「都こんぶ」はほとんど手作業で作られていた!
規定の長さに切り分けて重ねていく作業(写真提供:中野物産)
子どもの頃の遠足の定番おやつだった都こんぶ。大人になった今でも見かけるとついつい手がでてしまう。


都こんぶを作っている大阪の中野物産(株)は昭和6年の創業以来70年以上、このお菓子を作り続けている。発売当初の都こんぶは硫酸紙(カニ缶などに使われている紙)に包んだものを紙芝居屋などに卸していたのだそうだ。その後、駅売り、劇場などでも売られるようになり全国規模で知られるように。現在のおなじみの赤いパッケージが誕生したのは昭和28年で、当初からデザインは変わっていないのだそうだ。

それにしてもあの独特な味と絶妙なこんぶの厚みはどうやって作られているのだろうかと思いさっそく調べてみると、中野物産のHPに何と“都こんぶ”製造工程のご案内というページがあり画像入りで詳しくその工程が書かれていた。それによると都こんぶはエビや貝などの付着物を取り除くというようなほんのわずかな工程を除くとほとんど手作業で作られているのだ。


材料となるこんぶは北海道・道南産の真こんぶで、乾燥した状態のものから作る。それを酢につけるところから工程は始まるのだが、昆布は自然のものなので厚みや硬さもまちまちとのことで、酢につける時間はその日の気温や湿度によって微妙に変えているのだとか。その時間差は5分の場合もあれば1時間の場合もあるそうだ。

そして私が一番驚いたのが酢づけされたこんぶはプレス機で圧力をかけられていたこと。あの均等なほどよいこんぶの厚さはプレス機によるものだったのだ。自然のこんぶを切り分けるにも形がまちまちなので切り始めるポイントによって取れる枚数が変わってくる。
だから最大限の枚数が切り出せるようにしているのだそうだ。そして最後の計量も人の手によって行なわれていた。

普段何気なく食べていた都こんぶだがこんな風に作られていたとは驚きとともに何だかあったか〜い気分になってしまった。広報担当の岸田さんにお話を伺うとロングセラーの理由は「素材であるこんぶの持っている力です」と、とても謙虚なお答え。この都こんぶ、全国津々浦々販売されているかというと実はすべての地域を網羅しているわけではないそうで一部の地域に人にとっては幻のレトロお菓子となっている。(こや)