世界にひとつだけの乗り物、江ノ島エスカーに初めて出会った日。
(上)衝撃的な「次の」の看板。途中で神社にお参りできたりするのも、エスカーのすごいところ。(下)なぜかテーマカラーはうぐいす色のエスカー
先日の「江ノ島で貝がたくさん売られている理由」ではさらっと流されてしまったけれど、改めてみなさんに問いたい。「江ノ島エスカー」ってすごくないですか?

思えば私が初めてアレに出会ったのは、5〜6年前のことでした(こっから、懐古調で)。
友人との小旅行で、ふらりと立ち寄った江ノ島。そこにアレはありました。初めて江ノ島を訪れた私たち。「エスカーのりば」という大きな看板に、なんの疑いもなくチケットを買い求めました。

看板には「待たずに乗れる!」「頂上まで5分」とあります。お互い言葉にこそしませんでしたが、たぶんロープウェイのようなもので上まで行くのだろうと思っていたのです。おばちゃんにチケットを見せて、まずは最初のエスカレーターへ。細く長く、壁にやたら広告があることをのぞけば、なんてことはないエスカレーター。そこではまだ素直に「エスカーは、まだかなあ」と思っていたのですが、その後すぐ、異変に気づくことに。一度外に出され、途方にくれたところでこんな看板を目にしたのです。「次の エスカーのりば」。

そう、この長い4本のエスカレーターこそ「エスカー」だったのです。
江ノ島っ子及び神奈川県民には「おなじみ」の乗り物かもしれませんが、栃木と兵庫の山奥で育った私たちにとって、海の民の創意はあまりに衝撃が強すぎました。すべてのエスカーを乗り終えて頂上に放り出された私たちが、竜宮城から帰ってきた浦島太郎のように、しばし言葉を失ったことはいうまでもありません。

その後、すっかりエスカーに、というか江ノ島に魅了された私たち。新展望塔ができると聞いて、「これを機に、エスカーもなくなっちゃうかなあ」と寂しく思っていたら、便乗してちゃっかりお色直しまでしていたエスカー。創設から50年近くたつそうですが、この様子ならまだまだ500年ぐらい長生きしそうですね。(矢部智子/アンテナ)
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