好評放送中の大河ドラマ『西郷どん』。地元・鹿児島ではどれぐらい盛り上がっているのか、直接聞いてみた。
最初に伺ったのは、「西郷どん 大河ドラマ館」。観光面での中心的施設だ。
鹿児島市の「明治維新150年・西郷どん推進室」の上堀内さんによると、5月23日までの同館の入場者数は「20万人」とのこと。
これまで鹿児島を舞台にした大河ドラマは、同じく西郷隆盛を主人公にした『翔ぶが如く』(1990年)があるが、やはり、宮崎あおい主演の『篤姫』を思い浮かべる人も多いだろう。
放映された2008年、同じように大河ドラマ館が開設されたのだが、今回は、その時より22日早いペースで入場者数を伸ばしているという。
世代別で見ると、2月のアンケートでは50代がトップで30%。続いて40代、60代ともに17%という比率となっている。
今回の『西郷どん』は、『篤姫』より視聴率的にはおとなしい一方、大河ドラマ館の入場者数が多いことについて、「『篤姫』は歴史的にそこまで知られた存在ではなかったのに対し、西郷隆盛は誰もが知る有名人。そのネームバリューもあるのでは」(上堀内さん)とのことだった。
来館者の一番人気の俳優は誰なのか、「肌感覚で良いので」と、上堀内さんに聞くと、「館内には鈴木亮平さん(吉之助)、瑛太さん(大久保正助)、黒木華さん(岩山糸)、渡辺謙さん(島津斉彬)、北川景子さん(篤姫)の5人の等身大パネルがありますが、やはり鈴木さんのパネルの前で撮影される方が多い」としながら、「北川さんが御前相撲を観た回(2月4日の5話「相撲じゃ!相撲じゃ」)で着られた衣装を展示したときは、女性客が熱心に見ていた」とも。
問い合わせもいろいろあるそうだが、放送翌日、「昨日こういう場面があったが、本当なのか」と、劇中のシーンについて質問をされることもあるという。
「私も毎週欠かさず見ています」と言う上堀内さん。印象的な回として、次期藩主の座を賭けて、斉彬が父とロシアンルーレットで対決した4話「新しき藩主」(1月28日)、そして、吉之助の母・満佐(松坂慶子)が、息子の背中で息を引き取った7話「背中の母」(2月18日)を挙げてくれた。
館内には、西郷さんや大久保が過ごした家の再現セットや、ここでしか見られない『西郷どん』のメイキング映像シアター、クイズコーナー、県内の『西郷どん』ゆかりの地の情報など目白押し。大河の世界観を体感してほしい。来年1月14日まで開館。
そんな「西郷どん 大河ドラマ館」に程近い場所に構えるのが、「アミュプラザ鹿児島」。JR鹿児島中央駅と直結している大型商業モールで、グルメや雑貨・ファッション、映画館やゲームセンターといったアミューズメント施設も充実。
営業部・販売促進課の梅津さんによれば、普段この施設を利用するのは地元の20~40代女性が多いが、大河の影響で、男女問わず幅広い層の旅行客が増えた印象があるとか。
館内には約210店舗のお店があるが、そのうち20店舗で『西郷どん』関連の商品が販売されているという。
例えば、本館地下1階の「とらや」で売られている「かりんとうのパッケージには、西郷さんのイラストが。
かりんとうのバリエーションは、ピーナッツ、黒糖、野菜の3種。一番人気は黒糖とのこと。西郷さんは甘いものに目が無かったそうで、こうした黒糖を使ったお菓子もこよなく愛していたといわれている。
さらに、あらゆる靴下がラインナップされた本館2階の「靴下屋」では、公式キャラクター「西郷どん」や、愛犬「ツン」の刺繍が施された靴下が人気だという。
県外客利用の多いJR鹿児島中央駅新幹線の改札内に、主要キャスト5人の等身大パネルがあるが、北川景子さんの人形だけ一番傷んでいるという。
梅津さん曰く、「おそらく2ショット写真を撮ったり、触ったりする頻度が高いのでは」。北川さん演じる篤姫が出なくなって久しいが、人気は健在のようだ。
