今年6月にトルコ、イスタンブールで約100年ぶりに再オープンして話題となった公衆浴場ハマム「アヤソフィア・ヒュッレム・スルタン・ハマム(Ayasofya Hurrem Sultan Hamami)」。1世紀ぶりに営業を再開したハマムとはどのようなところなのか、早速体験してきた!

館内は男女別。
コースは4種類(35分70ユーロ、50分90ユーロ、75分100ユーロ、90分165ユーロ)。マニキュア(10ユーロ)やペディキュア(15ユーロ)もある(※1ユーロはおよそ113円)。今回は垢すりと泡マッサージが含まれた35分の一番安いコースを頼んでみた。それでも市内にある他のハマム(15ユーロ前後)より4倍ほど高い。価格のためか、もしくはできて間もないためか、あまり客はおらず。予約無しでもすぐに入浴可能だった。
英語も通じる。

まずハマム内に入ると、体を5分間ほど蒸す。その後、ケセジ(三助)が垢すりをおこなう。まず顔からゴシゴシ。そして全身へ。そして、体をお湯で洗い流したら、次は中央にある台の上に寝て、泡立てた大量の石鹸を体にかけマッサージ。
再度、体を洗い流してシャンプー。最後に全身をタオルで拭いてもらえば終了だ。休憩スペース(個室もあり)では、湯上がりにミント入りの水と冷たいソフトドリンクを出してくれた。また、ハマム内はとても汗をかくので、もし途中で水を飲みたい場合はケセジに伝えれば持ってきてくれる。

そもそもこの施設、イスタンブール旧市街の中心地アヤソフィアとブルーモスクの間に位置する。さかのぼること西暦1556年、オスマン帝国大帝スレイマン1世妃ロクセラーナのために建てられたそうだ。
1910年まで浴場として使われていたものの、以降は刑務所、燃料貯蔵庫、国営の絨毯屋として使用。その後、再オープンを目指し2008年から3年の歳月をかけた復元作業がおこなわれた。プロジェクトはトルコ北西部、コジャエリ大学の歴史建造物を専門とする教授が中心になったという。

ちなみに、今回ケセジを担当したのは日本食レストランで働いたこともあるというオムルさん。ケセジになった経緯と客層を聞いてみた。
「私の場合は、大学で観光学を学んだ後、専門の学校に6カ月通い現在の職に就きました。
価格上、訪れるのは社会的地位の高い方が多いです」

また館内では、100%オリーブオイルの石鹸やハマム内で使用する金属製洗面器や体を覆う腰巻などオリジナルグッズも販売している。
「まだ準備中ですが、近い将来スルタン(イスラム世界の君主)の衣装を着て、記念撮影もできるようにする予定です」(受付担当者)

営業時間は7時~23時(入館は22時まで)。ただし、終業時間ギリギリに行くとゆっくりできない場合もあるので、なるべくなら余裕を持って訪れたい。時間を気にせず、優雅に時間を楽しむことが歴史あるハマムでの最高の過ごし方なのだ。
(加藤亨延)