今回記事でご紹介するのはジョージ・オーウェル原作、「『1984』を漫画で読む」のあらすじです。
本作はフィド・ネスティが編集およびイラスト担当、田内志文が翻訳を手掛けました。
ディストピア化した相互監視社会を風刺した内容は、オーウェルの前作『動物農場』にもテーマが通底し、未来に警鐘を鳴らしています。
1998年には「英語で書かれた20世紀の小説ベスト100」、2002年に「史上最高の文学100」に選出されました。
※本稿は作品のネタバレを含みます。あらかじめご了承ください。
『1984』のあらすじ
1950年代に始まった核戦争が数多の人類と国土を巻き込み、オセアニア・ユーラシア・イースタシアの三国に世界が分かれた1984年。
かつての欧州を含むオセアニアは完全にディストピア化し、思想や言語、婚姻や生殖に至るまで政府の統制が敷かれていました。
市民はテレスクリーンと呼ばれる双方向モニターで監視され、町中に仕掛けられたマイクで会話を聞かれています。
少しでも怪しい振る舞いをすれば、厳しい尋問と拷問が待っています。
真理省の下級役人のウィンストン・スミスは、書籍の改ざん作業に携わる中で記憶に不安を覚え、チャリントン老人が営むこっとう屋にてノートを買い、ごく私的な日記を付け始めました。

自分の心情を書き記す行為はオセアニアのタブーにあたるものの、毎日のように出版物の検閲や焚書を続けていると、単調な仕事に疑問を持たざるを得ません。
オセアニアでは定時にテレスクリーン前に集まり、現体制の敵の映像に、きたない言葉で悪口を浴びせる日課が義務付けられています。
大衆は売国奴ゴールドスタインを批判し、「戦争は平和である 自由は屈従である 無知は力である」のスローガンを唱え続けます。
これは憎悪週間、あるいは二分間憎悪と呼ばれ、老若男女問わず全員が参加します。
スミスが周囲に合わせ叫んでいる最中、近くにいたジュリアと目が合いました。
ジュリアは真理省創作局の役人であり、一目で惹かれ合った二人は急接近していきます。
スミスはチェリントンに掛け合い、彼の店を待ち合わせ場所として借り受け、ジュリアと愛を育みました。
ある日のこと、高級官僚オブライエンがスミスに接触。
禁書指定されているゴールドスタインの本を秘かに託されたスミスは、本来の歴史を紐解き、市民に洗脳を施した国家の大罪に憤ります。
以降ジュリアと共にレジスタンスに身を投じるも、チェリントンに反乱分子として密告され……。