復活の日も近い? 新生ドムドムハンバーガーはミスドも競合に
「昭和の面影」を色濃く残したドムドムハンバーガーの店舗(北九州市)。
この店舗は2016年に閉店済み。

「日本初のハンバーガーチェーン」として知られる「ドムドムハンバーガー」がダイエー傘下を離れたのは7月1日のこと。
それから約3カ月。
ドムドムを傘下に収めた、ホテルなどを運営する「レンブラントホールディングス」は9月30日に今後の店舗展開見通しについての記者会見をおこなった。
ドムドムはどう変わっていくのか。


ダイエーによる「日本初のハンバーガーチェーン」 店舗数は最盛期の1割に


ここで今一度、ドムドムハンバーガーの歴史についておさらいしてみよう。
ドムドムハンバーガーはダイエー傘下の「オレンジフードコート」が運営していたハンバーガーチェーンで、1970年に東京都町田市のダイエー原町田店(現町田店)に1号店を出店。これは、1971年の日本マクドナルド1号店(銀座三越)、1972年のロッテリア1号店(日本橋高島屋北別館)などよりも早く、「日本初のハンバーガーチェーン」としても知られる。ちなみに「ドムドム」の名前はダイエー創業者・中内功氏によるダイエーのキャッチフレーズ「良い品をどんどん安く」に由来するものだ。
復活の日も近い? 新生ドムドムハンバーガーはミスドも競合に
かつてドムドム1号店があったJR町田駅近くにあるダイエー町田店。日本のハンバーガーチェーンの歴史はここから始まった。

一時はダイエー店内やその隣接地を中心に全国各地に約400店を展開したものの、ダイエーの経営悪化とハンバーガー業界の競争激化に伴い急激に縮小。今夏には最盛期の1割となる約40店舗にまで減少していた。


「どむぞうさん」のロゴも一新!


7月1日よりドムドムハンバーガーの事業を引き継いだレンブラントは新会社「ドムドムフードサービス」を設立するとともに、公式サイトを一新。従来のメールマガジンの代替としてTwitter、InstagramなどのSNSアカウントを新たに開設したほか、かつてのドムドムファンを再び来店させるべく「第1回復活メニュー決定戦」を開催するなど、新会社移行直後からさまざまな試みをおこなってきた。
復活の日も近い? 新生ドムドムハンバーガーはミスドも競合に
9月30日に大阪市で行われた「ドムドムファン注目」の記者会見。
復活メニュー決定戦結果・新ブランドロゴ発表会も実施された。

「復活メニュー決定戦」では、エントリーされた9商品の中から2014年に販売されていた「ドムミートバーガー」が1位に選出されたことが発表された。なお、このほかにコアなドムドムファンが復活を熱望していたという「お好み焼きバーガー」もレギュラーメニューとして9月1日より販売されている。
さらに、佐々社長は今後のメニュー展開についても触れ「餃子バーガー」、「甘酢肉団子バーガー」といった例を挙げつつ「他社には真似のできない独自性の高いメニュー」の開発を明言。12月をめどにさらなるメニューの改定が検討されていることも明らかにした。

復活の日も近い? 新生ドムドムハンバーガーはミスドも競合に
新生ドムドムが実施した「復活メニュー決定戦」ラインアップ。
記者会見に出席した佐々社長はクリスプチキンバーガーが1位を獲得することを予想していたというが、1位はドムミートバーガーに。

また、「新ブランドロゴ」は、長年親しまれた「どむぞうくん」はそのままにマイナーチェンジ。、カラーリングを赤・白の2色に変更、どむぞうくんのおしりのシルエットを意識し「D」を大きくした。
復活の日も近い? 新生ドムドムハンバーガーはミスドも競合に
記者会見内で「新ロゴ」を背景に人気メニューを試食するラッキィ池田・ドムドム総合演出プロデューサー。「すばラッキィおいしさ」だったという。


