JR渋谷駅の「ハチ公臨時改札」はいつまで臨時なのか?
(上)いい場所にあるハチ公臨時改札(下)臨時には見えない立派な改札
渋谷に行くたびに、気になっているモノがある。JR渋谷駅の「ハチ公臨時改札」だ。


「ハチ公臨時改札」とは、ハチ公前広場にある交番の横にある改札。その場所の便利さから使ったことのある人も多いだろう。しかしこの改札、「臨時」と名乗っているにも関わらず、普通の改札と変わったところがない。見たところいつもオープンしているし、一時的なモノとは思えないほど立派な造りで今後なくなる気配もない。いったいどういうことなのか。

まず、「臨時」という言葉の定義を辞書(大辞林 第二版/三省堂)で調べてみた。(1) 定まった時ではなく、その時に応じて事をなすこと。定期的でないこと (2)長く続くものではなく、一時的であること、とある。うーん、どちらにも当てはまりそうにない。

そこでJR東日本の広報担当者に聞いてみると、「臨時といっても、今後も撤去する予定はありません」とサラリ。やはりそうか。あれだけの改札なら当然と言えば当然だろう。
それならば、なぜに臨時?

すると「通常、渋谷駅の改札は朝4時15分から、夜は最終列車の1:06まで開いています。けれど、ハチ公臨時改札は朝6時30分から夜は0時30分までなんですよ。混み具合によっては、多少延長することはありますけれど……」と続けた。そう、実は通常の改札よりも開いている時間が少しだけ短いがゆえに、「臨時改札」という名前がついていたのだ。確かに辞書の定義の(1)に当てはまる。

さらに「もちろん全国には臨時改札は他にもあります。イベントのときだけオープンするもの、朝のラッシュ時専用のものなど、使い方はいろいろですね」と言う。確かにそういう使い方なら臨時という感じがよく出ている。定義としては間違っていないが、渋谷駅の場合は通常の改札との差が微妙すぎるのだ。

このほかにもJRには駅の存在自体が「臨時」というものもあった。今が旬の梅の名所、水戸の偕楽園の前にある偕楽園臨時駅は、一年のうちでこの時期のみの開設。しかも週末オンリーという本当に「臨時」の駅である。
ひとくちに「臨時」と言ってもいろいろあるようだ。

とりあえず、あの便利なハチ公臨時改札がなくならないことがわかって一安心。みなさんもいつも何気なく使っている駅をよく見ると、何か変わったところが見つかるかも!?
(古屋江美子)

(追記:現在、「ハチ公臨時改札」は「ハチ公改札」と改名済み。理由はやはり臨時の意味がわかりにくいからだそう。ただ「臨時」的な運用特に変わらないとのこと。2006/3/23)
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