アメリカのレジには必須の探知ペン
日本でも最近はカードで普段の買い物や雑用事の支払いを済ませる人が多いだろう。ここアメリカでは、カードやチェックの使用率がかなり高く、現金を財布に入れて持っている人はあまりいない。

持っていても、せいぜい$20くらいが限度で、お店で$50札などの高額のお札を出そうものなら、おおごとになりかねない。というのも、お店のレジの人自身が、$50札などというものを滅多に見る機会がないということもあり、偽札防止のために、ヒラヒラとお札を光に当て、透かしを確認したりする。$20以上のお札は疑われやすいのだ。

それもそのはずでドル紙幣は、お札の作りがとても雑で、印刷がずれていたり、白い余白が大きかったり少なかったりと一定制がない。
カラーコピーやカラープリントで作ろうと思えば、作れそうなお札であり、実際に最近の偽札偽造者は、自宅にあるカラープリンターで作っていることがあるそうで、本物とそっくりというよりは多くの場合、偽造と気づかれないようにすることだけに重点を置いているということだ。全てのお札が緑色のみという点だけでも、区別もつきにくいのも原因のひとつだろう。

そんなこともあってか、2003年から$20札と$50札は、偽造しづらい新しいデザインと透かしを入れ、角度で変化する色をわかりやすくする工夫などをした新札を発行したが、忙しいレジの人達がいちいち$20札をヒラヒラして確認するとも思えない。そんなアメリカでは、最近、偽札探知ペンなるものがお店(特に個人経営店)で使用されている。

普通の紙は、でんぷん質が含まれた木ベースで作られているものなので、偽札探知ペンに含まれているヨードチンキ成分が反応し、お札にそのペンでチェックマークをつけると、黒いシミとして残る。そして本物のお札は、ファイバーベースの特殊紙なので黒いシミはつかない。とてもシンプルな発想からできた探知ペンだ。

「疑っていますよ、あなたのお札」と言うかのごとく、ヒラヒラされると気分も良くないが、このペンを使われると逆に「しっかりチェックしてくださいよ」と言いたくなってしまう。
来年の2006年には、$10の新札がお目見えすることになるが、$10でもこのペンの出番はあるかもしれない。
ちなみにこの偽札探知ペンは文房具屋さんで購入可能だ。
(シカゴ/あらた)
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