厳選!2歳馬情報局(2019年版)
第22回:サトノフウジン

 競走馬のセリ市「セレクトセール」で高値をつけ、早くから注目を集めてきた2歳馬がまもなくデビューを迎える。

 美浦トレセンの堀宣行厩舎に所属するサトノフウジン(牡2歳/父ディープインパクト)である。



 同馬は、2017年のセレクトセールで当歳セクションに上場されると、2億円(税別)という高額で取引された。落札者は「サトノ」の冠名で知られる里見治氏だった。

 同馬の母は、2011年~2012年にアメリカで活躍したコンテスティッド。通算7戦5勝、ダートGI2勝という実績を残した名牝だ。そして、父が日本最高の種牡馬ディープインパクトとなれば、それだけの高値がつくのも頷ける。

 さらに、兄たちの活躍もこの若駒への期待を高める要因となっている。
引退後、日本の社台ファームで繁殖生活を送っているコンテスティッドからは、すでに2頭の産駒がデビューし、いずれも勝ち星を挙げているのだ。

 そのうち、際立った活躍を見せているのは、2番目の産駒となるギベオン(牡4歳/父ディープインパクト)だ。

2億円の高額馬サトノフウジンは「兄と違いスピードの絶対値が高...の画像はこちら >>

サトノフウジンの2つ上の兄で、GINHKマイルC2着の実績があるギベオン

 2017年にデビューした同馬は、その初陣を快勝し、続く年明けの500万下(現2勝クラス)も勝って、2連勝を飾った。続く3戦目には、GIII毎日杯(阪神・芝1800m)に挑戦。2着と奮闘し、重賞でも戦える力を示した。

 そうして、次戦はGI NHKマイルC(東京・芝1600m)に挑んだ。
ここでも直線でしぶとく伸びると、勝ったケイアイノーテックにわずかクビ差の2着と健闘。3歳マイル王にあと一歩、というところまで迫った。

 その後、この年の秋にGIII中日新聞杯(中京・芝2000m)を勝利。待望の重賞初制覇を達成した。以降は、白星から遠ざかっているものの、才能豊かな走りを見せている。

 そんなギベオンの全弟となるサトノフウジン。

トレセンにおける調整や追い切りからは、兄とは違った面が出ているそうだ。その様子を間近で見ている厩舎スタッフの評価を、関東競馬専門紙のトラックマンが伝える。

「兄のギベオンは、中団から末脚を発揮するタイプで、距離はマイルから2000mくらいまで幅広く対応しています。一方、サトノフウジンは兄とは違って、とにかくスピードの勝ったタイプのようです。『マイル以下の距離で、先行して押し切るようなレースが向いているのではないか』と、スタッフは見ていますね」

 なお、調教では併せた相手から遅れを取ることもあったが、それについても陣営は、ネガティブには捉えていないという。前出のトラックマンがその真意を明かす。


「サトノフウジンは、他馬と併せて気合が入るタイプではないようで、調教の遅れは馬の性格面が出ているみたいです。『バテているわけではない』とスタッフも言っていました。レースに向けては、『スピードの絶対値は高いものがあるので、前に行って、どこまで粘れるか』とのこと。調教過程は至って順調で、大きな不安はありませんね」

 デビュー戦は、10月26日(土)の2歳新馬(東京・芝1600m)を予定。鞍上は、川田将雅騎手が務める。

 アメリカGI2勝の母の血を受け継ぎ、スピード豊かなサトノフウジン。
その馬名どおりに、颯爽とターフを駆け抜けていくのか。初陣での走りっぷりを楽しみにしたい。