えみちぃこと鈴木えみ、木下ココ、佐々木希に木下優樹菜……。そんな人気モデルが誌面を飾っている女性雑誌があった。
集英社から刊行されていた雑誌「PINKY」がそれだ。2004年8月に創刊したのち、2009年12月発売の2010年2月号をもって廃刊してしまった短命の雑誌だったが、記憶に残っている女子も多いはず。

今回は、たった5年ほどで姿を消してしまった、ある種幻の女性誌「PINKY」を振り返ってみよう。

「PINKY」のコンセプトはセブンティーンの上位互換?


女子中高生が一度は通る雑誌といえば、木村カエラ、北川景子、榮倉奈々、武井咲などを輩出した女性雑誌「SEVENTEEN」だろう。そんな「SEVENTEEN」から、大人気モデルだった鈴木えみを中心に据えた雑誌として登場したのが「PINKY」だ。「SEVENTEEN」を卒業したのち、「つぎは何の雑誌を読もうかな」「何買えば良いんだろう?」と悩む若者層をうまく取り込んだ10代後半から20代向けのファッション雑誌で、金髪時代の佐々木希や木下優樹菜が登場するなど、「non-no」などに比べるとギャルファッション寄りという特徴があった。

佐々木希も出身者 「PINKY」のモデルたち


そんな「PINKY」の魅力といえば、なんといってもモデルたち。レギュラーモデルも、人気と実力を兼ね揃えた流行りのモデルを揃えていた印象が強い。
たとえば、鈴木えみ、木下ココ、木下優樹菜、黒木なつみ、佐々木希にくわえ、現在テレビでも活躍している佐藤栞里や、菜々緒なども誌面を飾った。

この面々が揃うなど今ではかなりレア感がある。デビュー当時、まだギャルだった佐々木希、細眉で人気絶頂だった鈴木えみの2人が同じ表紙に並んでいた時は、「なんて可愛いんだろう」「お人形みたい」とため息が出たものだ。気づくとレジに持って行っていた記憶がある。また過去に「SEVENTEEN」でも活躍していた尾形沙耶香や、日高薫、小泉絵美子らのモデルが登場していたことも懐かしい。

ちなみに、この雑誌には、「プリンセスPINKYオーディション」という企画があり、2005年から2009年まで毎年オーディションが行われていた。
じつは、佐々木希や佐藤栞里、菜々緒はこのオーディションの出身者だ。

廃刊後は「non-no」などへ流入


5年という短い歴史のなかでも人気モデルを輩出してきた「PINKY」だが、雑誌廃刊後、彼女たちはどこに活躍の場を移したのだろうか? ひとつは「non-no」に移行した佐々木希など、集英社が発行するファッション雑誌へ移行したパターン。もう一つは、「ViVi」をはじめとする、他社の赤文字雑誌へ移行したパターンがあった。「あの子がカジュアル雑誌に?」「あ〜やっぱりギャル方向でいくのね」などと、ファンはその後の行く末を見守ったものだ。

たとえば「PINKY」でモデルデビューした木下ココは、その後30代女性向けの「InRed」(宝島社)「and GIRL」(エムオン・エン)「美人百花」(角川春樹事務所)などで活躍。またご存じ、菜々緒はテレビドラマなどに出演し女優として活躍するかたわら、モデルとしては「GINGER」(幻冬舎)の“顔”となっている。
ほかにも佐藤栞里のように、「mini」「sweet」「ar」「Soup.」など、幅ひろいジャンルのファッション雑誌で活躍しながら、テレビにも積極的に進出しているモデルもいる。

現在、雑誌の売上は軒並み低迷しており、休刊する雑誌も増えている。そんな中、読者の購買意欲を掻立てるのは「付録」の存在だ。「付録」以上に購買を促す新たなカリスマモデルの登場が待ち遠しい。再び、そんな未来は来るだろうか?
(野中すふれ)
画像はamazonより PINKY (ピンキー) 2010年 02月号 [雑誌] 雑誌 2009/12/21 集英社