新店舗モデルは「和」をモチーフに


ドムドムでは、今回のロゴマーク変更に合わせて新たなコンセプトの店舗モデルの発表も行っている。
記者会見の会場となったイオン京橋店内にある「ドムドムハンバーガー京橋店」も新たなコンセプトの「和」をモチーフにした全面改装が行われており、内外装には千鳥格子を採用。改装前より席数を減らしつつ、コンセントを増設するなど、ゆったりとした快適な空間づくりが図られた。また、京橋店では店舗モデルに合わせるかたちで和スイーツ「かりんとう饅頭」の販売も開始されている。
復活の日も近い? 新生ドムドムハンバーガーはミスドも競合に
「和」をコンセプトに改装されたドムドムハンバーガー京橋店。

また、新ロゴの制定に合わせてドムドムが展開していた別ブランド「ディーンズバーガー」は廃止され、屋号は「ドムドムハンバーガー」に一本化されるという。


業績回復で「閉店予定」店舗も一部が存続へ! ゲーセンとのコラボも検討


さて、気になるのは今後の店舗展開だ。
減りに減って11月現在で全国36店舗となっているドムドムだが、会見で、2017年度内に3店舗を新たに出店することが発表された。このうち1店舗は、現在もダイエー傘下のオレンジフードコートが運営する鹿児島鴨池店だ。
実は、現在営業しているドムドムのなかには、11月現在も新会社に移行されていないドムドム店舗も存在する。これらは近く全店舗がダイエー傘下のクレープ専門店「ディッパーダン」などに転換されるか、閉店する予定だったが、レンブラントが事業を譲受してメニューのリニューアルを図った7月以降はドムドム店舗の売上が約7%上昇するなど業績が回復傾向にあるため、オレンジフードコートとの協議により承継店舗追加・営業継続が決定したという。新会社への継承店舗が増えるかどうかは未定だが、レンブラント社のおひざ元である「厚木店」など2017年度末までに3店舗を新規出店(うち1店舗は閉鎖撤回)することで、ドムドムの店舗数は久々に増加に転じる見込みだ。
復活の日も近い? 新生ドムドムハンバーガーはミスドも競合に
かつては「ドムドム」と「ディッパーダン」の共同店舗も多く見られたが、現在は多くが過去帳入りしている。
ディッパーダンは今後もダイエー傘下で営業を継続するという。

さらに、首都圏・関西圏への駅近、商業施設フードコート内を中心に3年間で14店舗を出店する計画も発表され、3年後には約50店舗、10年後には約100店舗体制を目指すという。
かつてドムドムがあった街での復活の可能性も多いにある。
今後、ドムドムはネットでのプロモーションに加えてCM出稿、さらにはレンブラント傘下のゲームセンター運営会社「アムリード」(店舗名:アミュージアム)とのコラボなども検討しているといい、一時はその知名度さえも危うくなっていた日本初のハンバーガーチェーンの看板が「復活」を遂げる日も近そうだ。


新たな競合はモスやバーガーキング、ミスドも


復活の日も近い? 新生ドムドムハンバーガーはミスドも競合に

しかし、ファストフード業界の競争が年々激化しているのも周知の事実だ。ドムドムが復活を遂げて新たな成長曲線を描くためには、多くの競合チェーンとの競争に打ち勝つ必要がある。これまでのドムドムといえば「マクドナルド」や「ロッテリア」といった比較的安価で気軽なハンバーガーチェーンと競合する存在でだったが、今回の「復活メニュー」や新メニュー、新店舗のコンセプトを見ると、今後新たな競合相手となるのは「モスバーガー」や「バーガーキング」、「フレッシュネスバーガー」といったグルメ系バーガーチェーンだろう。また、「かりんとう饅頭」などといったスイーツメニュー強化の行方によっては「ミスタードーナツ」などとの競合もありうる。

その一方で、グルメ系バーガーの代表格であるモスバーガーが業績不振に陥るなど、こうしたグルメ系バーガーチェーンの一部は競争の激化に加えて「マクドナルドの復権」もあって業績が振るわない。
モスを除くグルメ系バーガーチェーンは都市部・都心部への出店が多く、地方や郊外にはあまり出店していないチェーンも多い。現在、ほとんどの店舗が地方や郊外にあるドムドムは、こうした競合が少ない地域での店舗網強化を図るとともに、「かりんとう饅頭」のような全世代に親しまれるスイーツメニューを強化するなどして他チェーンとの差別化を図ることができれば、これまでのドムドムファンに加えて新たな顧客の獲得につながるだろう。
(都市商業研究所)
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