のび太たちが遊んだ「空き地」がよみがえる!
どこか懐かしい、土管のある風景
最近は、ちょっとでもスキがあると瞬く間にマンションや駐車場になってしまうが、ほんの数年前まで、けっこう町のあちこちにあったのが「空き地」。そこで遊んだ実体験はなくても、マンガやアニメを通じて空き地って言葉に懐かしさを感じる大人は、けっこう多いのではないだろうか。


なかでも有名なのが、『ドラえもん』に出てくる空き地。なんにもないところに土管があって、その上でのび太が昼寝したり、みんなで集まってしゃべったり、まわりで野球したり。『ドラえもん』の空き地は、町のなかにある子どもたちの聖地として、象徴的な存在なのだ。

そんな空き地をふたたび! ということで、江戸東京たてもの園の特別展『ドラえもんとはらっぱ』では、今、園内の広場で『ドラえもん』の「はらっぱ(空き地)」を再現している(4月10日まで)。

広場には大中小の土管がデンと置いてある。(広場と土管の組み合わせを見ただけで、「あ、空き地」と条件反射のように言葉が出てくるのだから、私たち世代の『ドラえもん』の影響力ってすごい)。
もうそれだけで、なんとなく懐かしい気分になってくる。小さい土管は子どもがやっと通れるくらいだが、大きいほうなら、中に座ってくつろぐこともできそう。一番大きい土管の上からの眺めもよさそうだ。訪れたときは、子どもがひとりふたりとポツポツやってきては、土管に乗ったりくぐったりして遊んでいた。

今になって考えてみると、なんで空き地に土管なんかが置き去りにされたのか、子どもの遊び場にと置かれたのならなんで土管だったのかなど、フツフツと疑問がわいてくるのだが、とにかくその「なんで?」と思うようなムダな空間こそ、子どもにとっては格好の遊び場となったのだろう。

この『ドラえもんとはらっぱ』展。
屋外ばかりでなく屋内では、のび太の町のイラスト図や、のび太の家の5分の1の縮尺模型なども展示されている。理想の町が想定されていたり、当時の典型的な住宅のモデルとして家が描かれていたり。大人視点で見る『ドラえもん』には、懐かしいだけじゃない発見や刺激もあって、こちらも興味深いです。
(矢部智子)