今回の記事でご紹介するのは、無気力な主人公「僕」と難病のヒロインの純愛を描いた住野よるの青春小説『君の膵臓を食べたい』のあらすじです。
本作は2016年に「本屋大賞」で第2位に輝き、多数のランキングで上位に選出されました。
もともとは「小説家になろう」にて連載され、読者の絶大な支持を受けて書籍化。
2017年には実写映画化、2018年にはアニメ映画化され、センシティブな心理描写と衝撃的なストーリーが話題を呼びました。
※本稿は作品のネタバレを含みます。あらかじめご了承ください。
『君の膵臓を食べたい』のあらすじ
主人公の「僕」こと志賀 春樹(しが はるき)は周囲への関心が薄く、友人や恋人を作らずに過ごしている高校生です。
唯一の趣味と言えば読書で、特に太宰治の小説を好んでいました。
ある日のこと、所用で病院を訪れた「僕」は「共病文庫」と題されたノートを拾います。
それは人気者の同級生、山内 桜良(やまうち さくら)の落とし物で、彼女は自分の日記にタイトルを付け、日常を書き綴っていたのです。
好奇心に駆られ「共病文庫」の中身を覗いてしまった「僕」は、桜良が膵臓の難病を患っており、余命1年である事実を知ります。
「共病文庫」がきっかけで桜良と急接近した「僕」は、別世界の住人だと割り切っていた彼女と、学校の内外で言葉を交わすようになります。
桜良も家族以外で唯一病気のことを打ち明けた「僕」に好感を持ち、2人一緒に行動する機会が増えていきました。
級友の前では常に元気で明るく振る舞い、暗い顔などまるで見せない桜良の強さと弱さに、「僕」はどんどん惹かれていきます。
2人は本を貸し借りし、好きな作家の話題で盛り上がります。
桜良の元カレで外面のいい学級委員の隆弘(たかひろ)は、「僕」に嫉妬して暴力を振るいますが、それは2人の絆を強める要因にしかなりません。
桜良の死ぬ前にやりたいことに付き合い、色々苦労しながら願いを叶えていくうちに、「僕」は他者に関心を持ち、人を認めて愛せるような人間になりたいと思い始めます。
桜良は「僕」の変化を喜び、その対象に選ばれて嬉しいと告げました。
2人で旅行に出かけ思い出を作り、相思相愛の蜜月を過ごしたのも束の間、桜良の身に悲劇的な事件が起こります。
4週間の入院治療を終えた日、通り魔に刺されて死んでしまったのです。
恋人の残酷な運命に大きなショックを受けた「僕」は、通夜や葬儀にすら顔を出さず、自室に引きこもってしまいました。
それから10日後、「僕」は「共病文庫」の結末を見届けるため、意を決して桜良の家を訪問。
桜良が死の直前まで書き記していた本を開くのですが……。