「日曜日はやはり忙しいため、リアルタイムで見られない」という梅津さん。だが地元の郷土史家を講師に招き、西郷さんの人物像や幕末の歴史などをスタッフ含めて教えてもらい、観光客のアテンドに役立てているという。
さらに調べると、西郷さんが若いころから入りに来ていたという温泉があるという。
それが、川内高城(せんだいたき)温泉。鹿児島の北西に位置する薩摩川内(さつませんだい)市にある温泉街だ。
「全国名湯百選」に選ばれたこともある名湯で、泉質は無色透明アルカリ性単純硫黄泉。トロトロとした肌触りでアルカリや神経痛に作用するという。
この中で特に西郷さんが好んで入っていたのが、湯田町にある、現在町営の共同湯。ここを運営している湯田地区コミュニティセンターの竹田さんに聞くと、もともと週末である土日の来訪者が多かったが、放送翌日は町外からのお客さんもよく来るようになったとか。共同湯は大人200円という安さも魅力。
ちなみに西郷さんは、湯舟の真ん中に浸かることはほとんどなく、常に隅っこに入っていたという。
竹田さんも毎週欠かさず見ているファンとのこと。印象的なシーンとして、15話「殿の死」(4月22日)で、斉彬が吉之助に「西郷、今からお前はわしになれ」と言って思いを託した場面と語り、「そこから吉之助も心持ちが変わっていったのかなあ」と振り返ってくれた。
中心地から離れた場所ではどうだろうか。鹿児島市内から車で90分、宮崎県との県境にある鹿児島県曽於市(そおし)。ここにあるオーガニック&自然食品専門店「ナチュラルヒルズ」店長・児玉勇太さんに聞いた。
『西郷どん』を、鹿児島県民として毎週視聴しているという児玉さん。1話に描かれた「妙円寺詣り」のシーンで、子どもたちが駆け抜けた知覧武家屋敷も見に行ったとか。
印象に残っている役者は渡辺謙。「斉彬無くして『西郷どん』は語れません!渡辺謙さんの演技が、斉彬のかっこよさを上手に表現していると思います」と熱く語った。
だが、15話(4月22日)で斉彬が亡くなってしまったことは悲しい気持ちでいっぱいだったという児玉さん。ちなみにこのナチュラルヒルズに売られている商品からお薦めを聞くと、「蜜ほしいも」を挙げてくれた。
「鹿児島県産のさつまいも『べにはるか』を焼き上げて、蜜につけて干したものです。
さらに調べていくと、「西郷酒盛」(さいごうさかもり)という店があることが
分かった。これは九州グルメが味わえる居酒屋だという。ただ実はこのお店、北海道にある!
そこで、大河ドラマの影響はあるのか、道内に2店舗あるうちの1つ、南3条店の店長・多田さんに聞いてみたのだが、放送後のリアクションについては「特に目立った反応はない」とのこと。
また、この大河ドラマの盛り上がりについて聞くと、「食を通して、鹿児島を始めとする九州に興味を持っていただけたら」という。
お店のお薦めは、「熊本直送の馬刺し」「ぷりぷりの大きいモツ鍋」「日本3大地鶏の1つ、薩摩地鶏」とのこと。さすがに北海道までは波及効果が広がっていなかったようだ。
さて、7月からはいよいよ坂本龍馬(小栗旬さん)が登場。新キャラ続々の『西郷どん』からまだまだ目が離せない。
2008年の『篤姫』よりも人気!?「西郷どん 大河ドラマ館」が入場者数を更新中
最初に伺ったのは、「西郷どん 大河ドラマ館」。観光面での中心的施設だ。
鹿児島市の「明治維新150年・西郷どん推進室」の上堀内さんによると、5月23日までの同館の入場者数は「20万人」とのこと。
これまで鹿児島を舞台にした大河ドラマは、同じく西郷隆盛を主人公にした『翔ぶが如く』(1990年)があるが、やはり、宮崎あおい主演の『篤姫』を思い浮かべる人も多いだろう。
放映された2008年、同じように大河ドラマ館が開設されたのだが、今回は、その時より22日早いペースで入場者数を伸ばしているという。
世代別で見ると、2月のアンケートでは50代がトップで30%。続いて40代、60代ともに17%という比率となっている。

