喫煙への規制が強まる中、昨年の秋に「近隣住宅受動喫煙被害者の会」が発足した。マンションのベランダや自宅の庭で喫煙をする、いわゆる「ホタル族」による受動喫煙の被害をなくすことが目的だ。
同会は、今後、日本弁護士連合会に人権救済申し立てを行っていく。また「ベランダ喫煙禁止法」の制定を目指し、厚生労働省や国土交通省に申し入れを行うほか、各自治体にも「ベランダ喫煙禁止条例」の制定を求める。
■近隣住民が喫煙していても「やめてほしい」とは言いにくい
同会の担当者は、キャリコネニュースの取材に対し、受動喫煙の被害について次のように語った。
「窓を開けたま煙草を吸ったり、庭で煙草を吸ったりする方がいます。その煙が部屋に入ってくると、『強制受動喫煙』ともいえる状況に置かれます。
しかし近隣の人が煙草を吸っていても、直接「やめてほしい」とは言いづらいのが現状だ。そのため、法律を制定し、「行政や警察に相談すれば対応してもらえる社会」を作るのが同会の目標だという。
「住宅全般における受動喫煙を規制する法制定を目指しています。その初めの一歩としてベランダでの喫煙を禁止にする法律の制定を目指します」
■「苦情があったときに対応すること義務付ける法律を」
同会の顧問弁護士を務める岡本光樹弁護士は、受動喫煙の被害について次のように語った。
「マンションのベランダで煙草を吸うと、周囲の住居に煙が入ってしまいます。戸建ての住宅でも住宅が密集しているところでは、室内や屋外で吸った煙草の煙が近隣の住居に入ります。また喫煙者の中には換気扇の下で煙草を吸う人もいるようですが、換気扇からの排気が隣の住宅に直撃するという被害も出ています」
ただ現状では、ベランダでの喫煙がすぐに罪に問われることはない。
「マンションの管理規約で禁止されている場合もありますが、管理規約がなければ、原則として喫煙は自由です。しかし近隣住民から繰り返し苦情が来ているのにもかかわらず、喫煙を続けた場合には、民法の不法行為にあたるとして損害賠償を求められることもあります」
実際に、損害賠償の支払いが命じられたケースもある。2012年に名古屋地方裁判所は、70代の男性に、階上の住民に5万円の慰謝料を支払うように命じている。
「ベランダ喫煙禁止法は、ベランダでの喫煙を一斉禁じるというものではありません。あくまでも被害者からの苦情があったときに、喫煙者や管理会社に対応することを義務付けるものです。住宅の作りによっては、ベランダで吸う分には問題がなく、むしろ室内で喫煙すると隣の部屋に煙が入ってしまう場合もあります。被害者からの申し立てがあったときに、個別に対応することが必要なのです」
産経新聞が同会について報道すると、ネットで話題に。