婚活男女がオンライン上で自身を包み隠さずプロフィールや写真を見せ合うカタチで出会い、結婚する「お見せ合い婚」。リクルートグループが、2018年の婚活領域におけるトレンド予測のキーワードとしてあげたものだ。


この「お見せ合い婚」時代に婚活男性は女性にどうアピールすべきか。ゼクシィの婚活サイト「ゼクシィ縁結び」(リクルートマーケティングパートナーズ運営)などのサービス企画を担当する桜井まり恵氏に話を伺った。

2018年「お見せ合い婚」時代が来るか ネット上で自分を包み隠さない出会い
桜井まり恵氏。恋愛・婚活の悩みにも答える婚活アドバイザーとしても活躍中。20代等の若者の婚活の傾向、恋愛事情も深く分析している。

「十人十色」ではなく「一人十色」


記者会見で桜井氏は「”お見合い婚”ではなく、”お見せ合い婚”です。是非、覚えてください」とアピールした。「お見せ合い婚」時代は、お互いのプロフィールや写真をオンライン上でオープンにするので、思いもよらない出会いが増えていくかもしれない。意外なプロフィールやニッチな趣味でも、出会いのキッカケになる可能性が向上し、多様な自己開示を通じて、「お見せ合い婚」が増加すると桜井氏は予測している。

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「十人十色」ではなく、「一人十色」を地で行くのがイマドキの婚活世代。
個人が、会社や家族のコミュニティだけではなく、人によっては副業も行ない、さまざまな趣味のサークルに属する。オンラインでもFacebookやTwitterなどのSNSで写真や文章をアップし、個人がさまざまな顔と姿を持つ。

しかも、婚活世代は学生時代からmixiなどのSNSを使っているため、ネットで自分を表現することに抵抗がない。「自分はこの店で食事した」「みんなで飲み会」と、写真なども積極的にオープンすることが当たり前になっている。

また、近年は結婚に対する条件もバブル期とずいぶん様相が異なってきた。バブル期は、3高(高収入・高学歴・高身長)に代表されるように、「周囲の目を気にする」などの理由から一般的な価値観に照らして、相手を「相対評価」していた。

現在の婚活世代のトレンドは、自分の価値観に照らして、「自分に合う」人がいいと変わり、相手を「絶対評価」する時代へと移ったという。

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ちなみに「一人十色」の時代では相手とすべてが合う必要も無く、一部分がマッチするだけでも十分、出会いの機会になる。どの情報が相手とマッチするか分からないからこそ、お互いの情報のお見せ合いが欠かせない。

マッチングアプリで彼女をつくるには


「出会い」や「結婚」も価値観の合う「お見せ合い」の時代に移行していく中、具体的にどうすればいいのか。
桜井氏は、男性で29歳のフリーコンサルタントの事例をもとに解説する。
この男性の利用サービスは婚活アプリ。28歳まで彼女はできなかったが、知人の影響でアプリの利用を開始。
開始1年で70人と出会い、人生ではじめての彼女ができた。
そこでのポイントは、プロフィールの欄に文字数上限の情報を入れ、「自分という人となり」を理解してもらうよう工夫。実はこのプロフィールも300回書き直した。その結果、自己開示やプロフィール内容が改善してマッチング率が向上したという。
「実はこの男性、最初はすごく堅苦しいプロフィールでした。それを改善し、いつもの自分をさらけ出していきました。
確かに真面目さも必要ですが、非日常の自分もうまく描写することで、マッチングできた好例です」(桜井氏)

リアルの出会いの世界は、限られた時間で限定的な情報しか伝えられないが、ネットでは、自分の情報を余すことなく伝えられ、誰が自分のどんなところを「イイネ!」と思うかわからない。意外な一面を女性にアピールすることが十分あり得るのだ。

”野球”という共通の話題でマッチングしたケースもある。野球観戦を趣味とする人が野球専用アカウントつくって投稿、同じ趣味を持つ人と交流していた。偶然同じ日に同じ試合を見ていて、球場ではじめて顔を合わせたのを交際のキッカケに「Instagram婚」に至ったという。


男性のプロフィールはどう読まれている?


