リプレイス(履き替え)専用タイヤとして国内導入されたピレリDRAGON SPORT。このタイヤがターゲットとする車種のひとつであるスバル・レヴォーグSTI SportにDRAGON SPORTを装着し、まずは高速道路での印象からお届けしましょう。

ピレリDRAGON SPORTを装着したレヴォーグで高速道路を走行してまず感じたのは我々が「ニュートラル感」と呼ぶ応答性について、センター部の遊びが少ないことが印象に残りました。
この部分で遊びが多いとハンドルをまっすぐに持っていてもクルマが勝手に左右にふらついてしまう要素になってしまうのですが、遊びが少ないことで微小操舵でもちゃんと反応してくれるのです。そして中立付近の手応えもしっかりしているから安心感もあります。

つまり、ハンドルをまっすぐに持ってさえいればクルマはまっすぐに進む。当たり前のことのようですが、意外にそうでないタイヤもあるものです。DORAGON SPORTは、そういったタイヤに求められる基本性能がちゃんとできているということです。

この性能が持つことでクルマが左右にぶれずに長距離をドライブしても疲れないことへと繋がってくれます。

また高速道路は直線が多いとはいえ、山間部に入るとカーブが連続しますよね。そういうカーブでもDRAGON SPORTの応答性の高さのおかげで正確なハンドリングが可能となります。いま、車線のなかでどこを走っているか、がよく手に伝わってわかります。5cm、10cm単位でドライバーが狙ったライントレースがしやすいタイヤと言えるでしょう。

またコーナリング中のグリップも高いと言えます。

グリップ限界にいっても滑り出さないでずっと粘ります。そのグリップの粘り感はウェット路面でも感じることができました。

またレーンチェンジ時などでの扱いやすさもいいです。ハンドルを少し切るとタイヤは遅れなく反応します。
DRAGON SPORTは少し硬さを感じますが、その分、たわみ感は少ないですね。だからトレッド面が常に地面にくっついている印象です。

ハンドルを切りホイールを動かした後にタイヤのトレッド面が動くわけですが、ホイールの動きとトレッド面のズレが少ないですね。レーンチェンジでハンドルを切ればタイヤはスッと反応する。ここの反応が遅れるタイヤは、ハンドルを切ったあとからグンと強い反応がくるのですが、DRAGON SPORTはそんな動きがないので安心感があります。
スポーツタイヤでも乗り心地を加味してサイドウォールを弱くするとズレがでるケースがあるのですが、そういう意味でDRAGON SPORTはしっかりと作られているなと感心しました。

次に、ワインディングロードではどんな印象か、箱根の狭いコーナーの登り、下りが組み合わされた一般道でDRAGON SPORTはどのような走りか試してみました。

ワインディングロードで感じたのは、ハンドルを切ったときの動きが良いことですね。


「(ハンドルの)切り足しによる追従性」と呼んでいるのですが、コーナーに飛び込みハンドルを切り込んでいくとちゃんと曲がるし、また曲がった後、さらに切り込んでもタイヤがついてくる。ハンドルのいうことをタイヤが良く聞いてくれるし、ドライバーが正確なハンドル操作をすればクルマがそのとおりに動いてくれるからすごく扱いやすいです。

グリップのレベルはけっこう高く、切ったときの手応えの重さをハンドルに感じます。これを感じるということはタイヤが(元の形状に)戻ろうとする力が出てくるからで、この反力からグリップをハンドルを通じて感じることができました。

例えば緩いブレーキングをしながらコーナリングするとき、またコーナリングの途中でアクセルオフしてリアが滑り危険な思いをすることはありません。車線変更をしたりコーナリングでアクセルオフしたときのリアのグリップは一般道で飛ばす程度では破綻することなくつねに安定感を持っているため安心して走行することができます。


またコーナーを攻めたときに緩いブレーキをかけ前荷重になり、なおかつハンドルを切ってフロントタイヤの外側にすごく負担がかかったようなシーンでも、タイヤが負けてずるずる滑るようなことはありません。荷重移動が大きいドライビングをしてもまったく問題なくグリップしてくれるのだろうなと感じました。

高速道路、またワインディングロードでDRAGON SPORTを試乗して、このタイヤの特性がどんなクルマに合うのかを考えてみました。

DRAGON SPORTについて、まず乗り心地ですがハードに属します。ただ、スポーツサスペンションなど走りにこだわったクルマに乗っている人にとってこれくらいの乗り心地はおそらく許容できるレベルでしょう。補修された道路を走っても揺れはするけれど角張った強い衝撃はきません。

また段差もわりと素直に通過できました。

走行ノイズについては、けして静かではありませんが、その分、路面表面の状態がざらざらなのか、グリップしそうなのかなど音で感触がわかる雰囲気を持っています。そういう意味ではこの乗り心地や音でDRAGON SPORTがスポーツタイヤであることがわかりますね。

さてこのDRAGON SPORTがどのようなクルマに合うか。
まずピレリ製品からDRAGON SPORTにリプレイスとして選んでも、ピレリ共通の特徴である操舵の応答性が他製品と共通する味付けを持っているため違和感はないでしょう。

また、応答性がわりと素直で操舵角に比例した応答があるので、あまりクルマを選ばないのではないかと思うのですが、例えばVWゴルフでいうと普通のTSIでも充分に使いこなせると思いますが、よりタイヤ幅が広く、なおかつサスペンションをちょっと固めたGTIに履くとタイヤの良さが際立つでしょう。国産であれば、このレヴォーグにも合っていますし、タイヤで感じるグリップの強さを考えると、ハイグリップタイヤを履くことが合いそうなトヨタ86/SUBARU BRZには向いていそうですね。

いずれにしても、スポーツタイヤの購入を考えているのならピレリDORAGON SPORTはその選択肢のひとつに入れておいて間違いはないと言えるでしょう。

(菰田 潔/撮影:前田 惠介)

【ピレリDRAGON SPORTサイズレンジ】
20インチ
275/30R20 97Y XL
245/35R20 95Y XL

19インチ
255/35R19 96Y XL
245/35R19 93Y XL
245/40R19 98W XL
235/35R19 91Y XL

18インチ
245/40R18 97Y XL
245/45R18 100Y XL
235/40R18 95W XL
225/40R18 92W XL
225/45R18 95W XL
215/45R18 93W XL

17インチ
245/45R17 95W
235/45R17 97W XL
225/45R17 91W
215/45R17 91W XL

 

画像付き元記事はこちら:ピレリDRAGON SPORT(ドラゴンスポーツ)は「ハンドルのいうことを聞く」スポーツタイヤだった!【Tyre試乗】(http://clicccar.com/2017/05/18/470216/)