プレイステーションクラシック」に収録されるタイトルの中で忘れてならないのが『パラサイト・イヴ』です。だいぶ昔のゲームなので若い人にはピンと来ないかもしれませんが、当時はスクウェア(現:スクウェア・エニックス)の注目タイトルと言えるものでした。


『パラサイト・イヴ』の舞台はニューヨーク。主人公の女性警察官である「アヤ・ブレア」は人体自然発火現象と、その中でなぜか自分だけが発火しないという謎を追いかけることになります。瀬名秀明氏の同名小説が原作で、ミトコンドリアの反逆が大きなテーマとなっています。

■関連記事
・「プレステクラシック」にも収録される『サガ フロンティア』の6つのすばらしさを語ろう
https://www.inside-games.jp/article/2018/10/30/118398.html

◆アクションでもTPSでもなくRPGなゲームシステム
アヤは警官なのでさまざまな銃を使って敵と戦うわけですが、となると本作のジャンルは何になるのでしょうか。銃を撃つからTPS? いや時代的に難しいからアクション? 正解は、コマンド選択式RPGです。

確かに本作は敵の攻撃を避けたりするアクション要素もあるのですが、銃を撃ったりアイテムを使うのはコマンドで行います。
プレイステーションの時代はまだFPSやTPSに関する馴染みも薄かったので、こういうジャンルにするのが妥当だったのでしょう。

武器の種類によって射程が決まっていたり、あるいは発射速度・硬直などがあるのも特徴。ハンドガンやアサルトライフル、グレネードランチャーやマシンガンなど、いろいろな銃器が出てくる作品でした。

◆アヤはとにかくセクシー
さすがにプレイステーション時代だとグラフィックが気になるところですが、それでもアヤはスクウェアのお色気担当キャラクターといえるような存在でした。序盤から大きくスリットの開いたドレスを着ていますし、公式コンセプトアートもセクシーさを強調したものが多かったのです。なお、キャラクターデザインはあの野村哲也氏が担当しています。


また、続編となる『パラサイト・イヴ2』ではシャワーシーンのムービーが大きな話題になりましたし、さらなる続編の『ザ・サード バースデイ』ではダメージを食らうと衣服が破けるなんてシステムが採用されていました。

ちなみにアヤは設定的に年齢を重ねても見た目が若いままなのですが、それもセクシー路線であるがゆえのことなのでしょう。こうして見るとなかなか苦労している主人公ですね……。

◆無茶苦茶に銃がカスタマイズできる
前述のようにさまざまな銃器が出てくるところが『パラサイト・イヴ』の魅力のひとつなわけですが、それをさらにカスタマイズできるのもおもしろいところ。アイテムを使うと威力や射程などが強化できるだけでなく、ツールを使うと特性まで移動させることができます。

コマンドを2回入力できる「ダブルコマンド」や各属性はとても役立つため、いろいろな武器から特性を動かして「自分だけの最強の銃」を作った人も多いのではないでしょうか。
逆にこのあたりのカスタマイズがよくわかっておらず、連射度を上げまくって泣いた人もいるかもしれません。

◆ミトコンドリアの反逆がマジでヤバい
『パラサイト・イヴ』の世界では、ミトコンドリアの変異によってとんでもないことが起こります。前述の人体自然発火現象もその影響ですし、アヤはパラサイトエナジーという魔法のような力を使えるようになるのです。ヘイストなんかも使えちゃうので、どうなっているんだという話ですよね。

とはいえ強くなるのはアヤだけではありません。ネズミは皮がむけて尻尾が三叉になりそこから炎を飛ばし、ワニは尻尾が巨大化してそこからつむじ風を発するようになり……。
ストーリーを進めていくとどんどんとんでもないことになります。

◆プレイヤーはなぜかガラクタを集めるハメに
本作をやりこんだプレイヤーならば、ガラクタというアイテムが印象深いのではないでしょうか。これは名前そのままガラクタなのですが、たくさん集めると素晴らしい武器と交換してもらえるのです。

前述の武器カスタマイズで最強の装備を作ろうと意気込む場合、このガラクタ集めが必要になってきます。カラスからガラクタを盗みまくるアヤの姿が目に浮かぶ、なんてプレイヤーもいるかもしれません。

◆クライスラービルの恐ろしさ
そしてRPGならではの隠しダンジョンがあるのも『パラサイト・イヴ』の魅力。
実はニューヨークの街中にはクライスラービルという隠された場所があり、ここに挑戦すると秘密のエンディングが見られるのです。

しかしビルは77階層もありますし、出てくる敵もなかなか強い連中ばかり。とはいえノーマルエンドとなる最後の巡洋艦を耐えることができたプレイヤーならば乗り越えられることでしょう。真エンドを見れていない人は、プレイステーションクラシックやゲームアーカイブスで挑戦してみるのもいいかもしれません。

◆終わりに
『パラサイト・イヴ』は今になってみると少し遊ぶのがキツいゲームかもしれません。イベントのスキップがなくアヤの移動が遅いなど気になるところも多く、単純に洗練されていないように見えるかもしれません。


しかし、本作は方向性が独特なのでこれに代わるようなゲームもあまりないですし、続編となる『パラサイト・イヴ2』は『バイオハザード』のようなゲームになってしまったのもあり、今でも印象深い一作です。今でも時折「シリーズが復活しないかなあ」と思ってしまうこともあります。