?
3人でスタートする予定だったEE JUMP
EE JUMPは、2000年にデビューしたソニンとユウキによる人気ユニットだったが、本来は3人でスタートするはずだった。モーニング娘。のオーディションに落選したソニンと、当時モー娘。の人気メンバーだった後藤真希の弟である(後藤)ユウキ、ハーフのケンという三人編成だったが、デビュー前に留学を理由にケンが脱退してしまう。
はじめから波乱含みのスタートではあったが、そのユニットへの周囲の期待はかなり大きかったようだ。
当時シャ乱Qやモーニング娘。のマネージャーを務めていた和田氏が社長をつとめる事務所からの後押しを受けて、デビュー曲「LOVE IS ENERGY!」のPVではニューヨークでの撮影などを敢行し、3億円という制作費をかけている。
その上、人気番組「笑う犬の冒険」のテーマソングなどにも使用された。
プロデューサーにはつんく♂
鳴り物入りでデビューしたEE JUMPが、代表曲といえるヒットを記録したのが、2001年に3rdシングルとして発売した「おっとっと夏だぜ!」だ。変わった曲調と歌詞のサマーソングだったが、見事オリコンチャート5位にランクイン。
それもそのはず、これらEE JUMPの曲を作詞・作曲していたのが、モー娘。プロデューサーでもあるつんく♂だったのだ。ここにもEE JUMPへの力の入れようが感じられる。
このようなことから、EE JUMPは「ハロプロ」内のユニットだと思われがちなのだが、実はそうではなく、アップフロントグループからのちに独立したハーモニープロモーションという事務所の所属だ。
ユニットなのに一人で活動、そして無期限活動休止
順調に人気を獲得しているかに見えていたEE JUMPだが、メンバーだったユウキがその過密スケジュールのせいもあって、マネージャーとの口論、暴行、脱走などを起こしていた。
そんな事態を重くとらえ、所属事務所はユウキを謹慎処分に。残されたソニンはその後ひとりでプロモーション活動をすることになり、実質EE JUMPはソニンひとりのプロジェクトとなっていった。
2002年にユウキが復活し、6thシングル「青春SUNRISE」が発表され、音楽番組などでは姉・後藤真希との初共演も果たすが、それもつかの間、その後まもなく起こったのが、当時15歳だったユウキによる「キャバクラ飲酒事件」だ。
これは、中学卒業直後だったユウキが歌舞伎町のキャバクラにいるところをフライデーされたという事件。
この不祥事によって予定していたファーストアルバムのリリースは中止となり、もちろんユウキは脱退という名の追放処分。その後のEE JUMP活動は白紙に戻り、事実上の解散に追い込まれてしまう。
この知らせを聞いた時、相方ソニンはあまりのショックに、鼻血が止まらなくなるという状態になったというから、その衝撃と苦労も想像に難くない。
その後、ユウキは芸能界を引退し結婚もするが、窃盗、暴行容疑で逮捕され実刑判決を受ける。
一方のソニンは解散後、ソロ活動を開始。ソロデビュー曲「カレーライスの女」ではソニンが今までのイメージを覆す「裸エプロン」姿を披露し、かなりの話題をさらった。
振り返ると、どう考えても最初から成功する要素が乏しいグループなのではと思ってしまうが、そんな破天荒なものを面白がって受け入れていた時代だったのかもしれない。
(空町餡子)
※文中の画像はamazonより爆笑問題 太田光自伝 (小学館文庫)