以前は、仕事関連の電話番号をしっかり記憶し、歩く電話帳といわれたこともあった私だが、携帯電話の登場でめっきり記憶力が衰えた。まあ、10〜11ケタの番号をいくつも覚えても意味はないけれど、それでも少しは頭の体操になっていたかなと思う。

そんな記憶力減退の私でも、さすがに忘れることがないのが警察の110番と消防の119番である。

もともと緊急時に使用するためのものなので「覚えやすい」「間違いにくい」ということを考えて決められたものなので、当たり前と言えば当たり前だが。
では、何故111とか999にしなかったのだろう。

NTT東日本と電話番号の管理をしている総務省総合通信基盤局に問合せてみた。
双方のお話を統合すると、昔はダイヤル式の電話だったのでダイヤルを回す距離が1番短い1を多くしかつ、誤りを防ぐためにダイヤルを回す距離が1番長い0や9を使うことにしたというのである。

ではなぜ警察が110番で、消防が119番なのか。
さらに消防庁に問合せてみた。
実は、火災報知の電話サービスが、大正15年に導入された時の番号は112番。緊急時なので、ダイヤルを回す距離が短い方がいいだろうと112番にしたところ、これが意外とかけ間違いが多かったのだそうだ。それで、翌年の昭和2年にダイヤルを回す距離が長く、かつ使われていなかった地域番号9を入れ119番にしたという。
ダイヤル式の電話を使ってた経験があると「なるほどね」と思えるが、プッシュフォンしか使ったことがない人では考えられない話かもしれない。

さらに、消防庁の広報さんに興味深いお話を伺った。

電話による火災報知が制度化されたのが、大正6年4月1日。交換手に「火事」と言えば、そのまま交換手が消防につないでくれるシステムとなった。火事通報第一号は、日本橋で制度導入の初日の早朝だったとか。
そして、この電話による火災報知が登場してから現在でも続いている困ったことがあるのだという。
それは、いたずら電話と問い合わせ。今でも119番の20〜30%虚偽通報のいたずら電話があるのだそうだ。
消防庁では万が一のことを考えて、すべての報知に対して出動をしている。無言電話もあるが、電話をかけた人が直後に意識を失ってしまっていたという事実もあるので、いかなる場合でも出動するのだそうだ。いたずら電話の通報で本当の火災や事故に消防車や救急車が間に合わないことも十分考えられる。これは是非ともおやめいただきたい。

そしてもう一つ、3ケタの電話番号で知っておきたいのが171。災害用伝言ダイヤルである。

災害用伝言ダイヤルは、災害時の電話がかかりにくい状態でも、家族間の安否確認や集合場所の連絡などに利用できる。被災地へ電話がつながりにくい状況になった場合にのみサービスが提供されるが、毎月1日と防災週間の時には、実際に体験することが可能。電話番号のゴロあわせは「忘れてイナイ(171)?」だそうだ。ちなみによく似た天気予報は「いい天気になれなれ(177)」で、時報は「ピッピッと鳴る(117)」だそうだ。(こや)