鹿児島市明治維新PRキャラクター「西郷どん」に会えることも
今回の『西郷どん』は、『篤姫』より視聴率的にはおとなしい一方、大河ドラマ館の入場者数が多いことについて、「『篤姫』は歴史的にそこまで知られた存在ではなかったのに対し、西郷隆盛は誰もが知る有名人。そのネームバリューもあるのでは」(上堀内さん)とのことだった。
来館者の一番人気の俳優は誰なのか、「肌感覚で良いので」と、上堀内さんに聞くと、「館内には鈴木亮平さん(吉之助)、瑛太さん(大久保正助)、黒木華さん(岩山糸)、渡辺謙さん(島津斉彬)、北川景子さん(篤姫)の5人の等身大パネルがありますが、やはり鈴木さんのパネルの前で撮影される方が多い」としながら、「北川さんが御前相撲を観た回(2月4日の5話「相撲じゃ!相撲じゃ」)で着られた衣装を展示したときは、女性客が熱心に見ていた」とも。

西郷さん三番目の妻となる岩山糸にも会える
問い合わせもいろいろあるそうだが、放送翌日、「昨日こういう場面があったが、本当なのか」と、劇中のシーンについて質問をされることもあるという。
「私も毎週欠かさず見ています」と言う上堀内さん。印象的な回として、次期藩主の座を賭けて、斉彬が父とロシアンルーレットで対決した4話「新しき藩主」(1月28日)、そして、吉之助の母・満佐(松坂慶子)が、息子の背中で息を引き取った7話「背中の母」(2月18日)を挙げてくれた。
「毎回笑いあり涙あり…目が離せません」とのこと。
館内には、西郷さんや大久保が過ごした家の再現セットや、ここでしか見られない『西郷どん』のメイキング映像シアター、クイズコーナー、県内の『西郷どん』ゆかりの地の情報など目白押し。大河の世界観を体感してほしい。来年1月14日まで開館。

吉之助、正助の青春時代の象徴、物見台

28日からは島編に関連した展示にリニューアルされ、それ以後もドラマの進行に合わせて展示物を変えていくという
「アミュプラザ鹿児島」では北川景子が一番人気!?
そんな「西郷どん 大河ドラマ館」に程近い場所に構えるのが、「アミュプラザ鹿児島」。JR鹿児島中央駅と直結している大型商業モールで、グルメや雑貨・ファッション、映画館やゲームセンターといったアミューズメント施設も充実。

ランドマークの観覧車は、LED工事のため4月1日〜7月19日まで一時休業中
営業部・販売促進課の梅津さんによれば、普段この施設を利用するのは地元の20~40代女性が多いが、大河の影響で、男女問わず幅広い層の旅行客が増えた印象があるとか。
館内には約210店舗のお店があるが、そのうち20店舗で『西郷どん』関連の商品が販売されているという。
例えば、本館地下1階の「とらや」で売られている「かりんとうのパッケージには、西郷さんのイラストが。

かりんとうのバリエーションは、ピーナッツ、黒糖、野菜の3種。一番人気は黒糖とのこと。西郷さんは甘いものに目が無かったそうで、こうした黒糖を使ったお菓子もこよなく愛していたといわれている。
さらに、あらゆる靴下がラインナップされた本館2階の「靴下屋」では、公式キャラクター「西郷どん」や、愛犬「ツン」の刺繍が施された靴下が人気だという。

