完成披露試写会レポでお伝えしたように、明後日、10月27日(土)より、「映画 スマイルプリキュア! 絵本の中はみんなチグハグ!」が全国ロードショー。
公開を記念して、黒田成美監督と、主演の福圓美里さんのインタビューをお届けします。

まずは、黒田成美さんのターン!


みゆきはシンデレラ以外にない!

――絵本をテーマにしている「スマイルプリキュア!」。「映画 スマイルプリキュア! 絵本の中はみんなチグハグ!」では、とうとうプリキュアたちが絵本の世界に入りますね。みゆきはシンデレラ、あかねは一寸法師、やよいは孫悟空、なおは浦島太郎、れいかは桃太郎と、それぞれ絵本のキャラクターに変身をする。どういう風に決めていったんですか?
黒田 かなりたくさんの物語から選んだんですよ。子どもたちがパッと見て、なんのキャラクターかわかる作品にしようということで決まりました。みゆきはもともとシンデレラが好きという設定なので、絶対これ以外ない! って感じで。

――シナリオはいつ頃からつくりはじめていたんですか?
黒田 2011年12月後半あたりからですね。まだ本編もはじまっていないので、みゆきたちのキャラクターも確定していないころ。あ、れいかの桃太郎もすぐに決まったかなあ。れいかが弓道をやっているのは決まっていたので、それだったら武道をやるような人がいいよねって。うーん、桃太郎……? みたいに(笑)。あかね、やよい、なおはどの衣装を着せたらかわいいかなあ、と決めて行きました。

――黒田さんが演出(絵コンテのみ)を担当している、第11話「プリキュアがチイサクナ~ル!?」(2012年4月15日放送)で、プリキュアたちが打ち出の小槌によって小さくなるじゃないですか。
黒田 ありましたね~。
――このときの話が関係しているのかと思ったんですけど、シナリオが12月後半ということは、映画のほうが先なんですね。惜しくも採用ならずだった絵本ってあります?
黒田 「白雪姫」ですね。でも、西洋系姫ってシンデレラとかぶるなあと(笑)。世界観的にもあまりかぶらないようにバラけさせて選びました。

――そのなかでも「西遊記」ってかなり珍しいというか、意外なチョイスですよね。「シンデレラ」や「桃太郎」と比べると、名前は知っているけど物語は知らない、みたいな。
黒田 そうそう。それに、孫悟空といえば、ドラなんとかボールが先に浮かびますよね(笑)。
――真っ先に出ますねー。
黒田 でも、サル、ブタ、河童だったらなんとかわかるかなと。
あと、衣装ですね。孫悟空は男の子っぽい格好なんですけど、可愛らしさもプラスできれば、やよいとのギャップも含めていけるかなあと。
――キャラクター衣装のモチーフにした5つの作品は読み直しました?
黒田 ましたよお。本を買ってきて。ほんとに「西遊記」は内容を覚えていなかったですね(笑)。あ、沙悟浄は河童じゃなかったんです!
――あー。
日本の「西遊記」だけ河童なんでしたっけ。川べりに住む妖怪ということで
黒田 そうなんです。あと、孫悟空って最初はいないんだっけ? 岩に挟まれてたっけ? とか。三蔵法師たちと旅をしているイメージしかなかった。
――(パイロット版のパンフレットを見て)ぱっと見でなんのキャラクターかわかるのを優先しているんですね。
黒田 それぞれ物語の世界に行くんですけど、孫悟空は筋斗雲で飛べる、浦島太郎は海の中に行ける、一寸法師だと小さくなれるみたいに、世界観の面白さも出したかった。

――黒田さんが小さいころに好きだった絵本は覚えていますか?
黒田 ……なんだろう。あんまり本を読む子でもなかったからなあ。あ、『くまの子ウーフ』だ!
――聞いたことがあるような……。
黒田 おっきなくまが表紙のやつ。あとはいろいろな出版社から出ている名作シリーズをよく読んでいた記憶があります。


監督が緊張するってあまり言っちゃいけないのかもしれない

――黒田さんは「ふたりはプリキュアMaxHeart」(2005年)から演出助手として「プリキュア」に関わっています。今回、劇場版「プリキュア」のお話を受けたときのお気持ちをぜひ聞きたいなと。
黒田 私で大丈夫ですか……? いいんですか? と。
――前からやりたかったとかは。
黒田 ほとんど考えたことはなかったですね。でも、やるって決めたからには楽しいものをつくろう! と思いました。実際やってみて、自分でお願いしたスタッフさんたちとひとつの作品をつくりあげていくというのがすごい楽しくて! これはいいなーって(笑)。監督をやっていて一番大きいのはそこですかね。
――映画のアフレコに関してはどうでした?
黒田 いやー、緊張しました。監督が緊張するってあまり言っちゃいけないのかもしれないですけど(笑)。演技に関しては、絶対に役者さんのほうがわかっているはずなので、基本お任せして、細かいニュアンスに関しては私が指示をする。前半のギャグシーンは自由に、飛ばして演じてくださいと。後半は感情面が大きく出てくるシーンがあるので、役者さんと話し合って少しずつキャラクターをつくっていきました。


「これやってみたいな」というのは入れ込みました

――黒田さんは東映アニメーションの演出のなかでは若手のほうですよね。
黒田 そうですね。入社して8年目、いま27歳です。
――松本理恵さん(「映画 ハートキャッチプリキュア! 花の都でファッションショー・・・ですか!?」監督)と同じですか?
黒田 はい、実は同期なんですよ。
――黒田さんも松本さんも、テレビシリーズ「スマイルプリキュア!」の大塚隆史監督も、「MaxHeart」の演出助手からはじまっている。「MaxHeart」演出助手組が、いますごい活躍されていますよね。
黒田 若手が活躍している時期なのかな? なんだかよいチャンスに巡りあわせていただいている感じです。
――「プリキュア」シリーズは来年で10周年。初期から「プリキュア」に参加している人はあまりいないですよね。
黒田 「MaxHeart」ではじめて「プリキュア」に関わったとき、女の子が一所懸命戦うのがすごい斬新だなあと思ったのを覚えています。2013年で「プリキュア」は10周年ですけど、作品の普遍的なテーマは友情と絆、そこはいまも変わっていないですよね。
――長年「プリキュア」シリーズに携わってきて、「プリキュア」でこういうことがやりたい! みたいなことを思っていたんじゃないかと勝手に思っているんですけど。
黒田 「これやってみたいな」というのは、ちょっと入れ込みました。「プリキュア」のテーマとして、友情や絆は必ず入っていますよね。私は愛情や優しさを表現できたらなあと思って、劇場版をつくりました。そこが今回、みゆきとニコちゃんの関係につながってきます。
(加藤レイズナ)


黒田成美監督インタビュー後編へ
福圓美里さんインタビューはコチラ、前編。後編は11月2日掲載予定です。