女子版「ムシキング」!? ラブandベリー誕生秘話
『ムシキング』と『オシャレ魔女ラブandベリー』の開発者、植村さん。10月以降に出る第3弾では、70年代のソウルディスコを意識した「アフロヘア」などのカードも出る予定だとか。(C)SEGA,2004
いま小学生の女の子などが行列をなしているカードゲーム『オシャレ魔女ラブandベリー』。
アイテムの組み合わせでオシャレパワーを競うゲームだが、なんと開発者はムシキング開発者と同一人物。
『ムシキング』では“ブラック博士”、『ラブandベリー』のときは"ダンディ植村"として子どもたちに知られている、セガのファミリーエンターテインメント研究開発部部長・植村比呂志さんに開発のきっかけを聞いた。

「もともとセガでは、子供向けのものをあまり出してなかったんですが、ムシキングに続けてファミリー向けに何かできないかということになりまして。ただし、ムシキングとの競合をさせないために、ターゲットを女の子に変えて全く新しいタイトルを作ろうという事になりました」
実は、プリクラやUFOキャッチャーの人気もあってか、ゲームセンターにいるのは女の子のほうが多いというデータがあり、「お父さんお母さんに嫌われない、女の子向けゲーム」として考えたテーマが“オシャレ”だった。
「男の子にとっての"虫"のように、30年後も興味を失うことがないものって、女の子にとってはやっぱりオシャレでしょ?」

たとえば、舞踏会に行くときにGパンはNGだが、子どもは「なんで?」と言う。そんな親子のやりとりが楽しめるのもポイントだとか。
ところで、難しいのは「オシャレ」をゲームとしてどう評価するかということだが、
「カード1枚1枚には、パワーの差や当たり外れがないんです。
だって、『幻のドレス』とか設定しちゃうと楽しくないし、『イケてないTシャツ』とか『ステテコ』とかのカードなんて、誰も欲しくないでしょ? オシャレはあくまでTPOと組み合わせ」と植村さん。

驚くべきは、第一弾の「オシャレアイテムと組み合わせ」を考えていたチームは、デザイナーの女性以外、6人全員男性だったということだ。
「ティーンズのファッション誌をみながら、ゲキとばして、みんなで激論ですよ(笑)。普段、ユニクロしか着ないような男性ばっかりなので、『やろう好み』のオシャレになっちゃわないように、平均化させるのが苦労でしたね」
オシャレ→ディスコ→ボディコンの発想から、ボディコンカードを作る案も出たが、デザイナーから「子どもは、そんなの欲しがらない」と言われ、ボツになったこともあるとか。

ゲームでは髪、服、靴の組み合わせが悪いと「?」みたいな反応をキャラにされるが、「良い組み合わせ」はどうやって決めてるのか?
「第一弾のカード、76枚の段階では、何千マスという大きな表をつくって、総当りで点数をつけました。でも、第一回で燃え尽きた(苦笑)。
天文学的な数字になるから、ムリ! 二弾目以降はソフトウェアと人手、半々で決めてます」
ちなみに、開発者である植村さん自身の「マイベスト」は、「さらさらロングのヘアに、メタリックダウンの服、星つきJ.Lo風ブーツ」とか。
「僕自身は、何と言っても露出の多いオシャレが好きですね!」
(田幸和歌子)