一番人気は五本指靴下(右端)
県外客利用の多いJR鹿児島中央駅新幹線の改札内に、主要キャスト5人の等身大パネルがあるが、北川景子さんの人形だけ一番傷んでいるという。
梅津さん曰く、「おそらく2ショット写真を撮ったり、触ったりする頻度が高いのでは」。北川さん演じる篤姫が出なくなって久しいが、人気は健在のようだ。
「日曜日はやはり忙しいため、リアルタイムで見られない」という梅津さん。だが地元の郷土史家を講師に招き、西郷さんの人物像や幕末の歴史などをスタッフ含めて教えてもらい、観光客のアテンドに役立てているという。
西郷どんゆかりの温泉「川内高城温泉」では放送翌日の入浴者が増加
さらに調べると、西郷さんが若いころから入りに来ていたという温泉があるという。
それが、川内高城(せんだいたき)温泉。鹿児島の北西に位置する薩摩川内(さつませんだい)市にある温泉街だ。
「全国名湯百選」に選ばれたこともある名湯で、泉質は無色透明アルカリ性単純硫黄泉。トロトロとした肌触りでアルカリや神経痛に作用するという。

西郷さんの青年期の顔をイメージして造られた人形
この中で特に西郷さんが好んで入っていたのが、湯田町にある、現在町営の共同湯。ここを運営している湯田地区コミュニティセンターの竹田さんに聞くと、もともと週末である土日の来訪者が多かったが、放送翌日は町外からのお客さんもよく来るようになったとか。共同湯は大人200円という安さも魅力。

ひなびた風情が旅情をかき立てる
ちなみに西郷さんは、湯舟の真ん中に浸かることはほとんどなく、常に隅っこに入っていたという。
竹田さんも毎週欠かさず見ているファンとのこと。印象的なシーンとして、15話「殿の死」(4月22日)で、斉彬が吉之助に「西郷、今からお前はわしになれ」と言って思いを託した場面と語り、「そこから吉之助も心持ちが変わっていったのかなあ」と振り返ってくれた。
鹿児島の中心地から離れた場所でも聞いてみた
中心地から離れた場所ではどうだろうか。鹿児島市内から車で90分、宮崎県との県境にある鹿児島県曽於市(そおし)。ここにあるオーガニック&自然食品専門店「ナチュラルヒルズ」店長・児玉勇太さんに聞いた。

『西郷どん』を、鹿児島県民として毎週視聴しているという児玉さん。1話に描かれた「妙円寺詣り」のシーンで、子どもたちが駆け抜けた知覧武家屋敷も見に行ったとか。
印象に残っている役者は渡辺謙。「斉彬無くして『西郷どん』は語れません!渡辺謙さんの演技が、斉彬のかっこよさを上手に表現していると思います」と熱く語った。
だが、15話(4月22日)で斉彬が亡くなってしまったことは悲しい気持ちでいっぱいだったという児玉さん。ちなみにこのナチュラルヒルズに売られている商品からお薦めを聞くと、「蜜ほしいも」を挙げてくれた。

「鹿児島県産のさつまいも『べにはるか』を焼き上げて、蜜につけて干したものです。
一口サイズなので、おやつはもちろん、サラダのトッピングにも合うと思います」(児玉さん)
「西郷酒盛」という北海道にある居酒屋にも聞いてみた
さらに調べていくと、「西郷酒盛」(さいごうさかもり)という店があることが
分かった。これは九州グルメが味わえる居酒屋だという。ただ実はこのお店、北海道にある!
そこで、大河ドラマの影響はあるのか、道内に2店舗あるうちの1つ、南3条店の店長・多田さんに聞いてみたのだが、放送後のリアクションについては「特に目立った反応はない」とのこと。
また、この大河ドラマの盛り上がりについて聞くと、「食を通して、鹿児島を始めとする九州に興味を持っていただけたら」という。
お店のお薦めは、「熊本直送の馬刺し」「ぷりぷりの大きいモツ鍋」「日本3大地鶏の1つ、薩摩地鶏」とのこと。さすがに北海道までは波及効果が広がっていなかったようだ。
さて、7月からはいよいよ坂本龍馬(小栗旬さん)が登場。新キャラ続々の『西郷どん』からまだまだ目が離せない。
編集部おすすめ