アメコミの癒し系キャラ、ソフボーイがブレイクの予感
米国発、日本でもここ数年ひそかな人気を呼んでいる“ソフボーイ”というアメコミのキャラクターをご存知だろうか。

京都にあるトランスポップギャラリーが数年前より紹介してきたこのキャラクター、実はハイロウズの甲本ヒロト氏やアーティストの奈良美智さんなども大ファンだという隠れた人気者なのだ。


どちらかというと男性に人気のキャラなのかなー? と思っていたのですが、同ギャラリーオーナーの山田祐史さんによると驚いたことにファンの6割は女性なのだとか。
「ちょっと無気味だけど、なんかカワイイでしょ。実はけっこう癒し系?って声もあるんですよ(笑)」

コミックを読んでみるとわかるのだが、ローラーでぺちゃんこにされたり、拳銃でハチの巣にされたり、酔っぱらいにゲロを吐かれたりと、ソフボーイは不幸続きのアンチヒーロー。しかし、なぜか最後には不敵なヘラヘラ笑いをうかべつつシュールに復活する。ズタボロになってもすべての人や動物に対して親切に礼儀正しく接する姿はある意味、たしかに癒し系!?

もちろん、その疲れたマシュマロマンのようなルックスも絶妙です!
作者のアーチャ−・プルウィット氏は、伝説のバンド「カクテルズ」や「ザ・シー・アンド・ケイク」で活躍するミュージシャン。山田さんの話では、アメリカのミュージシャンは音楽だけでなく自分で絵も描けばCDジャケットのアートワークも手がけるというマルチな人がとても多いのだとか。


現在、ソフボーイの日本語版コミックやTシャツ、人形などは通販で買うことができるが、今後、アーチャー自らが音をつけた絵本なども企画しているそう。しかし、山田さんいわく「日本のキャラクタービジネスって、安く大量につくってすぐに飽きられてしまうようなものが多いじゃないですか。ソフボーイをそういう流れにのせるつもりはまったくない」のだそうだ。

もともと山田さんはアメリカに住んでいたことがあり、作者のアーチャーとも友人同士だったという。
「ビジネスというより自分たちが楽しんでモノづくりができることを何より大切に考えてます。その楽しさや温度感を伝えたいし、それをわかってくれる人に買ってほしい。
女子高生が携帯ストラップにつけるようなキャラクターにしようとか、そういう発想はまったくないですね(笑)僕たちもソフボーイの世界を、のんびり楽しんでいきたいんで」という。
「もともと、ソフボーイの人形なんかも、アーチャーのお母さんに手づくりで1個づつつくってもらってたんですよ。だから、大量に頼むと『できない』って断わられたりとか(笑)。今後もそういうアーチャーのリアルなまなざしみたいなものを大切にしていきたいですね」

う〜ん、ハングリーでなおかつ弱者に優しい独特の世界観もさることながら、商業主義に安易にのらない彼らの「ありよう」もカッコいい!そう、思っちゃいました。素朴でローテクだけれど、こだわるべきところにはキッチリこだわる。そんなところも有名アーティストたちが魅了される一因なのかもしれませんね!?来る7/10には作者のアーチャーが自身のバンド「カクテルズ」とともに京都に来日!サイン会やライブイベントも開かれるそうなので、アメコミ初心者のあなたも米国アンダーグラウンドの世界をのぞいてみてはいかが。
(野崎泉)