メイド書店登場? いいえ、ブックフェアなんです
写真
19世紀末の英国を舞台にメイドのエマを軸に、根強い階級社会(ジェントリ)の中で生きる様々な人物の人生を美しいヴィクトリア朝の世界観の中で描き出している漫画『エマ』(森 薫/エンターブレイン)が、3月31日の5巻の発売と合わせて今書店で熱い動きを見せている。

●普通の町の普通の書店にいるメイドさん

ときわ書房聖蹟桜ヶ丘店で3月31日より『エマ』販売促進フェアが開催されている。

ブックフェアというと何かのテーマに沿った書籍が、書店の中の目に付きやすいスペースに平積みされているのを思い浮かべるが、ここの店舗は他とはちょっと変わった試みを行なっている。
それは、女性書店員が『エマ』のコスプレをして通常業務をこなしているということだ。

書店に足を踏み入れると、メガネをかけたロングスカートのメイド服の書店員さんがレジで会計をしたり、書類片手に在庫をチェックしていたりと、本を買いに来たはずが不思議な空間にアレレ? と目を惹きつけられてしまう。しかも、この書店はコミック専門店というわけではなく雑誌から書籍まで幅広いジャンルを扱った郊外の大型書店なのだ。

あたりを見渡してみると、目立つ一角に書店員さんと同じ格好をした漫画のキャラクターの等身大パネルが設置してあり、近寄ってみると、右手には4月よりTVアニメ放送が開始される『英國戀物語(えいこくこいものがたり)エマ』の宣伝映像が流れ、左手には漫画『エマ』の既刊本が平積みされている。もっとよく見てみると、“エマの世界をもっと楽しむためにイギリス、ヴィクトリア朝、紅茶、洋館の本などをご用意しました”とのPOPが立ち、その周りに様々な小説が並べられ、向かいの柱には書籍の解説が丁寧に書かれた紙がきれいに飾り付けられていた。

おもしろかったのはハイレベルなオシャレ雑誌『装宛』と一緒に全国のメイド喫茶を種類別に紹介する『メイドカフェ・スタイル〜お帰りなさいませご主人様〜』が並んでいたことだ。
他にもほおっと思うラインナップが並んでいるので是非気になった方は足を運んで頂きたい。フェアの期間は今のところ未定、コスプレは4月5日までとなっているのでお早めに。

●漫画応援団"自腹〜’s(ジバラーズ)"の発足

実際にコスプレをされている書店員さんにお話を伺うと、さらにおもしろい話を聞くことが出来た。
この今回のブックフェアだが、今回初めて行なったわけではなく、今ではすっかり人気となった『はちみつとクローバー』(略して『ハチクロ』)がきっかけ。3年前には出版元の移籍や新人少女漫画家はなかなか重版がかからないなど、多くの人に読んで欲しいのに常に品薄の状態で、業を煮やした山下書店新宿店のコミック担当の女性書店員が有志の書店員による漫画応援団"自腹〜’s(ジバラーズ)"を発足したのが始まりなんだそうだ。


一番の特徴は、応援にかかる費用は全部書店員の自腹で賄っているという点。自腹でオリジナルポップやTシャツなのど販促物の作成を行い、同時にフェア企画を考え開催している。現在の参加店舗数は、全国で20店舗ほどにもなるという。

なにも知らずに楽しく読んでいたが、『ハチクロ』人気のきっかけは書店員による応援企画だったとは驚きだった。

今回の『エマ』フェアは、"プチ自腹〜’s"として、去年より発売が延期になっていた5巻がついに発売されることを祝って開催。北は盛岡から南は京都まで全国9店舗が参加し、共通の自腹オリジナルの立体POPが棚を飾る。
(エキサイトニュース編集部たんなお)