実際、「ゼクシィ縁結び」データによると、プロフィール項目を「記入抜けあり」から「全項目記入する」ことで「いいね!取得」が1.5倍、自己紹介文も「140文字」未満と以上と比較すると、「いいね!取得」が1.8倍、「写真」一枚から複数枚掲載すると「いいね!取得」が2.4倍にそれぞれ向上する結果が示されている。
プロフィール文や写真掲載もより充実することで同一人物でも出会いの機会が増えるというデータだ。


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それでは男性は女性に対してどのような情報を開示すれば良いのか。そして女性は男性のどこを注意して見ているのか。
「女性が気になる点は男性の日常と非日常です。その二つの情報をより多く深く開示されますとご興味を持たれるという実際のデータもございます。たとえば、お写真を例に取りますと、スーツ姿だけではなく、野球をやっている写真、飲み会での写真などさまざまな日常と非日常の世界をよりオープンにすることがポイントだと思います」(桜井氏)

ただいくら写真が複数枚あるのが望ましいといっても、証明写真のようなものだけではNG。
「ある程度、ちょっとだけ背伸びしたいつもの自分を見せるのがマッチングしやすいと感覚値で持っています。

実は、実験したことがありまして、同じ人物で自撮りの証明写真とペットと一緒に撮影した写真のどちらが評価されたかと言えば、圧倒的に後者でした。
ペットを大切にする人は優しさがあり、自分にも優しくしてくれるのではないかという好印象があるのです。ただし実際と乖離しては出会ったときの印象が悪くなりますから、自分の本当の良さを少しでも出していくことも必要ですね」

そこでここはやってはいけないNG集も聞いて見た。
「プロフィールでいきなり、真剣になり、”すぐ結婚したいです”と書かれると女性はやはり引いてしまいます。そこはゆるやかに”いつかいい人と出会えて結婚したいですね”と書き換えた方がいいです」
「仕事について細かく書きすぎるのも問題がある場合もあり、たとえば、”私はプログラミングの仕事をやっており。。。と詳細に書かれても女性はそれがどれだけ素晴らしくてもなかなか理解されることは少ないです。逆に女性から見ると自慢に映る場合もあります」

桜井氏の説明ではポイントは、なにごともほどほどの度合いだという。
“将来結婚したら、家族みんなでBBQをするのが夢なんですよね”と書くのはOKでも、
”最初の子どもは息子が良くて次は娘がいい”と書くとやはり常識的に女性から引かれるが、このほどほどの度合いを感じながらプロフィール文を書くのが大事だという。
たとえば、料理の話でも、”自分はこういう料理が得意です”と料理男子のイメージは好印象でも、”料理は絶対僕がやるから”と書くのはNG。
自分の得意分野につい気合いを入れすぎて、プロフィール欄でアピールすることは必要なことだが、筆がすべる場合も多々ある。度合いを調整することが重要なことだ。

少子高齢化に悩む日本を救う?


ちなみに、この「お見せ合い婚」が進展していくと社会的にどのような影響があるのか。
リクルートブライダル総研が行なった「恋愛・婚活・結婚調査2015」によると、「恋人がいない(できない)」理由として、男性44.9%が、女性57.8%がそれぞれ「出会いがないから」を上げている。
しかし、出会いの場はかつてのお見合い、オフラインの恋愛が中心であったが、今後は、オンラインでの婚活・恋活アプリの充実により、軸足が変りつつある。
「婚姻組数が年々減少傾向にある中で、婚活や恋活アプリやサイトで出会ってオンラインでの”お見せ合い婚”をするカップルが増えていけば、婚姻組数がV字回復する可能性もあります」(桜井氏)

2015年の国勢調査では、20代~40代の未婚男女は約1,875万人。同総研は、未婚男女の72%は恋人がいない調査結果を発表している。国勢調査と同総研の調査結果を合わせて分析すると約1,352万人の男女は恋人がいないことになる。しかし、うち54%が将来は結婚を希望しており、婚姻組数が減少しつつも、隠れ結婚ニーズは735万人いるとの見方も可能だ。
「お見せ合い婚」が一般化していけば、この隠れ結婚ニーズを満たしていく可能性も十分あり、少子高齢化の進行に悩む日本を救う切り札にもなるかもしれない。

2018年「お見せ合い婚」時代が来るか ネット上で自分を包み隠さない出会い

(長井雄一朗)