目の錯覚のような、七色に光るタクシー
JR高円寺駅南口付近で、たくさん会えます。
ある日のこと。夜中に仕事を終えて、ふらふらと家路に向かっていたところ、目の前をあやしい光が通り過ぎた。

「今のは、ナニ?」
そう思って注意深く見ていると、光が水色、ブルー、グリーンと、次々に変わっていくではないか!

疲れのせいで、四輪車密着型のUFOでも見てしまったのかと一瞬思ったが、そうではなくて、これは東京都杉並区に本社のあるコンドルタクシーグループのタクシーである。

タクシーの屋根の上にある表示灯(いわゆるアンドン)。コンドルタクシーでは、この通常のアンドンの後ろに、もうひとつ、幅1メートルもの長いアンドンがついていて、カラフルな光を放つのだ。

社長の岩田寿さんにお話をうかがったところ、このアンドンが光るのは、正しくは6色。赤は交通信号になってしまうので使えず、水色、紺、黄色、ピンク、グリーン、白の6色が各9秒間、次の色に変わるときは3秒間かけて、ゆっくり変化していくのだそう。一般的には電球か蛍光灯を使うところを、このアンドンの中には、48個の発光ダイオードが入っているので、ラジオや無線にも電波障害がないのだという。

最新鋭GPSシステムを導入したり、利用料金が5000円を超えると1割引、7000円で2割引、10000円で3割引という3段階遠距離割引制度を設けたりと、新しい試みが注目されるコンドルタクシー。

「私どもは、企業ではなくご家庭に配車する、個人のお客さまを対象としたタクシー会社。ですから、子どもさんにも喜んでいただけるような特色のある宣伝で、我が社のことを覚えていただければと思っているのです」と岩田さん。

七色のアンドンは、この3月3日に正式にスタートしたもので、都内を中心に345台走っているのだそう。多少離れていても「あれだ!」とすぐにわかる存在感を放っているので、夜の東京を歩くときは、ぜひタクシーの屋根のあたりにも注目してほしい。
(矢部智子)
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