今、津波情報が伝達されない海外の島やビーチに出掛けて、また津波災害に遭う可能性もある。二度と遭いたくない津波災害……でも、tsunamiが来る前に、実は、こんな前兆が起こっているのだ。


まず、「急な引き潮」だ。今回の大津波の直前、タイやインドネシアなどの各地で急な引き潮が見られ、観光客が撮ったビデオが放映された。これは、津波の前兆として信頼できる。
幕末の頃、紀州(和歌山県)にある沿岸の村の話。祭りの日、高台に住む庄屋が地震を感じたので外を見たら、潮が急に引くのが見えたという。「津波が来るに違いない」と感じた庄屋は庭に置いてある稲むらに火を付けた。
海岸で祭りを楽しんでいる村人たちは「庄屋の家が火事だ!」とみな急行した。こうして直後の大津波から村人たちを救ったという実話がある。
過去に、急な引き潮の直後に津波が襲ってきたという話は多い。いきなり押しから始まる津波も多いが、急な引き潮の後は必ず津波が来ると言ってよいので迅速な避難が必要だ。

次に、「ゆらゆらと長く揺れる地震」。特に3分以上も続くような揺れには気を付けたい。
海岸で震度5ぐらいの強い揺れを感じると、すぐ津波を連想して高台へ逃げる人が多いが、これが震度3ぐらいの揺れになると逃げる人は少なくなる。ところが、震源から500kmほど離れた遠いところでマグニチュード8前後の大地震が起こると、震度3ぐらいのゆったりした揺れが3分ぐらい続くことがある。
1896年の明治三陸地震津波では、沿岸で船に乗っているような震度2〜3ぐらいの揺れが10分ぐらい続いたという。この後、海から「ドーン」と轟音が聞こえたが軍艦の演習かと思い誰も逃げようともしなかったようだ。地震から35分後、10〜30mもの大津波が三陸の村々を流し26,360人もの犠牲者が出てしまった。震源の深さが100km以上もある深い大地震でも同様な揺れを生ずるが津波は起こらない。
でも、情報の無い所では万が一に備えて逃げることは必要だと思う。

よく地震や噴火の前に動物がいつもと違った行動をしたという話を聞く。今回の津波の前にも象が陸へ逃げようとしたという。ふだん鳴かない犬が悲しそうな声で鳴いたとか、噴火の前に山の動物が里へたくさん下りてきたなどいろいろある。中国ではこれを用いた地震予知が進められている。しかし、動物は他の要因でも異常な行動することも多いので信憑性は低いが、頭の片隅に入れておいてほしい。
(真夜中の予報士)