女子フィギュア選手、なんでブーツの上からタイツ?
“オーバーブーツ”のタイツ、こんな感じになってます。けっこう厚地であったかそうです。
いよいよトリノ五輪も近づいてきた。なかでも注目度が高いのが、女子フィギュアスケート。

リンクの上で華麗な演技を繰り広げてくれる選手たちの姿は、ベタですが、まさに「氷上の妖精」。

ところで、“妖精”たちを観戦していて、なんとなく気になっていたことがある。
それは、彼女たちのタイツの履き方。

まずごくごく普通に、タイツを履いた上からブーツを履いている選手。安藤美姫なんかはこのタイプ。その履き方は、わかる。
普通だし。
でも、ガバッとかぶせるようにブーツごとタイツを履いている選手も結構いる。先日の「GPファイナル」で見事世界一に輝いた15歳の浅田真央や、村主章枝などはいつもこのタイプの履き方をしている。
あれはなんだ。なぜ彼女たちはブーツの上からタイツを履くんだ。何か競技的にメリットはあるのか。

それに、そもそもあれ、どうやって履くんだろう。普通のタイツを思い切り伸ばして、ブーツごとガバー。それでブレード部分だけ切っていたりするのか。

横浜市にあるフィギュアスケート用品専門店「スケートショップ アイススペース」で、たずねてみた。

「オーバーブーツというタイプのタイツがあって、こういうふうになってるんですよ」
見れば、足底部分に穴が開いているような感じになっていて、そこに留め金がついている。これにブーツの靴底部分を引っ掛けるわけだ。

べつに“フットタイプ”と呼ばれる普通の形のタイツをギューっと伸ばしてブーツにかぶせているわけではなく、そういう専用のタイプが別にあるのだ。ブーツのぶん、見た目、足先がずいぶんダボダボしている感じです。
「色や光沢などの種類もいろいろあるのですが、足先の感覚にこだわって選ぶ選手もいます」
要するに、靴の中でつかむ足の感覚、これが靴下のほうがいい選手もいれば、タイツのほうがいいという選手もいる。ちなみにスパッツのように足首までのタイプのタイツもある。

競技を行う際、タイツに関する基準は何かあるのか。日本スケート連盟にたずねてみると、規定はとくにないとのこと。

「選手ごとの、見た目のこだわりもあると思います。オーバータイツを履いて白い靴を見せなくすると、肌の色が多く見えるので、足が長く見える効果もあるんです」
これは、選手が演技する際の曲のイメージやコスチュームのイメージに合わせて、自分の演技をどう表現していくかという部分にも関わってくる点なので、各々のイメージに合わせたものを選ぶのだという。
「ですから、どれを選ぶかは、それぞれの選手の好みということになりますね」(連盟)

技術面だけでなく、選曲、さらにはタイツの履き方にいたるまでこだわって表現されるフィギュアの世界。
選手たちの足先まで見て、選手がどんなことを表現したいのかを考えてみると、もっと観戦が楽しみになるような気がします。
(太田サトル)