覚えるのも書くのも大変! 塩釜市の憂鬱
(上)驫木駅(中)鬮場(下)拡大してもつい目を凝らしてしまう細かさ
私の知り合いに、とてもとても難しい漢字の苗字の方がいらっしゃいます。テストのときなど、名前を書く時間が確実に他の方よりかかったことでしょう。
電話口などで人に伝えるのも大変です。でも、覚えてはもらいやすいのかな?

それは住所でも言えるかもしれません。書くのに時間がかかるほどの難しい漢字を使った地名(でも、個性的で特徴的)というのが広い日本、数々存在しています。

なんと言っても王者は、青森県の「驫木」でしょうか。JRの駅にもありますので、有名かもしれません。これで「とどろき」と読むのですが、馬が三つで30画。
一説によれば、日本海のあまりの荒波に驚いて、馬が四方に逃げてしまったからついた地名だ、とも言われているそうで。確かに冬厳しい日本海沿いにある地域です。

駅名ですと過去にさかのぼれば、「鬮場(くじば)」なんてのが、岡山県の笠岡市にありました。以前この駅の切符を見て、なんじゃこれはー!と驚いたのを思い出します。
調べてみると、この漢字は、いわゆる旧字体で、簡略化すれば、門構えに亀と書くのでしょうか。もっとも、一般的には「くじ場」として知られているようです。


宮城県の塩釜市では、駅名などは「塩釜」と書かれているが、正式には「塩竈」と書くのだそうで、市役所などが発行する公文書では「塩竈」とする決まりになっているようです。
塩竈市のWebサイトに行くと、この「竈」の字の書き方をわかりやすくレクチャーしてくれます。
私が思っていたのと、書き順は後半全然違っていました。かなり意外です。

しかし、こうして古い字を変えずに大事に守っている姿は、頼もしく感じます。漢字は文化ですもの。
その後ろには膨大な歴史が存在するわけで。なんでも簡単にしちゃえばよい、というものじゃない、ですよねぇ。
(谷和原のぞみ/お気楽ステーション)

※環境によって、記事本文内の一部漢字が表示されない場合があるかもしれませんので、申し訳ありませんが、その場合は写真をご参照下さい。
※2006年2月12日に掲載いたしました上記記事内容に誤りがございました。
文中で『旧字体といえば、宮城県の塩釜市は、駅名などは通常簡略化した「塩釜」と書きますが、正式には「塩竈」と書くのだそうで』と記載させていただきましたが、塩竈市のサイト『「竈」の字の書き方』でご紹介されている通り、「釜」と「竈」は本来字義が異なるもので誤りでした。記事を一部修正させていただくとともに、上記内容を追加させていただきました。
ご迷惑をお掛けしましたことをお詫びいたします。