真夏でもほうとうをどうぞ、冷やしほうとう「おざら」
有名郷土料理って、地元の人はそんなに頻繁に食べてなかったりしますよね。遠方から親類や友人が来たら、知られたお店に連れて行ってあげることはあっても。


私は山梨県の甲府市出身。18歳まで住んでいましたが、甲府の郷土料理「ほうとう」は、あんまり食べた記憶がありませんでした。両親も山梨の人ではなかったですし。
だけど、一度郷里から離れて暮らし始めてみると、急にあの味が懐かしくなるから不思議です。

ま、そんな懐かしい味であり、好きな食べ物であったとしても。「ほうとう」なんて、言わば煮込みうどん。冬の寒い時期には最高ですが、真夏にはあんまり食べたくありません。甲府の夏って、かなり暑いですし。

と、思っていたのですが、最近になって、ほうとう専門店の店先に「おざら」という文字が見えるようになってきました。はて。聞いたことないなあ。どうも「冷たいほうとう」のようですが……。

悩んでいても始まりません、お店に入って注文してみます。
出てきたのは、お馴染みの鍋に入った冷たい麺と、温かいおつゆ。おつゆには椎茸や油揚げがたっぷりと。
いくら夏場だからといって、このくらいの温かさはあってもよいです。このおつゆに麺をつけて食べるのですね。
……もっちもっち。ふむ。食感は、ほうとうと同じです。アタリマエか。ああ、おいしいおいしい。これなら真夏でもふらりと立ち寄って食べたくなります。

帰り際にお店の人に聞いてみましたところ、6年くらい前からウチでは始めたのよ、だそうで。

「おざら」というのは、山梨の田舎のほうではずっと作られ食べられていたのだそうですが、これが有名店の名物料理として表に出てきたのは割と最近。甲府から離れて6年以上経っている私が知らなかったのも道理です。

よいものを発掘してくれました。今度から夏に甲府に行ったときには、コレだなあ。美味しいです。是非。(谷和原のぞみ/お気楽ステーション)
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