ちょっと変わった硬貨の数え方
ニュージーランドの硬貨。日本の硬貨よりも重くて、大きい
ニュージーランドの硬貨は、2ドル、1ドル、50セント、20セント、10セント、5セント。日本の硬貨は500円、100円、50円、10円、5円、1円。
日本円なら、48円のような金額も、1円単位できちんと払うことができる。一方、ニュージーランドでは、1セント単位では払えないにもかかわらず、「○○ドル99セント」といった値段をよく見かける。

ニュージーランドに住み始めた当初は、そんなことは、まったく気にしていなかった。が、ある日、受け取ったレシートを何気なしに見たら、「1ドル89セント」のはずが、「1ドル90セント」になっている。海外でぼられるのはよくある話だが、その姑息さには唖然。居ても立ってもいられず、レシートを持って、レジへ向かった。
「あのぉ、合計金額が違ってますよ」と。

すると、店員は、レジの横にある小さなプレートを指さした。そのプレートには、「スウェディッシュ・ラウンディング(Swedish Rounding)」なるものについて書かれていた。「スウェディッシュ・ラウンディング」とは、1の位が「1」「2」の場合は「0」とし、「3」「4」「6」「7」の場合は「5」、「8」「9」の場合は「10」とする数え方。つまり、1セントがないため、端数をなくし、「0」か「5」にしてしまおうというやり方である。なので、「1ドル89セント」が「1ドル90セント」になるわけだ。
ちなみに、ラウンディングには「端数をなくす」という意味がある。店側が説明書きをしっかり用意していたところから察するに、移民が多いニュージーランドでは、わたしのような外国人が合計金額にクレームをつけることが少なくないのだろう。

端数をなくす方法として、1の位が「0」になることを基本とする「四捨五入」に慣れているせいか、「0」だけではなく「5」にもなる「スウェディッシュ・ラウンディング」に今でも違和感を覚える。ところで、「86」でも「90」、「84」でも「80」の「四捨五入」と、「83」でも「85」、「87」でも「85」の「スウェディッシュ・ラウンディング」。どっちがお得なのでしょう。

さて、「スウェディッシュ・ラウンディング」、名前の由来となっているスウェーデンでは使われていない。
また、ニュージーランドでは近々5セント硬貨が廃止されるため、この国からも「スウェディッシュ・ラウンディング」がまもなく姿を消す。(畑中美紀)